“2018年世界で最もググられたTVドラマ” 瓔珞<エイラク>

 気分転換に、今ハマっている中国のTVドラマ『瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~』について語りたい。

 私は共感性羞恥心を感じやすい。ノミの心臓なのでハラハラドキドキすることも苦手だ。そうなると大概の映画やTVドラマは見るに堪えず、どんなに話題で人気があっても見る気になれない。人生かなり損していると自覚はしている。

 そんな私がハマっているのが、現在BS12などで放映中の『瓔珞(えいらく)』という中国の時代劇だ。もともと大学で中国語を専攻していたので中華文化には食指が動きやすいのだが、ある日、新聞のTV欄の広告で見かけて「ちょっと見てみるか」と軽い気持ちで見始めた。

 これがまた面白いのだ。今まで家族や友人が「これ面白いよ~」と映画やドラマを勧めてくれても、「そんなに面白いなら、ひとりでじっくり見てれば良いじゃん……」と思っていた。しかし、今ならば気持ちがわかる。こんなに面白い作品を、たくさんの人に知ってもらいたい。感想を共有したい。語り合いたい。

 というわけで、他人のおススメを散々無下にしておいて何だが、私も私なりに「これ面白いよ~」とおススメさせていただきたい。

瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~
 女官から皇后にまで上り詰めた実在の女性をモデルに描く、中国宮廷ドラマ。2018年に中国で配信されると、その人気は国内にとどまらずアメリカなど海外でも話題沸騰。中国では情報統制のためGoogleが使えないにも関わらず、「2018年世界で最もググられたTVドラマ」となった。

オススメポイント
① 主人公は天才的策士。自分からケンカは売らないが、売られたケンカは絶対に買う。ドキドキハラハラが苦手でも、「瓔珞がなんとかしてくれる!」という安心感がある。

② 女子の大好物トライアングルラブストーリー。俺様皇帝と堅物エリートとの板挟み……切なくドラマティックな三角関係はトキメキ必至!

③ 後宮が舞台なだけあって美しい女性、煌びやかな衣装にメイク、調度品など眼福盛りだくさん。特にメイクは韓国で人気のグラデーションリップの元祖と話題。

あらすじ
 清朝最盛期。魏瓔珞は母代わりだった姉の不審な死の真相を探るべく、姉と同じ女官となって紫禁城に潜入する。後宮の派閥争いに巻き込まれるなどの困難を乗り越えながら、やがて皇后の弟・富察傅恒が姉の死に関係していることを突き止める。殺意を持って傅恒に接近するが、意に反してふたりは惹かれあってしまうーーー。

主な登場人物
魏瓔珞(ぎ・えいらく) Wei Yingluo
 主人公。母親を生まれてすぐに亡くし、代わりに育ててくれた姉を大切に思っている。その姉が女官として仕えていた後宮で不審な死を遂げ、復讐のため姉と同じ女官となり真相を探る。容姿も才知も抜群で困ってる人を放っておけない姉御肌だが、頑固で理不尽なことが大嫌い。

富察皇后(ふちゃこうごう)Fucha Huanghou
 正妻として乾隆帝を支え、後宮を取り仕切る聡明で美しい女性。瓔珞のことを気に入り、自分の住む長春宮の女官に引き立てる。身分が低く学問を修められなかった瓔珞に礼儀や書道などを教え、瓔珞もまたその慈悲深さに心を打たれて尊敬する。

高貴妃(こうきひ)Gao Guifei
 “貴妃”は側室の位のひとつで、後宮のNo.2(本名は高寧馨)。己が成り上がるために他人を死に追いやることも厭わない非道な性格。皇后を引きずり下ろそうと企むが、瓔珞に邪魔をされる。

富察傅恒(ふちゃ・ふこう)Fucha Fuheng
 皇后の実弟、皇帝の義弟。家柄の良いエリートで顔も良く、玉の輿を夢見る女官たちの憧れの的。だが本人はお堅い性格で女性にも手厳しい。擦り寄ってくる瓔珞のことも裏があるだろうと警戒していたが、徐々に惹かれてしまう。

乾隆帝(けんりゅうてい)
 清王朝の最盛期を創出し、不正を働いた者は容赦なく処罰する敏腕皇帝。皇帝である自分さえ利用する豪胆な瓔珞を嫌うが、やがて決してなびこうとしない彼女を我が物にしようとし始める。

・・・

 ストーリー序盤は、才知溢れる瓔珞が気に食わない人からの嫌がらせに対し、倍返しする痛快さが魅力。しかし、物語が進むにつれて変えようがない身分差や権力の前に足踏みをし始め、自然と「瓔珞、がんばれ!」とこぶしを握ってしまう。そして瓔珞は決して挫けず、視聴者の期待に応えてくれる。

 私は「そんな都合良いことあるぅ?」というご都合主義展開が大嫌い。しかし、瓔珞は正論で論破し、ずる賢いとも言える巧妙な策略で相手に仕返しをする。たまにはその頑固さで自ら窮地に立たされたりもするが、瓔珞の才能を認めた人がそっと助けてくれる。

 例えば、彼女を信頼する皇后は「瓔珞は私の希望」と言って、夫であり皇帝でもある乾隆帝にさえ歯向かう。瓔珞もまた、その威を借りるのではなく、自分の能力で皇后のピンチを救って懸命の恩返しをする。ずる賢いが、義理堅い。愛されるべき人間が愛されるのは見ていて心地良い。

 それでいて、いわゆる悪役と言われる側の人間にも事情があり、同情してしまうほど深くキャラクターがつくり込まれている点も良い。

 ネタバレしてしまうので詳しく書かないが、個人的に高貴妃は王子に愛されず魔女になってしまった“灰姑娘(シンデレラ)”だと思っている。彼女が清々しいまでの悪女であればあるだけ、悲哀が感じられて私は高貴妃が好きだ。しかし、彼女は道を外れてしまった。彼女がどんな結末を迎えるかも気になるところ……。

 第30話前後(全70話)まで観た現段階で、今まではどちらかと言えば瓔珞の真の目的である姉の死の真相を探るのがメインだった。しかし、その過程で富察傅恒と乾隆帝がそれぞれに瓔珞への想いを変化させ、三角関係にも波乱の予感。

 傅恒の想いはため息が出るような、純粋で一途な愛。しかし、乾隆帝のそれは憎しみに近く複雑で一筋縄では行かず(一種のツンデレ?)、とても厄介で見ているこちらが苦しくなって思わずうなってしまう。この恋愛模様を見届けるためにも、これからも目が離せない。

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