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ますますガラパゴス化?な日本のスマホ事情。

総務省が電気通信事業法の一部改正を2019年5月17日に公布、
2019年10月1日より施行によって携帯キャリア各社にて以下の
事業制約が加わることとなって久しい。
参考: 総務省「モバイル市場の競争促進に向けた制度整備」

端末料金と通信費を分離し過剰値引き是正(2万円上限)
⇒市場競争の阻害要因を排除が狙い

途中解約での違約金是正(1000円上限)や契約延長期間(1ヶ月)
⇒顧客(契約)の固定化要因(顧客の囲い込み)を排除

1についてはキャリア各社による市場の寡占が約9割という状況
そのものが市場競争を妨げていると見られたためだ。

これは既存キャリア間では顧客の流動は起きているが、新規の
キャリア参入機会を妨げていたため、健全な市場競争の形成が
妨げられるためだ。

ただ、今回のように国家が直接的に市場競争に介入する以前では
MVNO(仮想移動体通信事業者)の解禁などにより競争の多様化を
目指してきた
わけだが、MNO(通信キャリア)から回線枠を卸売りする

業態を超える独自サービスの開発は難しく、料金以外の差別化が
進まないことで期待していた競争の多様化が起きていないことも背景
ではないかと考えられる(私見)。

2については個別のキャリア契約を顧客側の都合で解除し易くすること
によって、市場での顧客流動性を高めて契約獲得競争を高める狙いだ。
これまで違約金が足枷となって契約延長をキャリアから迫られることで
”自動延長”という悪い慣習が横行していたがこれにメスが入った。

また、契約延長時にも大幅な端末の割賦割引による囲い込みに繋がる
潜在要因にもなっており、1と併せて不正競争の防止が図られている。

・・・とここまでは現在のスマホ市況の振り返りだったわけだが長くなった。

今回の本題として、以上に説明してきた電気通信事業法の一部改正に
よってどのような影響を齎しているか?

法改正時ではすでにAndroid端末において市場中古価格との差額分が
割引上限の2万円を下回ることで新品端末の価格が不正な低価格に
なる場合があることをITmedia Mobileが以下の記事で報じている。
該当記事: 総務省の「端末割引2万円まで」が業界に与える影響は?

実は昨日のマイナビニュースが以下の記事をYahoo!ニュースで掲載した。
参照先: サムスンやファーウェイの最上位モデルが日本で発売されなかった理由
これはこれまでの慣習(端末代金の割賦割引)が高額で最先端の機能を
有する端末(スマホ本体)をユーザーで購入しやすくしていたことが廃止され
たことによるしわ寄せがこうした形で現れたものだ。

こうした状況が国内市場でのスマホ機能に関する競争の低下を招き、
他の先進国との市場競争力自体の低下に直結することが懸念される。
特に国内の端末メーカーはこれまでiPhoneやGalaxyなどの競争力の高い
端末の寡占状況が続いており、日本メーカーはSONYが孤軍奮闘すると
いう状況に陥っている。(SHARPは台湾の鴻海傘下でもはや台湾メーカー)

個人的にSONYにはXperiaで巻き返しを頑張ってもらいたい想いだが、
マイナビニュースが報じるように海外のフラッグシップ端末が入らなくなった
代わりにミドルレンジからローレンジの価格帯の端末が特に中国メーカー
よりかなりのボリュームで流れ込んでくる。

今、日本のスマホ市場は完全に外国勢の寡占状況となっており、
今後は5Gの普及といった超高速通信を基盤にした多様なサービスも創出
されることを考えれば、国内メーカーの端末投入とサービス開発は国家と
しても喫緊の戦略的課題だろう。

中国製スマホには通信データからの個人情報漏洩が疑われたりしており、
国防という観点からも国内メーカー育成は国家としての命題でもあるはずだ。

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