民間給与実態統計調査の解析 ~ 給付における年収制限の観点から #4
株式会社リュディアです。令和2年分の民間給与実態統計調査について引き続きデータを解析してみたいと思います。
元データは以下から入手した PDF です。
前回までの 民間給与実態統計調査の解析 ~ 給付における年収制限の観点から のまとめへのリンクは以下を参考にしてください。
前回のまとめで民間給与所得者数の増加数の内訳について正規、非正規という観点からまとめてみました。結果としては民間給与所得者数という観点からは正規の方が増加数が多く印象とは異なる結果になりました。今回は民間給与を正規、非正規という観点から見てみます。
では民間の給与総額の変遷を正規、非正規という観点でまとめてみました。以下の表とグラフを見てください。
グラフで見ると右上がりになっている感じはしますが細かい部分はよくわからないですね。強いて言えば右上がりになっている理由は正規の部分が右上がりになっているためという気がします。
前回の給与所得者数のまとめで行ったように数字で見ていきましょう。まず 2012年と 2020年の給与総額の比較を行ってみます。
正規:1,726,357 - 1,408,331 = 318,026
非正規:211,959 - 165,866 = 46,093
その他:333,266 - 284,311 = 48,955
総額:2,271,582 - 1,858,508 = 413,074
給与総額の増加量のうち 75% が正規で占められています。ここで前回のまとめの内容を思い出してみてください。給与所得者数の増加数のうち 68% (= 4,709 / 6,890) が正規でした。人数が 68% 増えて給与総額の増加量の 75% が正規に占められていると考えるとどうでしょうか? 給与総額の増加量の内訳が若干正規に偏っている感じはありますが、同一労働同一賃金がなされていない国にしては想像していたよりバランスがとれているように感じました。皆さんはどう思われますか?
給与所得者のデータを統計的に扱うと正規と非正規の間で若干正規側に偏りはあるものの、いずれもよく似た恩恵を受けているという結論になると思います。注意いただきたいのはあくまで統計として扱った場合、かつ元になるデータが令和2年分の民間給与実態統計調査であることです。
4回にわたって令和2年分の民間給与実態統計調査をまとめてきました。元にするデータをどのように扱うかで恣意的なデータを作ることは可能です。衆院選もあったため、候補者の街頭演説やメディアの報道も多く、その内容に疑問もありましたので実際にデータを調べてみました。
皆様もメディアの報道を鵜吞みにせず自分自身で一次情報に接し解析する練習をされるのがよいと思います。メディアの数字は「嘘ではないが...」というものが多いです。
では、ごきげんよう。
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