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2021年、広州の清明節

《 福福の知りたい広州!vol.10 》

4月4日は中国の清明節。
清明節とは、先祖を祭る中国の伝統的な祭日で、日本のお盆にあたります。

今回は、広州市が広く市民に呼びかけているコロナ禍での清明節の祭祀方式ついてご紹介します。

『廣州日報』2021年4月5日
「文明祭扫让清明更“清明”~广州市推出便民举措 倡导文明殡葬新风~」などより

一年に一度の清明節。

広州市は、お墓参りを予約制とすることで人の量と流れを制限するほか、オンライン墓参りやお参りの時期をずらすなど、密集を避ける為の様々な祭祀方式を呼びかけている。

広州市の提唱する5種類の祭祀方式

・オンライン墓参り(网络祭扫)
   オンライン墓参りのプラットフォーム上で、故人にメッセージや花を送る

・手紙による哀悼(信邮哀思)
 オンラインまたは手書きで書いた故人宛ての手紙を広州市殯葬管理処に送ると、故人のお墓などの前に届けてくれる

・集団追悼(集中公祭)
   現地に来られない家族などに代わり、公営墓地などが集団追悼セレモニーを実施

・遺灰の帰宅(迎骨灰归家)
障害など移動に困難を抱える人々の為のサービス

・ピークを避けるよう誘導(引导错峰)
ピークの期間を避けてお墓参りする市民には、飲料水と生花をサービス。

【 福福より 】

数年前、お墓参りの際の火の不始末による山火事の多発や、お墓までの遠い道のりを嘆く声などを背景に、お墓参りのやり方を見直すべきではないかと書かれた記事を読んだことがあります。

奇しくも、コロナ禍により昨年からあっという間に多様化したお墓参りの方式。廣州日報の別の記事によると、これらは広州市民にも好評とのことです。

ライチ局長、清明節の三連休はいかがお過ごしでしたか。

【 ライチ局長より 】

中国での清明節のお墓参りをめぐるこうしたサービスの拡大を見ていると、中国人の死生観が垣間見れるようですね。

元々、中国の集落では、同じ一族で一つの村やエリアを取り仕切っている、なんてことも珍しくありません。先祖を祀る大きな宗廟などが建てられ、一族持ち回りで維持管理をやってきていたものです。

ただ、それも今や昔。若者は都会で仕事を見つけ、マンションを買い、結婚し、子供を生み…、なかなか帰ってこれなくなっています。日本と同じで、一族を中心とした中国の伝統的な家族システムを維持してくのは難しくなっているのです。

そして、それと反対に、年々、大変になっていくのが都会での墓地事情です。元々、急激な人口増加で、生きている人間の住む場所の確保も困難なのに、死者の居場所を求めるニーズは年々増加してくのです。墓地の価格は高騰し、土地付きの墓地を確保する難易度は増すばかりです。そこで、一人一人の小さな納骨スペースを提供する日本の納骨堂のようなサービスも現れます。日本が辿った道を、同じように中国も進んでいるのです。

ただ、中国の人口の多さだけは、日本のそれを上回ります。清明節と言えば、墓参りに向かう人々による渋滞や墓地での人の多さが悩みの種です。広州の友人によると、お墓を掃除したり、線香をあげたりして、大体2時間くらいのお参りですが、同じ時期に多くの人が一気にお墓に向かうため、人の多さに疲れ果ててしまうようです。

そして、今年は更にコロナ対策も必要です。そうした問題を解決するために広州市が打ち出した作戦が福福さんが今回紹介してくれた記事の内容になるというわけです。また、お墓参りに行く人も、広州市政府が提供しているオンラインプラットフォームで予約をしてから行くことになっています。死んだ家族に会いに行くのにも予約制かと思うと、すごい時代になったものだと思いますね。

さて、実は、私も、清明節の三連休は、どこか近場で旅行に行こうかと思っていましたが、鉄道のチケットなどはことごとく満席で入手できず、結局どこにも行けませんでした。仕方ないので、シェアバイクでサイクリングを楽しんで過ごしました。4月の爽やかな風に吹かれながら過ごす中国の清明節は、うだるような8月の暑さの中で迎える日本のお盆より、「過ごしやすい」という点で悪くないかな、と思いますね。


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