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スピッツ歌詞考察(第76回)夢じゃない


【基本情報】

夢じゃない
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:笹路正徳&スピッツ
4分27秒

<リリース日>
1993年9月26日(4thオリジナルアルバム「Crispy!」)
1997年4月23日(16thシングル)
※「Crispy!」からシングルカット

<収録アルバム>
Crispy!(1993年9月26日リリース 4thオリジナルアルバム)
CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection(2006年3月25日リリース)
など

<タイアップ>
テレビ朝日系ドラマ『ふたり』主題歌(1997年4月14日~6月23日)
日本テレビ『有吉ゼミ』のコーナー「坂上忍、家を買う。」「みやぞん、家を買う。」挿入歌

<備考>
シングル化にあたり、「チェリー」を手がけたエンジニア・坂本充弘によって、打ち込みのシンセサイザーを差し替え録音した上でリミックスされた(オリジナル・バージョンのエンジニアは森山恭行)。

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。

【考察】

暖かい場所を探し泳いでた
最期の離島で
君を見つめていた 君を見つめていた Oh

生涯孤独のままかと不安になり、心安らぐ場所を探し求めていた。
そんな時に“君”を見つけた。

同じリズムで揺れてたブランコで
あくびしそうな
君を見つめていた 君を見つめていた Oh
変化のない日々に、マンネリや退屈さを感じていた。
(=生きる意味を見失っていた。)
そんな時に“君”を見つけた。

夢じゃない 弧りじゃない 君がそばにいる限り
いびつな力で 守りたい どこまでも Oh
これは夢じゃない。
“君”がそばにいる限り孤独じゃない。
どんな手を使ってでも永遠に“君”を守り続けたい。

丘に登ったら いつか見た景色
季節の魔法で
君にうもれていた 君にうもれていた Oh
丘に登ると、いつか見た景色が広がっていた。
それは“君”に夢中だった季節の分だけ、魔法にかけられたかのように記憶から消し去られていた景色。

夢じゃない 弧りじゃない 君がそばにいる限り
いびつな力で 守りたい どこまでも Oh
これは夢じゃない。
“君”がそばにいる限り孤独じゃない。
どんな手を使ってでも永遠に“君”を守り続けたい。

暖かい場所を探し泳いでた
最期の離島で
君を見つめていた 君を見つめていた Oh
生涯孤独のままかと不安になり、心安らぐ場所を探し求めていた。
そんな時に“君”を見つけた。

夢じゃない 弧りじゃない 君がそばにいる限り
汚れない獣には 戻れない世界でも
これは夢じゃない。
“君”がそばにいる限り孤独じゃない。
“君”と一緒になりたい。

夢じゃない 弧りじゃない 君がそばにいる限り
いびつな力で 守りたい どこまでも Oh
これは夢じゃない。
“君”がそばにいる限り孤独じゃない。
どんな手を使ってでも永遠に“君”を守り続けたい。

登場人物は、主人公と“君”です。
主人公は孤独を感じており、まるで離島にいるまま人生の最期を迎えるのではないかという不安に苛まれていました。
そんな現状から抜け出すべく、暖かい場所を探し求めていたところ、“君”と出会います。
それは決して夢ではありませんでした。

ところで、主人公はなぜ孤独に感じているのか、なぜ「最期の離島」にいると感じていたのでしょうか。
二番の歌詞で「丘に登ったらいつか見た景色」とありますが、これは過去の経験を示しています。
おそらく、昔付き合っていた彼女との思い出のことでしょう。

大失恋によるトラウマから抜け出せず、一生孤独のまま終わるのではないかと感じていました。
つまり、恋することに臆病になっていたというわけです。
しかし「季節の魔法で“君”にうもれていた」とあるので、そのトラウマも“君”という存在のおかげで、過ぎ行く季節ととも埋もれるように消えていきました。

そしてやはり気になるのが「汚れない獣には戻れない世界でも」のフレーズです。
二重の打ち消しになっているので解釈が難しいところですが、「汚れない獣」とは「所詮はオスなので獣だけど、襲うことなく清廉潔白にしている」というニュアンスだと考察しました。

そしてそこに「戻れない」ということは、「獣じゃないフリをすることはできない」、つまり「“君”を襲いたい」という願望があり、即ち「“君”とHがしたい」ということです。
この気持ちは、もう後戻りできません。

主人公が探し求めた「暖かい場所」とは、愛する人と築く家庭のことでしょう。
主人公は孤独を感じながら生きていましたが、そんな時に出会った“君”に暖かさを感じ、結婚して永遠に守り続けたいと願う「愛」の歌です。
そしてスピッツの曲のテーマである「性」と「死」のエッセンスが、「汚れない獣には戻れない」と「最期の離島」のワードに含まれています。

「最期の離島」にいると感じていた主人公にとって、これはきっと「最後の恋」です。
抜けがらの街で出会い、「もうこれで無敵だ最後の恋」と思ったことでしょう。
そして月灯かり浴びて踊るに違いありません。
罪の花をばらまきながら。
ん?

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