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スピッツ歌詞考察(第72回)りありてぃ


【基本情報】

りありてぃ
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ&亀田誠治
3分33秒

<リリース日>
2013年9月11日(14thオリジナルアルバム「小さな生き物」)

<収録アルバム>
小さな生き物(2013年9月11日リリース 14thオリジナルアルバム)

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。

【考察】

まるで見えないダークサイド それも含めて愛してる
たまってる爆鳴気 ゆっくり注意深く触われ

心の中が全く読めないけど、それも含めて愛してる。
その感情は、ガス爆発しそうなくらい溜まっているから、ゆっくり注意深く取り扱え。

あの娘が生まれ育った 街は今日も晴れ予報
まったく興味なかった ドアノブの冷たさにびびった
“あの娘”が生まれ育った街は今日も天気が良いようだ。
無意識のうちに触ったドアノブが異常に冷たくてびびった。

変わった奴だと言われてる 普通の金魚が2匹
水槽の外に出たいな 求めつづけてるのさ
僕のりありてぃ りありてぃ
変わった奴だと言われてるが、ごくごく普通の二人。
でも今は水槽の金魚のようだ。
早くここから抜け出したいと求め続けている。
それが“僕”の現実。

犠牲の上のハッピーライフ 拾って食べたロンリネス
終わらない負の連鎖は 痛み止めで忘れたけど
幸福を手に入れるためには、何かしら犠牲を伴う。
だから望んで孤独を選んだ。
この終わらない負の連鎖は、ストレスを発散することでなんとか抑えてたけど。

正しさ以外を欲しがる 都合悪い和音が響き
耳ふさいでも聴こえてる 慣れれば気持ちいいでしょ?
君のりありてぃ りありてぃ
やってはいけないことを欲する。
都合悪い誘惑が頭の中で鳴り響き、耳をふさいでも聴こえてくる。
でもそれにも慣れてきて気持ちいいんでしょ?
それが“君”の現実。

さらし者のツミビト 明日は我が身隠れて
ヌンチャク手に入れるまで どっちにも取れるスマイル保って
顔を晒されている犯罪者を見て「明日は我が身」だ、隠れよう。
己の武器を手に入れるまで、素敵とも不敵とも取れる笑顔を出せるようにしよう。

新しい世界を夢想する 普通の金魚が2匹
水槽の外に出たいな 求めつづけてるのさ
僕のりありてぃ りありてぃ りありてぃ りありてぃ
新しい世界を夢想する、ごくごく普通の二人。
でも今は水槽の中の金魚のようだ。
早くここから抜け出したいと求め続けている。
それが“僕”の現実。

登場人物は、“僕”と“君”です。
“あの娘”も登場しますが、スピッツの曲で“君”はほぼ女性のことなので、「“あの娘”=“君”」として考察します。

“僕”は“あの娘”(=“君”)のことがたまらなく好きで、その感情は今にも爆発しそうな状態です。
“あの娘”(=“君”)のことが気になってしょうがないので、“あの娘”の出身地の天気予報すらも気になります。
“僕”はなかなか“あの娘”(=“君”)に気持ちを伝えることができず、鬱憤のたまる生活を送っています。

一方“君”は「犠牲の上のハッピーライフ」とあるように、幸せを掴むためには何かを犠牲にしなければならないと考えています。
何か目指しているものがあるのでしょう。
そして「拾って食べたロンリネス」とあるので、一人でいることを選んだ。
つまり恋人は作らないと決意している状態です。
でも本当は人並みに恋もしたいし、どっちの幸せを目指すほうが良いのか悩みだすという、堂々巡りの負の連鎖が終わりません。
頭の中で悪魔のささやきが聞こえて、ついついあらぬ方向に進みたくなります。

そんな状態からなかなか抜け出せない二人は、まるで「水槽の中を泳ぐ金魚」のようだと感じており、早く脱出したいと願っています。

でも外に出るということは、顔を晒された犯罪者のように注目を浴びることになります。
その時のために今のうちからきっちりと準備しておこう、そして新しい世界を切り開こうと言っています。

子供から大人への成長過程として、モラトリアムな状態が表現された「生」がテーマの曲でしょう。
さらにこの二人を見守る立場としては、成長しようともがき苦しんでいる様子に可愛らしさを感じるので、「愛」がテーマとなるかもしれません。

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