給与のデジタル払い

リュディアです。日本経済新聞に給与デジタル払い、23年春にも解禁 政府が最終調整 との報道が出ました。

日経の報道は有料記事のため全部は読めないので、他の記事の内容も参照して補いながらまとめを作っていきます。

まず労働基準法第二十四条を知っておきましょう。

(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

そうなのです。「賃金」「通貨で」支払うという法令があるのですね。また「直接労働者」への支払いが原則ですが、銀行口座と証券口座への振込は例外として認められているのが現状です。いわゆる *** ペイは資金移動業という業種であって、銀行や証券とは異なる事業者が扱っているので給与支払で利用するには壁があるんですね。一言で言うと業者に対する信頼度の問題だと思います。銀行や証券業は認可制ですが、資金移動業は登録制なので開業するにあたり障壁が異なります。

例えば勤務先が***ペイでの給与支払いに対応します、となった場合に皆さんはどうされますか ? 自分の都合だけで言えば、以下のような懸念点があるのではないでしょうか?

  1. 全額を *ペイで支払いされても困る。例えば1/4 は***ペイで、残り 3/4 は従来通り銀行口座に振込してもらえないか?

  2. ***ペイで動くお金が多くなるとセキュリティの観点で不安がある。何らかのサイバー攻撃を受け自分の口座がダメージを受けた場合に保証があるのか? 銀行の預金者保護法のような法的な補償が必要

  3. ***ペイから通貨に無料で転換可能か?

私個人の懸念点はこの3点です。皆さんはどう思われますか? 私の立場だけで言えば、給与全額を ***ペイで受け取りというのは受け入れられないので、二者択一であれば従来通り銀行口座への振込を選択します。

日本最大の労働組合の全国中央組織「連合」の給与のデジタル払いに関するページには次のような記述があります。

連合は、従来から、賃金という労働者にとって非常に重要な債権の支払い方法については、その確実な支払いを確保するためにも、労働基準法第24条が定める賃金支払いの原則を堅持し、資金移動業者が開設する口座への賃金支払いは認められないと主張しています。

政府も長期で考えてはいるのでしょうが、キャッシュレス決済比率をあげるために給与のデジタル払いを推進するのは方向がずれているのではないかと感じました。

また銀行口座を開くことができない外国人の給与支払いにも有効との報道も見ますが、そもそも銀行口座を開くことができない理由のある外国人の職場が給与のデジタル払いをサポートするという状況も考えにくいと感じました。

本件は動きが早く結果は3年以内に見えそうですね。注意して見ていきましょう。

では、ごきげんよう。

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