『永遠に僕のもの』 - DJ電熱線のビリビリビリ映画
こんにちは、DJ電熱線です。
ティモシー・シャラメという俳優をご存知ですか?彼は、『君の名前で僕を呼んで』(2018)という映画で多くの日本人女性(だけでなく、男性も)のハートをがっちり掴んだ美少年俳優です。未見の方は是非映画とともにそのご尊顔を拝んでみてください。ちなみに劇中曲には坂本龍一氏が参加していたりと、サントラCDも人気だったようです。
そんなティモシー・シャラメに世界がメロメロになったことを受けて、ハリウッド俳優の定番だったムキムキの男らしさから中世的な線の細い俳優へとトレンドが変化したんだ、革命だ!というふうな非常に的確な分析をどなたかがしてらっしゃいました…。
『永遠に僕のもの』の主人公もまた、美少年が主人公です。天使のような顔立ちの実在した凶悪犯を描いた物語。
(C)2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO
1971年のアルゼンチンで12人以上を殺害した連続殺人事件の犯人である少年をモデルに、スペインの名匠ペドロ・アルモドバルが製作を務めて描いたクライムドラマ。
1971年のブエノスアイレス。思春期を迎えたカルリートスは、子どもの頃から他人が持っている物を無性に欲しがる性格だった自分の天職が、窃盗であることに気づいてしまう。新しく入った学校で出会ったラモンという青年にたちまち魅了されたカルリートスは、ラモンの気をひくためにこれ見よがしな対応を取り、2人はいとも簡単に殺人を犯してしまう。次第にカルリートスとラモンの蛮行はエスカレートし、事態は連続殺人へと発展していく。
本作が映画デビューとなる俳優ロレンソ・フェロが主人公カルリートスを演じる。(https://eiga.com/movie/91023/)
人の家にさらっと忍び込み物品を盗む。そのしなやかさはさながら(女)豹のよう...。
「みんなどうかしてる。もっと自由に生きられるのに」と彼は私たちに訴えかけます。
こういう、破滅にひた走る系映画というのはもう結末がそれでしかないのですが、奔放かつ無邪気にスクリーンのなかを動き回り、人を殺しても「あ、しまった」というぐらいの軽やかさがシーンをパッと明るくしてくれる、そんな彼に魅了されます。
(C)2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO
ドヤっと音が出てきそうなキメ顏ショットが何度も繰り返されるのですが、それさえも嫌味にならない、これはきっと見た目の良さだけではない、内面から湧き上がるじっとりとした色気ですね、きっと。
(C)2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO
だけど、そんな彼がふと輝きを失う瞬間というのが誰かの指示どおりに動かなければいけないとき。美しい動物というのは古今東西、だれかが手に入れたくなるものでしょうが、飼いならしてしまうと元の美しさは半減してしまうもの。
DJ電熱線のお気に入りのシーンは、物語序盤の忍び込んだ屋敷でレコードをかけてダンスする場面と、ラストでやはり同じようにひとりダンスするシーンです。踊ってるだけでもいいよ。美少年よ、自由であれ!
2018年製作/115分/R15+/アルゼンチン・スペイン合作
原題:El Angel
配給:ギャガ
https://gaga.ne.jp/eiennibokunomono/