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質問:精神科看護師から診療看護師(NP)になるのは難しいか?精神科勤務に診療看護師(NP)は必要か?

前提として、私は精神科領域の臨床経験がないことをご了承ください。

・精神科看護師から診療看護師(NP)になるのは難しい?
私の考えでは、難しくないと思います
ただ、精神科領域でも慢性期なのか急性期なのかで、ご本人が感じる難易度が変わると思います

例えば、精神科救急や身体合併症管理に携わる人と、慢性期管理や在宅・社会復帰・支援に携わる人では同じ精神科看護師でも思考過程が異なるでしょう
大学院入試で考えると、
・前者なら、受験勉強は臨床で得た知識や経験を活かしながらできるでしょう
・後者なら、臨床で得た知識や経験と受験勉強で学ぶ医学知識、看護学知識がリンクしづらい部分があるかもしれません
また、入学後の大学院教育で考えると、
・前者なら、受験勉強は臨床で得た知識や経験と診療看護師(NP)の教育がリンクしやすいでしょう
・後者なら、臨床で得た知識や経験と診療看護師(NP)の教育の繋がりがイメージしづらいと感じるかもしれません
ちなみに、私が実際に受けてきた教育や周囲の話を聞く限りでは、大学院教育で精神科領域に関する講義はほとんど行われておりません


業務量やアセスメント力を増やしたいとお考えのようですので、恐らく前者寄りの方なのでしょうから、精神科勤務でも診療看護師(NP)の能力は活かせると思います。
また、後者だとしても、例えば解剖生理や病態生理の知識は精神科領域でも必要でしょうから不要ではないと私は考えます。

前者にしても後者にしても、優先順位として何を選択するか?
確かに診療看護師(NP)の教育で解剖生理や病態生理、医師の思考過程を学べるでしょう。
その反面、精神科領域に関する深い知識や地域在宅、社会復帰や支援に関する知識はご自分で学習していく必要があるでしょう。精神科に勤務されているとなると、尚更満足する程は大学院教育では学べない可能性が考えられます。


週3~4日の社会人入学の大学院もありますが、全日制と比較するとどうしても学習時間を確保することが難しくなる
とはいえ、全日制の大学院に入学しても、満足する程の精神科領域の教育はされない
大学院在籍2年間の学習時間と引き換えに、時間的制約が生まれる

やりたいことによっては、もしかすると特定行為研修の精神科領域の区分の受講、精神科認定看護師や精神看護の方が適している可能性も出てくるでしょう

資格を取ると、役割や求められる能力が今までとは変わるため、やりたいことや出来ることが変わってくる
精神科看護師から診療看護師(NP)になるのは難しくないでしょう
ただ、時間と決して安くない費用が発生する
なので、自分のやりたいことを踏まえて今一度考えてみても良いかもしれませんね


・精神科勤務で診療看護師(NP)になる必要はあるか?
私の考えでは、必要あるでしょうが、その度合いは環境による影響が大きいと考えます
これは精神科に限った話ではなく、どの領域や診療科でも言える急性期なのか慢性期なのか、医師の数や理解、看護部や診療部などの管理者の理解や意向といった話です

例えば、常に医師が病棟にいる環境でどれくらいの人が診療看護師(NP)を必要としてくれるか?
例えば、退院していった患者に対して診療看護師(NP)がアプローチすることを、訪問看護ステーションを併設していない病院の管理者が理解を示してくれるか?

精神科領域でも診療看護師(NP)の能力、出来る事はたくさんあるでしょう
ただし、それは周囲の理解や協力があって初めて可能になる

質問者さんの周りのスタッフは、現時点で診療看護師(NP)という存在に対してどれくらい必要性を見出してくれるか?
もしくは、現状で困っていること、課題、改善点が挙がっていて、それを解決するのに診療看護師(NP)の方が都合が良いか?

精神科勤務で診療看護師(NP)になる必要性は決してゼロではない
ただ、現状はその必要性を自らが見つける、作り出していく作業が必要かもしれませんね。

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