見出し画像

スピッツ歌詞考察(第4回)楓


【基本情報】


作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ&棚谷祐一
5分24秒

<リリース日>
1998年3月25日(8thオリジナルアルバム「フェイクファー」)
1998年7月7日(19thシングル)
※「フェイクファー」からシングルカット。「スピカ」と両A面シングルとしてリリース。

<収録アルバム>
フェイクファー(1998年3月25日リリース 8thオリジナルアルバム)
CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection(2006年3月25日リリース)
など

<タイアップ>
フジテレビ系ドラマ『Over Time-オーバー・タイム』挿入歌(1999年)
映画『海でのはなし。』挿入歌(2006年)
テレビ朝日系スペシャルドラマ『お母さんの最後の一日』主題歌(2010年)
日本テレビ系ドラマ『ザンビ』挿入歌(2019年)
フジテレビ系ドラマ 木曜劇場『silent』挿入歌(2022年)

<備考>
辛島美登里、松任谷由実、藤あや子、uruなど、さまざまなアーティストにカバーされている。

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。

【考察】

忘れはしないよ 時が流れても
いたずらなやりとりや
心のトゲさえも 君が笑えばもう
小さく丸くなっていたこと

「忘れはしないよ」ということは、“君”との別れがありました。
それは失恋による別れでしょうか。
それとも死別でしょうか。
笑った“君”を見るだけで、心のトゲ(悲しみや怒りや不安)が小さく丸くなっていく。
主人公にとって、“君”はとても大きい存在だったことが伺えます。

かわるがわるのぞいた穴から
何を見てたかなぁ?
二人で見てきた様々なシーンで、その時“君”はどのように感じたり思ったりしていたのかなぁ?と問いかけています。

一人きりじゃ叶えられない
夢もあったけれど

二人じゃないと叶えられない夢があったのに、それもできなくなってしまったと嘆いています。

さよなら 君の声を 抱いて歩いていく
ああ 僕のままで どこまで届くだろう

さよなら…
これからも“君”のことを思って生きていく。
ああ、僕はどこまで自分らしく生きていけるだろうか。

探していたのさ 君と会う日まで
今じゃ懐かしい言葉
「君を探していた」
出会った頃にこのような言葉をかけたのでしょうか。
それも今となっては懐かしい言葉です。

ガラスの向こうには 水玉の雲が
散らかっていた あの日まで

水玉の雲は通称「ひつじ雲」と呼ばれ、秋の空に見られる雲で、タイトルの「楓」とともに秋を連想させるワードです。
“君”と出会った(もしくは別れた)日も、水玉の雲が出ていたということでしょう。

風が吹いて飛ばされそうな
軽いタマシイで
他人と同じような幸せを
信じていたのに

風が吹いたら飛ばされそうなくらいの、まるで抜け殻になっても、人並みの幸せは得られると信じて生きてきたけど…

これから 傷ついたり 誰か 傷つけても
ああ 僕のままで どこまで届くだろう

この先、傷ついたり、誰かを傷つけることがあるだろう。
ああ、僕はどこまで自分らしく生きていけるだろう。

瞬きするほど長い季節が来て
呼び合う名前がこだまし始める
聴こえる?

「瞬き」は本来なら一瞬ですが、「長い季節」と続きます。
“君”との別れから長い季節が経ったけれど、昨日のことのように感じているということでしょうか。
「呼び合う名前がこだまし始める」は、主人公の頭の中では名前を呼び合っている状態で、自分の声が“君”にも届いてほしいから「聴こえる?」と問いかけているのでしょう。

さよなら 君の声を 抱いて歩いて行く
ああ 僕のままで どこまで届くだろう
ああ 君の声を 抱いて歩いて行く
ああ 僕のままで どこまで届くだろう
ああ 君の声を…

さよなら…
これからも“君”のことを思って生きていく。
ああ、僕はどこまで自分らしく生きていけるだろう。
ああ、君の声をもう一度聞きたい… 

失恋と死別のどちらでも成立する歌詞ですね。
ただ、スピッツの曲のテーマは「性」と「死」なので、個人的には死別なのではないかと思っています。

また、死んだのは“君”で考察しましたが、主人公がこれから死のうとしている様子ともとらえることができそうです。

さよなら 君の声を 抱いて歩いていく
ああ 僕のままで どこまで届くだろう

さよなら…
“君”のことを思いながら死んでいく。
ああ、僕は死ぬ時、どこまで今の姿をとどめているだろうか。

“君”とは誰なのか。
配偶者、恋人、子、ペット、親友…
いずれにせよ、最愛の存在に先立たれた人の歌というのがしっくりきます。

(第3回)空も飛べるはず←PREV|NEXT→(第5回)8823

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?