国民負担率 #2

リュディアです。引き続き国民負担率についてみていきます。国民負担率の計算では分母は国民所得、分子が税金 + 社会保障になります。前回は分母の国民所得についてみましたので今回は分子の税金と社会保障についてみてみましょう。前回と同じく元データは次のページを参照にしました。

ここにあるPDFからエクセルにしたデータもつけておきます。

では最初に国民所得と税 = 国税 + 地方税の負担率の推移をグラフで見てみます。バブル崩壊、アベノミクス、消費税の情報をグラフに追加しています。

前回のまとめで1990年以降の国民所得が大きく成長していないという話をしました。しかし国税と地方税を合わせた租税負担率(%)もバブル崩壊からアベノミクス開始までは大きく増加していない、むしろ減少傾向であることがわかります。これは予想外でした。どのように考えればよいのでしょうか?バブルが崩壊して税収が減り租税負担が小さくなった、しかし消費税の増税 + アベノミクスの経済成長により租税負担率が再度大きくなった、と考えるのが自然なのですかね。

では次に国民所得と社会保障負担率の推移をグラフで見てみます。

社会保障はすごいですね。1970年から増え続けているといって過言ではないです。2020年から2年間下がっているのは国民所得の増加により負担率としては下がったということだと思います。社会保障、あるいは社会保険としては健康保険と年金保険が有名ですが、他にも介護保険、労働保険(労災保険、雇用保険)があります。30年前には無くて追加された介護保険、どんどんと率が高くなっている健康保険、年金保険など確かに負担は大きいです。給与明細を見て控除の欄を見ると社会保険が圧倒的にとられている感じがすごいですよね。

では税負担率(%)、社会保障負担率(%)、国民負担率(%)と国民所得(兆円)の推移を同時に見てみましょう。

このようにみると国民所得が急成長した時期に負担率はそれほど大きくは増えていないことがわかります。つまり1970年 - 1990年付近までに社会人として働いていた方は法人や個人の所得の伸びに対して負担率の伸びが小さいので手元に残る所得が大きく感じられたと思います。このような相対的な関係は1つの数の推移だけを見ていても気づきにくいので注意が必要です。

また国民負担率の折れ線グラフ(黄色)の形状が税負担率の折れ線グラフ(オレンジ色)と形状が似ていることにも注意が必要です。厳密には図形の雰囲気だけではなく相関係数をとる必要がありますがここではしません。社会保障費の増加により全体を底上げしつつ、あくまで年ごとの変動は税金が支配的ということです。ある意味、うまいシステムを作り上げたものだと思います。

いかがでしたか?単に負担率が増えた、減ったという話だけでなく、どのようなパラメータに依存性があるのか私自身も勉強になりました。次回は他国との比較について考えてみましょう。

では、ごきげんよう。


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