夢には破れない ~ショートショート~
『俺は夢破れた者を、負け犬だと思ったことはない。だけど引きずり続ける夢を言い訳にして他を蔑ろにするやつは人生の敗残者やと思うけん』
高校生2年生の頃、図書館の片隅で読んだ小説に、その一文があった。その頃はとにかくたくさんの小説を読んでいたから、他に埋もれて内容の詳細は覚えていない。けれどその一文は、なぜか私の中に残り続けた。
残り続けたと言っても、座右の銘になったとかそんなことは一切ない。なんならほとんど思い出すこともなかった。ただ、意識のどこかに記憶されていた、という