「農」と「人」をつなぐ架け橋に
2014年岡山県笠岡市で「なないろふぁーむ」が誕生。代表の伊木大介さんにお話を聞きました。
◼️きっかけは「おばあちゃんが作る野菜」
なないろふぁーむを立ち上げてから9年。伊木さんが野菜作りを始めた理由とは何だったのでしょう。
「なないろふぁーむ」立ち上げまでの道のり
もともと食べるのが大好きだと話す伊木さん。12年ほど前には飲食店を経営されていて、そこで使う野菜は主にスーパーで調達していました。
ある時、飲食店のそばで野菜を作るおばあちゃんにお裾分けをもらい、美味しさに感激。それ以来、おばあちゃんと美味しい野菜の魅力に引き込まれたそうです。
「自分で野菜を作りたい」といった思いが芽生え、農家を訪ねたり、栽培技術を学んだり。
おばあちゃんと野菜との出会いからおよそ3年後、新規就農認定農業者として事業をスタートさせました。
「なないろふぁーむ」にこめた願い
なないろふぁーむがある笠岡市は、岡山県の南西部に位置し、南は瀬戸内海、北は田園が広がる自然豊かな町です。
2021年には宝島社の「田舎暮らしの本」で、住みたい田舎ランキング瀬戸内海沿岸部の小さな市総合部門第1位に選ばれています。
そんな魅力あふれる地域でうまれた農場。
「虹(橋)がかかった先には、お客様がいる。農業と人をつなぐ架け橋になれたら」といった思いから、「なないほふぁーむ」と名付けたそうです。
◼️出会いは野菜の直売所。二人の思いがひとつになった「有田商店」
伊木さんがもう一つ取り組んでいるプロジェクト「有田商店」についてもお聞きしました。
有田商店とは?
伊木さんが手がける取り組みには、もうひとつ「有田商店」があります。個人事業主の「なないろふぁーむ」に対して、こちらはユニット。地元野菜を使ったおやつのお店「パシオン」と共同で経営しています。
出会いは2018年、伊木さんが開いていた農産物の小さな直売所でした。
「小さなお子さんに向けたお菓子を作りたい」というパシオンの山脇 節史(やまわき よしふみ)さんの思いに触れ、面白そうだなと伊木さんは思ったそう。自身も「野菜をたくさんの人に食べてもらいたい」との思いがありました。
そこで、「小さなお子さんから大人の方まで幅広い世代に、また野菜が苦手な方にも美味しく食べてもらえるような商品を作ろう」と、2020年に「有田商店」をスタートしました。
耕し、育て、届ける
色とりどりのパウンドケーキ、細長いグリッシーニ、三種のスイートポテト。見た目も楽しい個性豊かなお菓子には、野菜たちの元気がつまっています。
コンセプトは「小さなお子様から大人の方まで。野菜が苦手な方にも美味しく食べていただけるような商品」です。
◼️おすすめ商品はトウモロコシ
なないろふぁーむの主力商品はトウモロコシです。毎年1万本以上栽培しており、今年、2023年のでき具合はここ何年間の中で一番美味しかったそう。
これから秋にかけてのオススメは、伊木さんご自身も大好きなサツマイモです。「男性も親しめる野菜を」と商品をプロデュースしています。
その他のオススメは、茎が美味しいスティックセニョール 、彩り豊かなスイスチャードなど、珍しい品種の野菜たちです。
「品種選びには興味を持っていて、美味しいと思ったものをお客様に伝えたい」と語る伊木さん。イベントでは、「ここでしか手に入らない」と足を運ぶお客様も多いそうです。
イベントで生まれるお客様とのコミュニケーションは生産者の励みになっています。
◼️農業を伝える・知る「農と暮らしの市」
農の魅力を伝えるための農と暮らしの市は、伊木さんが力を入れているイベントです。農と暮らしの市とはどのようなものなのでしょうか。
農と暮らしの市
なないろふぁーむを立ち上げて9年が経ち、農業を通じて様々なコミュニケーションが生まれました。
ここ最近力を入れているのは、今年11月に2回目の開催となる「農と暮らしの市」です。農と暮らしの市は、パシオンと共同で「農から始まる豊かな暮らし」をコンセプトに立ち上げたイベントです。
生産者にとっては「果物や野菜を通して農の魅力を伝える」場に。お客様にとっては「美味しい農産物や商品を通して農の魅力を知る」場になるように。
「農家さんや飲食店さん、雑貨職人さん、いろんな方に協力いただいている。農の魅力を伝えるイベントにしたい」そう語る伊木さんの表情から、準備に奮闘している様子がうかがえました。
◼️虹の先には
「仲間を増やして農業を盛り上げていくことが、これから目指すところ」と伊木さん。
離農による耕作放棄地を利用したり、有田商店のような六次産業を担ったりして、持続可能な農業の形を模索し続けていきます。
私たちの暮らしに欠かせない野菜。
なないろふぁーむは、「農から始まる豊かな暮らし」をコンセプトに、今日も「農」と「人」とを繋ぎます。
虹の先には、きっと新たな出会いとワクワクが待っているでしょう。これからの取り組みにも期待したいです。
※2023年11月に原稿の添削、修正しました。
高梁川流域ライター塾はこちらhttps://project.haretoco.or.jp/takahashigawa-writer/
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