ナトリウムイオン電池

リュディアです。日経XTech がナトリウムイオン電池時代幕開け、関連メーカーが50社超で価格はLIBの1/2へというニュース解説を報道しました。

ナトリウムイオン電池は次世代電池と言われつつなかなか量産化されない技術というイメージでした。特にリチウムイオン電池の普及と性能向上が目覚ましく、ナトリウムイオン電池は永久に次の技術なる可能性もあるか、と思っていました。そこにこのニュースです。

今ほどモバイルデバイスが普及する前の充電池と言えばニッケル水素電池でした。私も任天堂の Wii のコントローラで使う電池として当時の三洋電機のeneloop(エネループ)を使っていました。このeneloop はニッケル水素電池です。覚えている方も多いのではないでしょうか。三洋電機がパナソニックに吸収されたことにより、今はパナソニックから販売されています。

しかし現在のモバイルデバイスのバッテリー市場はほぼすべてがリチウムイオン電池に置き換えられたと言ってよいと思います。小さく、軽く、電池容量が大きいというリチウムイオン電池がなければ今のスマートフォンも実現できなかったでしょうし、ノートPCも連続駆動時間が短いままだったと思います。何もかも良いことづくめのように見えるリチウムイオン電池ですが唯一の欠点がコストです。単純にレアメタルであるリチウムやコバルトを使うためコストが高いと考えてよいと思います。

世界を見渡すと地政学的なリスクにより、企業がサプライチェーンの安定を以前より重要視するようになりました。そのためレアメタルではなくどこにでも豊富にある材料を使う考えが重要視され注目を集めるようになったのがナトリウムイオン電池です。

レアメタルのリチウムはオーストラリア、チリ、中国、アルゼンチンで全世界の産出量の90%程度を占めています。

ナトリウムはどうでしょうか? NaCl (塩化ナトリウム)を分解すれば製造可能です、つまり食塩水を分解すれば金属ナトリウムを製造できるわけです。ナトリウムは非常に酸化しやすい物質なので単に分解して、というわけにはいきませんが話を単純化すると食塩水、つまり海水から製造できるわけです。これなら原材料を入手できなくなるリスクは小さくなります。

私はナトリウムイオン電池の分野では日本が圧倒的にリードしていると思っていました。特に日本電気硝子の全固体ナトリウムイオン二次電池の発表には驚きました。

しかしいつものことながら、というかどうも量産や市場への大規模投入は中国に先を越されたようです。しかも車載用途です。

充電池はこれからますます重要になる領域だと思います。すべてのデバイスが太陽発電や振動発電で動作するほど低消費電力になれば様相は変わると思いますが、今後もバッテリー駆動デバイスは増え続け、必要な容量も増え続けると思います。日本企業にも巻き返しを期待したいところです。

では、ごきげんよう。

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