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10分の瞑想〜一瞬だけ

 犬は16年以上生きて、その半分を私と一緒に過ごした。
最後の1年は、認知症になり、歩けなくなり、それでも歩行器に乗せると一心不乱にクルクルと回り続けた。
歩けないのにもがき続けるので仕事場に連れて行き、犬が寝ている間に仕事をした。
夜中に泣き続けるときは、外気に触れると落ち着くので夜中に散歩をした。
眠くてぼんやりしたまま、ぬるい空気の中をゆっくりと歩いた。

最後の頃は介護疲れと、愛犬が衰えてゆくのを心が受け入れられず、私がノイローゼのような状態になってしまっていた。

 もっと、大らかな気持ちで送りだしたかった。
限りある時間だからこそ、全てを受け入れたかった。さみしさだけではなく、悔いの残る見送りだった為の後悔から、なかなか抜け出せずにいるのだ。

たぶん私の犬は、どんなに私が至らない飼い主であったとしても、私の不幸を望む事はない。

であれば私は私の残りの時間を、もっと大切に過ごさないといけないはずだ。

 今日は10分の瞑想をした。
狭い部屋の中、掛け時計の秒針の音が気になる。
そして頭の中は、さっき検索した事、明日買い物をしたい物、これからの仕事のスケジュールなどでパンパンで、次から次へと考えがわき出し、呼吸に意識を向ける事がなかなかできない。
ああ、10分て長いな、なんて思いながら目を閉じて座っていると、不意にすぅっと身体の中が静かになるのを感じた。

それは本当に一瞬で、次の瞬間にはまたモゾモゾと色々な考えがわき出してはいたのだけれど、しばらくすると10分の瞑想はあっけなく終わった。

 それにしてもまとまりのない考えがこんなにも多いとは、我ながらびっくりする。
その事に1日1度気がつくだけでも、何か違ってくるかもしれないと思った。 

 しばらくは5〜10分の瞑想を続けてみて、慣れてきたらもう少し長めの瞑想も試してみよう。

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