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組織づくりについて

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側島製罐という老舗中小企業で、どうやって組織が変わっているかについての記録。
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#ベンチャー型事業承継

100年以上経営理念が存在しなかった中小企業で社員と一緒にイチからMVVを作った話

今回はMVV策定についての話です。 弊社では今回、約1年という長い時間をかけてMission Vision Value(以下「MVV」という)を策定しました。最近ではパーパスだったりフィロソフィーだったり志だったり、会社によって色んな言い方があると思いますが、つまりは経営理念や行動指針に該当するものです。 今回はMVVをなぜ策定しようと思ったか、そしてどうやって策定したか、について書いていきたいと思います。手前味噌ですが、弊社のメンバーが本気で頑張ってくれたおかげで、可能

経営者が指示命令や評価という特権を手放した会社では一体何が生まれるのか

自分が代表取締役を務める側島製罐では2020年の事業承継開始以来、組織のあり方が大きく変わってきました。古色蒼然とした老舗中小企業をみんなで立て直しをした結果、2021年に経営理念(MVV=Mission,Vision,Values)を策定、2023年に自己申告型報酬制度を導入、「社長」という役職も会社から無くすことになり、現在では従前のようなトップダウン経営から転換して、自律分散型組織のような状態になっています。 この過程で、指示命令・マネジメント・評価・給与決定など、自

”中小企業型ティール組織”という新しい未来への挑戦

側島製罐では2021年に全員でMVVを策定したのち、2023年からは「みんなで経営 自己申告型報酬制度」と銘打った制度を導入しました。今年導入したばかりなので実際の成果などはこれからでほぼ社会実験みたいなものですが、内容としては過去の実績を評価して給与額を決めるというやり方をやめて、各自の自律性や発展性を信じて未来に先行投資する形で給与を先払いするというやり方で、正に社運を賭けた挑戦です。この制度を導入するまでに三年間も要してしまいましたが、考えに考え抜いた末にこの制度に辿り

中小企業の革命は言葉からはじまる

2022年最後の記事です。 仰々しく抽象的なタイトルで恐縮ですが今回は”言葉”についてです。僕が2020年4月に側島製罐に入社してから3年弱を振り返ってみて、大きく変わってきた弊社で最も重要なファクターだったのは言葉だったなと考えています。「組織改革」みたいな話になると行動規範だとかマネジメントだとかそういう冷えたワードが先行しがちですが、言葉という日常的でありながら人と人が繋がるうえで不可欠なツールを疑ったり見直したりしながら血を通わせていって、日々のコミュニケーションを大

パーパスが人の思想を変えるという嘘

パーパス経営とかデザイン経営とかって言葉が躍って自分たちの事業の意義を言語化して再定義する流れがあり、自分たちも例に漏れず会社で理念をイチから作ったりもしたわけなのですが、実際に理念をイチからつくってみて、それを掲げて、カルチャーに変えていって、という一連の体験を経て気付いたところがあるので改めてまとめてみようと思います。 もともと、自分自身は会社の理念を作ったら全員がその理念に共感をして、その理念に基づいて行動するようになるものなのだと思っていました。実際に、弊社ではMi

法律以上の正しさを追い求める勇気

「出張時の移動時間を残業時間としてカウントするかどうか」 約1年前、この点について会社のスタッフとぶつかって、運用を改めたことがあります。今思い返してみると、会社のスタッフのための環境整備とその認識が不十分で、法律を盾にミニマムなルール設計をしがちだった自分の大反省なのですが、会社のルールをつくるうえで非常に重要なポイントだと気付かされた事案だったので、振り返りながら法律以上の正しさを追求する意義について書いていきたいと思います。 世の中の”常識”を基にしたルール設計

優越的地位を手放すことがパートナーとなるための第一歩

自分は会社の意思決定者という立場であり、会社の経営を見ている立場なのですが、このポジションについてからというもののずっとモヤモヤし続けているのがこの”優越的地位”というものです。世の中的には「優越的地位の濫用」という独禁法などの文脈で出てくるくらいの聞きなれない言葉かもしれませんが、結論的にはこの優越的地位というものを辟易していて、いつも何とかして自分から引き剥がそうと試みています。結論的には、この優越的地位を手放すことが、人間らしく楽しく働いていく上での第一歩だなと思ってい

会社の雰囲気を変えるために僕がこだわり続けている3つの事

「どうやって会社の雰囲気を変えているの?」 「どうしたらそんなにみんな前向きになってくれるの?」 最近Twitterを見て聞かれることが多くなったので、自分が1年間で何をしてきたのか書いてみたいと思います。先に誤解がないように言っておきますが、僕の実績も一部ありますが、大半は「変わろう」と努力してくれた社員のみんなのお陰です。 1年前の会社の雰囲気はあまり良くなかった 僕が事業承継で帰ってきたのはちょうど1年前の2020年の4月。帰ってきた当初は会社の雰囲気は決して良い

老舗BtoB企業が広報担当を採用した理由

今回は、老舗缶メーカーで広報担当を採用した話についてです。 先日Twitterで広報担当採用したという呟きをしてから、毎日DMが届いて色んな質問を頂くので、せっかくなのでまとめてみたいと思います。 結論的には次のステージに進むために必要だったということになりますが、やっぱりできることが増えると人も組織も楽しくなるかなあという想いがその一義的な理由の根幹です。 側島製罐と石川貴也について側島製罐のことも石川のことも初めての方もいらっしゃると思うので簡単に紹介しておきます。