仕事に夢を見すぎていた私は、もう一度夢を見たい。
仕事とはなんだろうか。
今となっては不思議なことだが、私は小学生からずっと『仕事をする人』に憧れていた。
仕事内容は具体的でなかったと思う。ただ、大人で勉強じゃない何かをしている人、に憧れていたのだと思う。
私の父は、何しているのか分からない人だった。小学生の頃はずっと、父はカメラマンだと思っていた。違った。グラフィックデザイナーだった。
父は個人で事務所を運営していて、従業員はひとりもいなかった。だから、私は社長令嬢であり、平社員の娘であり、雑用係の娘であった。