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2023年3月のふりかえり|わからないことを急いで考えないで

4ヶ月たまってしまいました(いま7月)。月々のルーティンを崩した主因は「書くワークショップ β」。それについては、来月のふりかえりで。

3月◯日

東京に来ていた若い友人夫妻を、無理矢理つかまえて品川駅でお茶。彼らはふだん長野の山あいで暮らしている。9年前、ワークショップに一緒に参加してきて、そのころはまだ同じ職場の先輩と後輩だった。

この二人のことが好きなんだよね。後輩にあたる女性は、言葉を並べる前に跳ぶタイプ。先輩にあたる男性は慎重さがすこし勝るタイプで、凹と凸が合っている。ワークショップのときも見ていて飽きなかったし、語り合う姿を眺めて幸せな気持ちがした。

考えてみると自分は、嫌いな人は数えるほどで、好きな人は結構多い。そういう人生になった。でも、その人たちとしょっちゅう会って一緒にいられるわけでもない。そう考えると「仕事」というのは本当に貴重な機会だなと、あらためて思う。

*上のInstagramはその女性の方が、山でひらいたカフェ。風景の切り取り方が素晴らしい。線も影も整理されていて「窓をわかってるなー」という気持ち。

二日遅れでとどいたニュース「事故死の聴覚障害児、将来の収入は〝平均の85%〟」という判決に唖然。現状容認的な司法判断にも「あるべき姿から考えないのか?」と思うし、被告側が提示していた6割という主張はなにをかいわんやだが、そもそも結局賠償(お金)の話になってしまう日本の裁判について考えてしまう。そして考える以上のことが出来ない自分について、また考えてしまう。


3月◯日

渋谷の「100BANCH」を切り盛りする則武里恵さんに会い、感動した。本人が信じていることに、愛をもって取り組んでいる人のまわりは、温度が高い。


3月◯日

SOUVENIR FROM TOKYOへ「太陽系のそと」の追加納品に。新国立美術館はルーブル展で混み合っていた。「太陽系のそと」は先月号のPOPYEで紹介されて、それをご覧になった(おそらく)方々からの注文がいくつかつづいている。さすが全国紙。


3月◯日

今月は「インタビューのワークショップ」に一度参加したことのある人を対象に、非一般公開で「インタビューの教室」を開いている。逐語録をベースにしたオンライン版で、今日がその初日になった。

15分間の「きく/はなす」を、語尾の音や、言い淀みまで、すべて逐語録としてテキストに起こす。そして文字を辿りながら、話し手ときき手の間でなにが起きているか、本人を交えて確認・検証してゆく。15分の辿り直しに3時間ほどかかる。

自分が「インタビューのワークショップ」について感じている良さの一つは、それがひとの治療や、癒やし、問題の解消、あるいは成長を目的としていないことだ。中でも逐語録の良さは、理念や概念でなく、事実を踏まえて学べるところにあると思う。


3月◯日

soar・工藤さんのアレンジで会食。いぶきさんと小野寺さんに会う。小野寺さんは弁護士。こんな人がいたんだ。自分の方から名刺交換を始めるのは珍しい(自分が)。また素敵な人に会ってしまった。

soarのサイトで、1月末に聞いてもらったインタビューが公開された。結構長いけど「soarはそれでいいんです(笑)」と工藤さん。池田さんも、Qちゃんも、金澤さんも、ありがとう。

同じ頃、ARDA(芸術資源開発機構)の20周年シンポジウムでも「きく」ことについて話す機会をもらった。哲学対話の永井玲衣さんもお話しになっていて、動画を拝見すると重なるものがあった。自分の話も安心して聞ける。つまりこのこと、「きく」ことは、自分の中で◯◯平のような場所に辿り着いたんだな。ここでのんびりしてもいいし、いろんな方向へ歩き始めることもできる。


3月◯日

夢の中でなにかの推進派と反対派の板挟みになってる人がいて。その人の土地の木を伐る話だったか、なにかを建て替える話だったかよく覚えていないのだけど、推進派は損得を、反対派は正義を互いに強く主張していた。

自分は「わからないことを急いで考えないで、そのまま時間をかければいいんじゃないか」と言う。その時間の区切り方が独特で、いまこの瞬間、90分後、1日半後、1ヵ月半後、1年半後、15年後…という具合に判断のタイミングを緩やかに伸ばしてゆこうと提案している。夢の中では「そうそう」という気持ちだったが、起きてみるとよくわからない。


3月◯日

落合恵子さんと杉並区長・岸本聡子さんの話を聞きに、クレヨンハウスにいく。日記に書いた。


3月◯日

新宿駅の「Paul」でパンを買う。「Paul」のパンの名前はフランス語で、注文時の聞き取りが難しいからかすべてのパンの札には番号も付いている。で、私の前にいた男性が「これ人気順ですか?」と訊ねていて考えさせられた(情報デザインについて)。

秋に開催する「第9回・箱根山学校」の告知ページを公開。二日で満員になった。


3月は、昨夏からかかわってきたある会社のことで、「ちょっと本気出すか!?」と腕まくりをしたら進み方が変わり、まくった袖を下ろしてボタンとめる…ようなことが月末におきた。それでよかったと思う。日々はおだやかさを取り戻し、4月につづく。