見出し画像

スピッツ歌詞考察(第49回)オバケのロックバンド


【基本情報】

オバケのロックバンド
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ&亀田誠治
4分35秒

<リリース日>
2023年5月17日(17thオリジナルアルバム「ひみつスタジオ」)

<収録アルバム>
ひみつスタジオ(2023年5月17日リリース 17thオリジナルアルバム)

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。

【考察】

誰もが忘れてた 物置き小屋の奥から
退屈な膜を破り 転がり出てきたオバケ

(ボーカル兼ギター担当の草野マサムネボーカルパート)
退屈な毎日から逃げ出すように、誰にも注目されていないところから勝手に転がり出てきた音楽バカ。

控えめな言い回しがいかにもらしいところですが、決してカッコ良いデビューの仕方ではなかったということをさしていると思われます。

木霊に育てられ 雷神にそそのかされ
ゴミ箱叩くビートに 役割見つけたオバケ

(ドラム担当の﨑山龍男ボーカルパート)
木の精霊や雷神様に導かれるかのように、ドラマーという役割を見つけた音楽バカ。

中学生時代にベーシストとしてバンド活動を始めるも、高校3年生の時にヘヴィメタルバンドでドラマーに抜擢されたことをさしていると思われます。
(ヤンキーだったので、いかついイメージの雷神が出てくるのかもしれません。)

子供のリアリティ 大人のファンタジー
オバケのままで奏で続ける
毒も癒しも 真心込めて
君に聴かせるためだけに
君に聴かせるためだけに
(全員ボーカルパート)
子供は意外と現実的なことを言う。
大人は意外と幻想を抱いたりする。
そんな歌詞を曲にのせて、音楽バカのまま奏で続ける。
毒っ気のある刺激の強い音楽も、心安らぐ音楽も真心を込めて、“君”に届けるためだけに活動し続ける。

良かれと思っても ことごとく裏目に出て
爆音で踊ってたら ツノが生えてきたオバケ
(リーダーでベースギター担当の田村明浩ボーカルパート)
何をやってもうまくいかなかったけど、大きな音で踊りながら演奏してたら人格が変わった音楽バカ。

ことごとく裏目に出ていたのかどうかはわかりませんが、一見おとなしそうに見えて、ライブでは人が変わったかのように暴れ回ることをさしていると思われます。

暗闇に紛れて 冷たい旅路の果てに
壊れたギターを拾い 音楽に目覚めたオバケ
(ギター担当の三輪テツヤボーカルパート)
あちこちを転々としているうちに壊れたギターを手に入れ、音楽の道に目覚めた音楽バカ。

幼少期は転校を繰り返していましたが、小学6年生のときに田村と出会い、中学生時代に「田村バンド」を結成してギターを始めたことをさしていると思われます。

トゲばったハードロック 本当はラブソング
オバケのままで奏で続ける
不思議のルールで 間違えながら
君に聴かせるためだけに
君に聴かせるためだけに
(全員ボーカルパート)
トゲトゲしく聴こえるロックな曲も、実はラブソングだったりする。
そんな歌詞を曲にのせて、音楽バカのまま奏で続ける。
理解されないこだわりを持っていて、賛否両論あるかもしれないけど、これからも試行錯誤しながら“君”に届けるためだけに活動し続ける。

少しでも微笑みこぼれたら
そのしずくで俺生きていける
忙しけりゃ忘れてもいいから
気が向いたならまたここで会おう
(ボーカル兼ギター担当の草野マサムネボーカルパート)
スピッツの曲を聴いて、少しでも笑顔になったり喜んでくれたら、それだけで“俺”は生きていける。
忙しい時は忘れてもいいから、気が向いた時にまた聴いてね。

子供のリアリティ 大人のファンタジー
オバケのままで奏で続ける
毒も癒しも 真心込めて
君に聴かせるためだけに
君に聴かせるためだけに
(全員ボーカルパート)
子供は意外と現実的なことを言う。
大人は意外と幻想を抱いたりする。
そんな歌詞を曲にのせて、音楽バカのまま奏で続ける。
毒っ気のある刺激の強い音楽も、心安らぐ音楽も、真心を込めて、“君”に届けるためだけに活動し続ける。

スピッツ史上初の、草野マサムネ氏以外の全メンバーがボーカルを担当する曲で、メンバーの自己紹介かつファンに向けたメッセージソングとなっています。
また、スピッツは1987年7月12日に結成し、その5日後に三輪テツヤ氏と﨑山龍男氏が当時通っていた文化服装学院にて初ライブを開催するわけですが、その記念すべき1曲目だった「子供おばけ」のリメイク作ということもあり、ファンにとってはまさに感涙の一曲です。

「オバケ」=「音楽バカ」としましたが、要するに「音楽が大好きで死んでも音楽をやってるような奴ら」ということだと思います。
まあ、スピッツ自体がモンスターバンドなので、そのまんま「オバケのロックバンド」と言えるわけですが。

「子供のリアリティ」は、思春期の頃のリアルな感情や、子供なのに現実を見て死生観を持っていること。
「大人のファンタジー」は、大人なのに鳥や蝶になって自由に飛びたいと空想したり、子供みたいな夢を持ち続けていること。
まさに、草野マサムネ氏の世界観そのものではないでしょうか。

【おまけ】

(第48回)みなと←PREV|NEXT→(第50回)トンガリ'95

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?