ギリシャ文字のアルファベットとCOVID-19 #2

株式会社リュディアです。引き続きギリシャ文字のアルファベットとCOVID-19についてです。

前回までのギリシャ文字のアルファベットと COVID-19に関するまとめ へのリンクは以下を参考にしてください。

今回は2021年11月28日現在、WHO によって分類されている新型コロナウイルスの種類、特にギリシャ文字のアルファベットが割り当てられているものに着目して見てみます。WHO ではラベル付けという言葉を使っているので従うことにします。

まず最初に以下の表を見てください。表に記載されている内容は以下のものです。

1. ギリシャ文字の大文字小文字と読み方
2. 対応する英語アルファベット
3. WHO で VOC, VOI, VUM, Formally mentioned variants に割り当てられているかどうか
4. 最初に検出された国と検出日

画像1

情報のソースは以下のページです。2021年11月に分類方法が変わっており、その変更内容も記載されています。

WHO のページに記載されている分類の方法についてまとめます。

VOC (Variants of Concern)

VOI の定義(下記参照)を満たし、比較評価で世界的に公衆衛生上重要な以下の変化のうち1つ以上に関連していることが証明された SARS-CoV-2 の変異体。

- 感染力の増加または COVID-19 の疫学における有害な変化、または毒性の増大または臨床疾患の変化
- 公衆衛生や社会的対策、または利用可能な診断法、ワクチン、治療法の効果低下

メディアでは懸念される変異株と報道されるものです。2021年11月28日現在では、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、オミクロンの 5 つが該当します。オミクロンはまさに追加されたところです。

VOI (Variants of Interest)

伝達性、疾患の重症度、免疫逃避、診断・治療逃避などのウイルスの特性に影響を与えると予測される、あるいは既知の遺伝子変化を有するもので、

かつ

複数の国で重大な地域感染や複数の COVID-19 クラスターを引き起こし、相対的な有病率が増加し、時間の経過とともに患者数が増加していること、あるいは世界の公衆衛生に対する新たなリスクを示唆するその他の明らかな疫学的影響が確認されていること。

メディアでは注目すべき変異株と報道されるものです。2021年11月28日現在ではラムダ、ミューの2つが該当します。

VUM(Variants Under Monitoring)

SARS-CoV-2の変異体で、ウイルスの特性に影響を与えると思われる遺伝子に変化があり、将来的にリスクをもたらす可能性が示唆されているが、表現型や疫学的な影響の証拠は現時点では不明であり、新たな証拠が出るまでは監視を強化し評価を繰り返す必要があるもの。

注:これらの種類の影響に関する我々の理解は急速に進展することが予想され、モニタリング中の指定されたバリアントは容易に追加/削除される可能性がありますので、現時点ではWHOラベルは付与されません。しかし、以前の VOI/VOC はこのカテゴリーで長期間モニターされる可能性があり、追って通知があるまでは割り当てられたWHOラベルが維持されます。

VUM は新しく定義されたものでメディアでも名前はみません。まだよくわからないが注意深く見守るという程度でしょうか。過去に VOC, VOI に分類されていたもので VUM に変わったものはラベル付けされていますが、最初から VUM に分類されたものはラベル付けされないようです。増えすぎてアルファベットが枯渇しちゃうのですかね。

2021年11月28日現在ではイータ、イオタ、カッパの3つが該当します。

Formally mentioned variants

以前にモニターされていた変異種のことです。

以前の VOCs/VOI/VUM(その子孫系統を含む)で、以下の基準のうち少なくとも一つに基づいて再分類されたもの。(1) もはや世界的に公衆衛生上重要なレベルでは流通していない、(2) 全体的な疫学的状況に影響を与えることなく長期間にわたり流通している、(3) 科学的証拠により、そのバリアントが問題となる特性とは関連していないことが証明されている。

こちらも過去に VOC, VOI に分類されていたもので VUM に変わったものはラベル付けされていますが、最初から VUM に分類されたものはラベル付けされないようです。

2021年11月28日現在ではイプシロン、ゼータ、シータの3つが該当します。過去に VOC, VOI に分類されたもので、今は Formally mentioned variants に割り当てられたものはひとまず安心と考えてよいのではないでしょうか。

今回はギリシャ文字でラベル付けされた新型コロナウイルスの分類についてまとめてみました。

では、ごきげんよう。


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