初等中等教育段階における生成AI の利用に関する暫定的なガイドラインについて#4

リュディアです。初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドラインを見ていきたいと思います。

3.⽣成AIの教育利⽤の⽅向性を見ていきます。内容は次のように(1)-(5)にわかれています。

(1)基本的な考え⽅
(2)⽣成AI活⽤の適否に関する暫定的な考え⽅
(3)「情報活⽤能⼒」の育成強化(全ての学校が対象)
(4)パイロット的な取組(⼀部の学校が対象)
(5)⽣成AIの校務での活⽤(準備が整った学校での実証研究を推進)

今回は(2) を見てみます。

今回は具体例なのでわかりやすいです。こんな使い方はよくない、こんな使い方はよいのでは、という議論です。まずは文科省がよくないと思っている使い方から見てみましょう。

項目は8個ありますが大きく分類すると2つにわかれると思います。
(1) 何らかの正しい情報を持つことなく、自由に生成AI を使わせてはならない
(2) 文章、音楽などの作品を生成AI を用いて作らせてはならない

大きくはこの2つに分類可能なのではないでしょうか。教師が児童生徒の評価を生成AI に行ってもらうという項目はさすがに驚きましたが。結局、答えを生成AIに作らせるな、ということですよね。

これは確かにそうですね。大人が「付加価値が無い」と思っている部分を生成AIに任せて業務効率をあげることがOK だとすると、児童、生徒は「勉強することが目的」なのでそこで安易な方法をとることは得策ではありません。また児童、生徒が基礎を学ぶべき時期に学ばないと、将来の学びのための土台が構築できなくなります。徐々に難易度や抽象度があがるタイプの学習は少しずつ頭をならしていく必要がありますね。

そして次に適用例としてよいと考えているものを見てみましょう。ここも大きくまとめると以下の2つになると思います。
(1) 基本は自分、あるいはグループで考え、会話をして結論が出ているが、その結論に対する考察を得る
(2) 今の自分のレベルをもう1段階あげるための利用

確かにこの2つの利用方法は正しいと思います。

例えば英語の分野はわかりやすいのですが、自分の書いた英文をより自然な英語に、かつ文法的に正しく変換してくれるツールがあります。これは自分の学習にもなりますし、その英文を読む相手にとってもいいことですね。

また自分やグループで考えた結果としていったん結論が出ていると既にしっかり自分たちで考えられているので、コメントを生成AIに要求した際に的外れな回答があった場合に自分たちで気づくことができます。

具体例を書き出すと、じゃー、こんな場合はという各論の話になりがちです。そうではなくて、まずは自分たちで一度考えて、その結論に対しさらにレベルをあげる、あるいはあきらかな間違いがないか確認するという使い方を推奨しているのではないか、と感じました。

最後に夏季休暇中に課題として出されることが多い読書感想文やレポートなどの文章を書く課題に対するコメントが記載されています。

はっきり書いてしまうと、児童や生徒が生成AI を利用することを完全にコントロールすることは難しいと思います。ただ教師側は生成AI を使っているかどうか、特に文章であれば一読すれば判断できるのではないか?と思うのですがいかがでしょうか。高校生になると圧倒的な文章を書く生徒というのは存在するのですが、小学生、中学生であれば今の生成AI の出力する文章の方がそれなりな気がします。

危惧される点としては、自分の勉強や宿題に対し目的意識を持つ児童、生徒と、とにかく嫌だから生成AI に処理させる児童、生徒の基礎教養のレベル差がますます大きくなるだろうな、と思います。これは何年か先に大きな問題として表面化しそうな気がします。

では、ごきげんよう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?