書評 なぜデジタル政府は失敗し続けるのか 消えた年金からコロナ対策まで

株式会社リュディアです。なぜデジタル政府は失敗し続けるのか 消えた年金からコロナ対策まで を読みましたので感想です。書籍版とKindle版へのリンクをつけておきます。

雑誌連載記事をまとめたものにインタビューを追加したものなので読みやすい構成になっているとはいいがたいですが面白かったです。

私が本書を読んだ範囲では結論としてSIer に発注する側 = 官庁などの能力不足が主要因なっています。確かにそうかもしれません。すぐに身につくものでもないですし官庁が必要とするシステムは独特なものがあります。

本書で印象に残っているのは公務員組織の中に橋梁、土木、水道などは専門家が古くからおりノウハウも蓄えられている、そのため実運用は民間の会社にアウトソースすることが可能であるが IT系についてはそのような専門家が組織内にいないと書かれていた部分です。確かにこれでは人も育ちません。2021年9月に設置されたデジタル庁に期待しましょう。初代デジタル改革大臣の平井氏のインタビュー記事も掲載されています。この国はどうもエンジニアリングを舐めてる風潮があると思います。生産管理や現場の職人の仕事とエンジニアリングが異なることに早く気付くべきです。それを意識しないからいつまでも人月勘定でコストが決まりSIer がブラック化するわけです。

一方で 2021年11月8日の日経に以下のようなニュースが掲載されました。

この記事を読むと絶望的な気分になります。20年以上の遅延を取り返すことはできないでしょうが20年遅れを10年遅れくらいまで取り返せるかと考えるとこれも難しいような気がします。差は開くばかりでどうにもならないのでしょうか?

この記事を読んで日本が今のような状態になっている理由は国民性が原因であるということになるとどうにもならないなと思いました。

実際、デジタル庁が政府クラウドとしてアマゾンとグーグルを選定というニュースを見た時も暗い気持ちになりました。気持ちはわかるのですが政府の機密情報が含まれるものを海外の組織が運営するクラウドサービス上に配置するとは...

では、ごきげんよう。


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