沈黙を聴くとき
月に1回、公開カウンセリングをしている。
20分、私がお話を聴いて、終了後に話し手さんから、
・話す前といまの変化
・話しているあいだに起きたことや発見
などをシェアしてもらう。
その後で、オブザーブ席のみなさんから質問を受ける。
話し手さんに訊きたいことでもいいし、
聴き手の私にでも。
先日こんな質問があった。
「けっこう長い沈黙があったけど、その間、聴き手は何を考えているのか?」
私は少し考えた。何を考えていたかな?
沈黙といったらあそこと、あそこらへんかな、メモを見返す。
沈黙の間、話し手さんは、いっしょうけんめい考えている場合もあるし、煮詰まっている場合もある。
もう少しで何かをつかみかけているのか、真っ白になって固まっているのか。あるいは、いまの感情にどっぷりと浸かって味わっているのか。
私は「それ」を聴いている。話し手さんのいま。
呻きになる前の息遣いかもしれないし、あ、とかう~ん・・・とか小さな声かもしれないし、何かを言おうとして口だけが開いた気配だったり。身体を揺らす小さな衣擦れかもしれない。
具体的な音ではなく、気配というかエネルギーみたいなものを「感じようとして」いる。そうだ、考えているわけじゃない。
ひたすらに感じて、もし煮詰まりを感じたら、直前のキーワードを返すこともあるし、違和感があった部分を確認することもある。一緒にそこまでの話を振り返るような要約のときもある。
その時に必要そうなものを差し出す。
今回は、何かが出てきそうな、話し手さんの内側から何かが生まれそうな気配があった。
そんな時の聴き手のこころもちとしては…
羽化を見守るように聴いている。
蝶がさなぎから、ゆっくり自分のペースで出てきて、羽根を広げるまで。
どこかがひっかかって、手こずってみえても、こちらが力を加えることはしない。
自分の力で、出てきて、羽根が乾いたタイミングで、飛び立つ。
飛び立つ蝶を見送るとき、こちらも本当に力をいただくのだ。
20分のセッションを公開しています。(話し手さんより事前に了承ずみ)
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