G検定 エキスパートシステム
株式会社リュディアです。G検定対策としてエキスパートシステムについてまとめてみたいと思います。
G検定公式テキストでは第2次AIブームの主役として扱われています。実際エキスパートシステムは1970年代に研究され、1980年代に商用利用を含め実用化されたシステムと言えます。通常のプログラムとは異なり推論エンジンと知識ベースという2つの構成要素で成り立っており専門家が答えを導く方法を真似たシステムです。
推論エンジン:知識ベースを元に問題の解決を行う部分です。推論エンジンは各エキスパートシステムで固定となります。
知識ベース:何々であればどうする、どう考える、という知識情報を蓄える部分です。知識ベースは知識を蓄積していく部分ですので可変となります。
以下、具体的なエキスパートシステム例です。
Dendral(デンドラル)
スタンフォード大学のエドワード・ファイゲンバウムを中心としたグループが 1965年に開発しました。未知の有機化合物を質量分析法により特定するシステムです。最初のエキスパートシステムと言われています。
MYCIN(マイシン)
この Dendral から派生し同じくスタンフォード大学で 1970年付近に開発された MYCIN(マイシン)も有名です。MYCINは伝染性の血液疾患を診断し適切な抗生物質を推奨するもので患者の体重にあわせ供与量を調整することもできました。スタンフォード大学の調査によるとMYCIN の診断結果は 65% の正しさであり、感染症の専門医の 80% よりは悪いが、非専門医よりは良い結果を示したとされています。ただし実運用は行われませんでした。誤った場合に誰が責任をとるのか?医師以外が抗生物質の処方を判断してよいのか?といった倫理的な理由からと言われています。
上記2つに代表されるようなシステムが開発された一方で次第にエキスパートシステムの限界も認識されるようになってきました。主に以下の3つの理由によるとされています。
1. 専門家の知識を定式化することが困難である。専門家は多数の暗黙知を蓄えているがそれらを定式化するのは困難
2. すべてを定式化してみるとルール間で矛盾が発生することがある
3. 当時は推論エンジンを動作させる計算能力が貧弱であった
ではエキスパートシステムは過去のものであり、現在は使われていないのか、というとそんなことはありません。たとえば SNS アプリでチャットボットを使ったことはありませんか?これらの多くはエキスパートシステムを元に開発されています。
また AI弁護士bot である DoNotPay は2020年現在、非常に勢いのあるチャットボットの1つです。今は安価に高い計算能力を利用可能である時代になったため実用化されたと考えられます。
今回は G検定対策としてエキスパートシステムについてまとめました。有名なシステムは開発元とどのような内容であるかを頭に入れておく必要があります。
では、ごきげんよう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?