3. 公務員とミーティング文化

町役場サイトのリニューアルにかかわったとき(2014年秋〜翌春頃)、そのミーティングの席で気になったのは、町役場の職員さんがあまり〝話さない〟ことだった。始まる前は普通に語り合っていても、ミーティングになると黙ってしまう人が多い。

これは神山に限らず、県庁の職員研修を頼まれたときも他の市町村でも目の当たりにしてきたことで、わりと気になった。

要因の一つは多すぎる仕事量かもしれない。担当業務をひとり黙々とこなさざるを得なくて、あーでもないこーでもないと話し合うようなミーティングの機会は、近年になればなるほど減っているんじゃないか。
総務省の資料を見ると、地方公務員の数は1994年がピークで2016年がボトム。近年は横ばいか微増。

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総務省・H30年度資料より

日本の市町村合併は明治・昭和・平成の三度。最後の「平成の大合併」(1999〜2006)を挟む前後20年弱の「地方財政健全化」を経て、地方公務員の数は大きく減っている。

が、並行して仕事の量も減っているかというと、「むしろ増えている」というのが現場の声だ。

それらを背景に、ミーティングは「出来るだけ早く終えて担当業務を片付けたい」ものになりやすく、必要最小限の連絡報告会議になりやすくて、「自分が感じたことや考えをみんなの前で口にしてみる」機会は減り、不慣れなので積極的には口を開かないループに入って、という感じなんでしょうか。

より沢山の仕事を、より少ない人数で、短時間で…というグローバルなプレッシャーは大企業だけの話でない。

総務省は各市町村に対して、2040年をめどにした「半分の職員数でも担うべき機能が発揮される自治体」への転換を示唆している。地方公務員。私は減らさない方がいいと思うけどな。少なくとも数で考えない方がいいと思う。

単に「仕事量をこなせるかどうか」ではないと思うんですよね。

言葉を交わしながら、それぞれの視点や経験を出し合って、話し始めたときはまだ見えていなかった場所に一緒に辿り着く。そんなミーティングのあり方に不慣れで、そういう文化がなかったら、ますます変動値が高く再現性は低くなってゆく時代をどう渡ってゆくの?

公務員の仕事をめぐる諸状況や、にもかかわらず「例外的な人もいるんだな」と思わせる稀有な町職員の姿が見えてくるのはまだ先で、この頃はただ不思議でしょうがなかった。ミーティングに行くたびに、「なにを考えているのかわからない…」という疲労感を覚えながら家路についていた。(つづく)


*総務省・H30年度資料「自治体戦略2040構想研究会(第8回) 事務局提出資料」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000535868.pdf