あのジプニーに乗ってどこまでも。
アスファルトを突き破って生えた木が歩道を塞ぎ、道路を歩く僕を背突くようにクラクションが鳴る。腐ったゴミと排気ガスの混ざった空気が目に染みるここは、フィリピンの首都マニラのローカルが集うアーナイズ通りだ。昨日からもう30kmは歩いただろうか。潰した豆がヒリついていた足の指にもう感覚もない。熱帯モンスーンの気候はベルベットのように身体にまとわりついて、汗だくでマニラの町を彷徨う僕の体力を奪っていく。日本からたった4時間のこの街では全くと言っていいほど邦人を見かけない。日本からの便