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MEETING #01「ほっちのロッヂ」のいま|藤岡聡子さん × 西村佳哲 [録画データと、あとがき]

*Podcastでも聴けるようにしました(2020-8-24)

「MEETING」という、オンラインの公開インタビューというかお話会プログラムを始めることにした。
「あらためて話をききたい」とか「いまどうしてるかな?」と思い浮かぶ人は常々いて、でも電話をかけるのも大袈裟だし、メールやメッセージでは振動が伝わって来ないし、リアルイベントは開くのに時間がかかってしまう。

思い立ったとき、あまり間をあけずに話が交わせて、かつ内容に関心のある人たちと分かち合うことも出来る、カジュアルな場をつくれたらと考えたわけです。第1回は「診療所と大きな台所のあるところ/ほっちのロッヂ」を始めた、藤岡聡子さんのお話を聞いた。(冒頭のスケッチは彼女の会社「ReDo」のプレスリリース記事より)

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その補稿(あとがき)を少し。

藤岡さんは建築家の安宅研太郎さんに、「〝みんなが集まる場所をつくらないでください〟と伝えた」と笑っていた。この話は彼女のnote「【建築のこと、2】凹凸の建物の内外で、小さい出会いの場を個々につくって、そこで活動も染み出し、通りかかった人もちょっと寄って立ち話をするような光景が生まれるように。」にも登場する。

面白いよな。全体を掌握するべく見通しを確保しようとしない。「一人でも、誰かといることが体験出来るようにしたい」と考える。昔、IDEEショップ(青山)の3階にあったカフェで黒崎輝男さんが、「全てを一度に見えないようにする。いろんな片隅がある方が人は居心地がいい」と話していたのを思い出しながら聞いた。

日本庭園の作庭手法も思い出していた。回遊式庭園。桂離宮もそうだし明治神宮の御苑もそうだけど、全体を一望出来る場所がなくて、移動してゆく中で風景が展開する。結果的に人が「動き回る」空間性を持つわけだけど、診療所と大きな台所とその他にもいろんな片隅が連続するこの場所にも、〝ひとが動く〟ことへの期待があるんだな。

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ひとが動くと複数の接点が生まれる。いろんなことが起きる場所になる。高齢者施設や医療施設は(表現が難しいが)「出来るだけなにも起こらない」ように設計されることも多いだろう。でもこのロッヂにあるのは、そういう期待ではないということ。

今年の1月頃、思い出していた彼女の言葉。

「老人ホームにはなぜ老人しかいないんだろう?という疑問に尽きる」とも話していた。「その人たちがただ〝終えてゆく〟以外の役割しか持たないのは変」とも言っていたっけ。僕もそう思う。実際、自分が入ってみたいとか、親を案内したいと思える高齢者施設になかなか出会えない。「つくる方がいいか」とも考えている。

たとえば名古屋・長久手の「ゴジカラ村」は素晴らしかった。でも自分は満足出来ていない(あくまで個人的感想。すごい取り組みだと思っています。見学案内も楽しかった)。
『自分の仕事をつくる』に登場する象設計集団が、インタビューに訪れた約20年前にちょうど設計していたのは幼稚園と老人ホームのコンプレックスだった。(下:山積みのスタディ模型と、設計前の調査資料)

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社会福祉法人・江東園。ここもいつか訪ねてみたい。けど、藤岡さんが聞かせてくれた〝スタッフと入居者が「ケアする/される」役割の中に互いを閉じ込めず、どちらにおいても自由な精神活動が展開する場づくり〟が行われているかどうかはわからない。
「崖の上のポニョ」でも描かれた「老人介護施設と幼児施設の組み合わせ」というアイデアはとてもいいけれど、その組み合わせが「人間性を解き放つ」ことを保証するわけじゃない。

藤岡さんは「〝仕事〟を超えた自分を表現できる、とみんなが感じながら、安心して働ける場を実現したい」と語っていた。「見上げるような30代がまた増えたー」と思う今日この頃です。

話に出てきた「サービス付き高齢者住宅|銀木犀」については、検索すれば無数の記事が出てくる。たとえば「サ高住「銀木犀」から学ぶ新たな社会」とか。世田谷区「たがやせ大蔵」はgreenzの記事がいいかな。「つくりたいのは、地域との気持ちのいい関係。築30年木造アパートから生まれ変わったデイサービス施設」。手掛ける安藤勝信さんは、昨年出会って「こんな人がいた!」と嬉しかった人だ。「福祉楽団」の名前は今日初めて聞いた。

「こんなところがあるよ!」と心に浮かぶ施設・場所・取り組みがあったら、ぜひ教えてください。訪ねてみたい。

9:30〜10:15 現地ガイドツアー 
10:30〜12:00 お話やインタビュー
の二部構成で開催しました。ガイドツアーの中継は、準備の念入りさに欠けた(すみません)。
・前半、西村のビデオ表示がコントロール出来ていない
・後半、屋内に入った頃から接続状態が悪化して、ツアーがしばしば寸断する
等のマイナス要素があるんですが、それでも見てみようという方はどうぞ。(>ガイドツアー|43分

藤岡さんも腰を下ろして、ゆっくり語り合った本編の映像はこちら。
白眉はやっぱり彼女の中に、お父さんがいるなあと思えたところかな。たくさんの偶然に出会いながら、必然を生きているんだなと思った。


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1964年東京生まれ。リビングワールド代表。プランニング・ディレクター。『自分の仕事をつくる』著者。つくる・書く・教える、大きく3つの領域で働く。最新刊は『一緒に冒険をする』(弘文堂・2018)。https://livingworld.net/nish/