半導体産業について #12 EDAベンダー #2

株式会社リュディアです。今回も引き続き半導体産業についてまとめてみます。

前回までの 半導体産業についてのまとめ へのリンクは以下を参考にしてください。

半導体のEDA業界は実質ビッグ3 に支配されているということを紹介しました。ビッグ3とは Cadence(ケイデンス)、Synopsys(シノプシス)、シーメンスEDA の3社です。

今回はこれら3社についての紹介をした後、これら以外の会社についても簡単に紹介したいと思います。

Cadenceはどちらかと言うと物理(下流)設計と呼ばれる領域で力を持っていましたが徐々にHDLを扱うような抽象度の高い上流設計にも参入してきました。物理設計、下流設計は幾何学的な情報を扱う設計領域で半導体の前工程工場の情報を考慮しながら設計を行う領域です。一方で上流設計ではアルゴリズムを含む回路の動作を設計することになります。

Synopsys は上流設計でHDLから回路を生成する Design Compiler という論理合成の製品を開発ししばらくの間は上流設計分野を支配していました。その後、物理(下流)設計に参入してきたという経緯を持ちます。訴訟もありましたが Avant!社(アバンティ社)の買収により下流設計分野に本格的に参入しました。

今や Cadence と Synopsys は設計の上流、下流いずれの工程においてもサポート可能な巨大企業になっています。米中貿易戦争においても、Cadence、Synopsys の2社が扱っているEDA製品は中国への輸出管理が行われているようです。昔は日本の図研やJEDAT(昔はセイコーインスツル株式会社のEDA部門)も元気があったのですが今や日本企業は代理店に近いレベルと言ってよいと思います。

シーメンスEDA、昔の Mentor Graphics は Cadence、Synopsys の2社とは少し扱う領域がずれています。純粋な半導体向けとしては Calibre (キャリバー)と呼ばれる物理設計が正しく行われているか確認するためのEDAツールで大きなシェアを持っています。シリコンファンドリーと密な関係を築く必要のある分野です。他には自動車向けの設計用CADでも大きなシェアを持っています。

基本的にはこの3社が支配していると言ってよいのがEDAの業界です。他にEDAベンダーとして分類されますが特殊な分野であったりプリント基板の設計で使うCADを扱うベンダーも存在します。以下に名前だけつけておきます。興味のある方は各社のWEBを見てみてください。

Silvaco
ANSYS Inc.
Keysight Technologies Inc.
Altium Limited

半導体産業について に関するまとめの続きは以下からどうぞ。

では、ごきげんよう。


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