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スピッツ歌詞考察(第3回)空も飛べるはず


【基本情報】

空も飛べるはず
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:土方隆行&スピッツ
4分31秒

<リリース日>
1994年4月25日(8thシングル)

<収録アルバム>
空の飛び方(1994年9月21日リリース 5thオリジナルアルバム)
CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection(2006年3月25日リリース)
など

<タイアップ>
フジテレビ系ドラマ『白線流し』主題歌(1996年)

<備考>
オリコン週間チャート最高1位、売上148万枚。
発売当初はオリコン最高28位だったが、ドラマ『白線流し』の主題歌として大ヒットし、1996年2月にオリコン1位(自身初)を記録した。
「空の飛び方」には、笹路正徳監修のもと制作されたアルバムバージョンが収録されている。
1993年12月24日にレコーディングされた、アレンジや歌詞が異なるデモバージョン「めざめ」が存在し、「CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection」の初回盤ボーナスディスクに収録されている。

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。

【考察①】

この曲は、「性」とも「死」ともとれる歌詞となっているので、その両方で考察していきます。
その前に、文字通りに解釈するとどうなるでしょう。

幼い微熱を下げられないまま 神様の影を恐れて
「幼い微熱」は、子供じみた部分や、未熟で甘い考え。
「神様」は、目上の存在。親や先生のことでしょう。

隠したナイフが似合わない僕を おどけた歌でなぐさめた
「隠したナイフ」は、隠し持っている反抗心。
思春期の頃によくある、尖った部分のこと。
「おどけた歌でなぐさめた」は、本当は逆らいたいのに、それを見せることなくやり過ごしてきたということでしょう。

色褪せながら ひび割れながら 輝くすべを求めて
月日は経ち、夢に破れたり、傷ついたりしながら、輝ける場所を探し求めた。

君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず

君と出会えたことは奇跡だ。
心からそう思える。
きっと今なら自由に空だって飛べるような気がする。

夢を濡らした涙が 海原へ流れたら
ずっとそばで笑っていてほしい
涙が流れきったら、ずっとそばにいて笑っていてほしい。

切り札にしてた見えすいた嘘は 満月の夜にやぶいた
神様(親や先生)の前で良い子ちゃんにしていた姿は、満月の夜に捨てた。

はかなく揺れる 髪のにおいで 深い眠りから覚めて
女性から漂う髪の香りで、抑え込んでいた感情が解放された。

君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず

君と出会えたことは奇跡だ。
心からそう思える。
きっと今なら自由に空だって飛べるような気がする。

ゴミできらめく世界が 僕たちを拒んでも
ずっとそばで笑っていてほしい
汚いこの世の中では、僕たちは祝福されないかもしれないけれど、ずっとそばにいて笑っていてほしい。

君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず」
君と出会えたことは奇跡だ。
心からそう思える。
きっと今なら自由に空だって飛べるような気がする。

夢を濡らした涙が 海原へ流れたら
ずっとそばで笑っていてほしい

涙が流れきったら、ずっとそばにいて笑っていてほしい。

まとめると、思春の頃はいろんな葛藤があったけれど、まるで奇跡だと思えるほど愛おしい“君”に出会えたことで、今は空を自由に飛べるよう気分だ。
まあ、こんなところでしょうか。

【考察②「死」】

では、「死」がテーマだとした場合の解釈はこうなります。

幼い微熱を下げられないまま 神様の影を恐れて
「幼い微熱」は、浅はかな自殺願望。
「神様の影を恐れて」は、心の中にある神の声との葛藤を表しています。

隠したナイフが似合わない僕を おどけた歌でなぐさめた
本当の気持ちを抑えることは自分らしくないのでしたくないけれど、おどけて歌ったりして誤魔化しながら生きてきた。

色褪せながら ひび割れながら 輝くすべを求めて
過去は色褪せ、傷つきながら、輝ける場所を探し求めた。

君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず

君と出会えたことは奇跡だった。
心からそう思える。
飛び降りて、きっと今はもう自由になれたはずだ。

夢を濡らした涙が 海原へ流れたら
ずっとそばで笑っていてほしい

“君”との未来がかなわず涙したけど、これからはずっとそばで笑っていてほしい。

ここで見てくるものがあります。
“君”(恋人)は亡くなっており、後追いをしたのではないでしょうか。

切り札にしてた見えすいた嘘は 満月の夜にやぶいた
誤魔化しながら生きていくのはもうやめた。

はかなく揺れる 髪のにおいで 深い眠りから覚めて
“君”のことを思い出し、奥深くにしまいこんでいた感情を解き放った。

君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず
君と出会えたことは奇跡だった。
心からそう思える。
飛び降りて、きっと今はもう自由になれたはずだ。

ゴミできらめく世界が 僕たちを拒んでも
ずっとそばで笑っていてほしい
汚いこの世界は、僕たちを認めてくれないだろうけど、そっちに行ったらずっとそばにいて笑っていてほしい。

君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず
君と出会えたことは奇跡だった。
心からそう思える。
飛び降りて、きっと今はもう自由になれたはずだ。

夢を濡らした涙が 海原へ流れたら
ずっとそばで笑っていてほしい

“君”との未来がかなわず涙したけど、これからはずっとそばで笑っていてほしい。
 
「ロビンソン」でもそうでしたが、草野正宗氏の中で「死」は、上のほうに飛んで行くことをイメージしているのかもしれません。
魂が飛んでいくような感じで。

【考察③「性」】

では最後に、「性」がテーマだとした場合の解釈です。

幼い微熱を下げられないまま 神様の影を恐れて
「幼い微熱」は性欲、「神様」は親のことです。

隠したナイフが似合わない僕を おどけた歌でなぐさめた
「隠したナイフ」は、勃起した男性器。
そんな姿は親に見られたくないので、自慰行為で誤魔化しました。

色褪せながら ひび割れながら 輝くすべを求めて
色褪せたり傷ついたりしながら、モテる方法を探し求めました。

君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず
君と出会えたことは奇跡だ。
心からそう思える。
きっと今は自由に昇天できるはず。

夢を濡らした涙が 海原へ流れたら
ずっとそばで笑っていてほしい

モテずに涙した過去の記憶を流し去ったら、ずっとそばにいて笑っていてほしい。

切り札にしてた見えすいた嘘は 満月の夜にやぶいた
見えすいた嘘をついてモテようとしたけど、やめた。

はかなく揺れる 髪のにおいで 深い眠りから覚めて
はかなく揺れて香る髪のにおいで、考えを改めた。

君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず
君と出会えたことは奇跡だ。
心からそう思える。
きっと今は自由に昇天できるはず。

ゴミできらめく世界が 僕たちを拒んでも
ずっとそばで笑っていてほしい
ゴミのような存在で嫌気がさすかもしれないけれど、ずっとそばにいて笑っていてほしい。

君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず
君と出会えたことは奇跡だ。
心からそう思える。
きっと今は自由に昇天できるはず。

夢を濡らした涙が 海原へ流れたら
ずっとそばで笑っていてほしい
モテずに涙した過去の記憶を海原に流したら、ずっとそばにいて笑っていてほしい。

さて、ここで問題です。
ここでの“君”とは何でしょう?

 ①彼女
 ②風俗嬢
 ③AV&TENGA

①~③のどれかによって、微妙に印象が変わってきますね。

結局、文字通りの解釈が一番しっくりくるような…

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