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特定行為研修が21区分38行為を修了していなくても、診療看護師(NP)の資格があれば医師の包括的指示で特定行為を含む業務は実施できるでしょうか?

おそらく診療看護師(NP)と診療の補助における一部分である特定行為をセットで考えているので、このような疑問が出てきたのでしょう。

先に結論を申し上げると、実践できるかどうかに関しては、診療看護師(NP)の資格が有っても無くても実践することは可能です。というよりも、看護師であれば誰でも、たとえ特定行為研修を修了していなくても、特定行為と呼ばれる診療の補助を実施することは可能です。

質問に対する回答を見て、もしかすると新たなクエスチョンマークが生まれたかもしれませんね。
これは厚生労働省の「特定行為に係る看護師の研修制度」に色々と記載されているので詳しくはそちらの参照をお願いします。(厚生労働省-特定行為に係る看護師の研修制度 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077077.html)

今回は、該当するであろう部分を一部抜粋してみます。
特定行為とは、「診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる次の38行為」と記載されています。(厚生労働省-特定行為に係る看護師の研修制度-特定行為とは https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000050325.html)
また、「現行と同様、医師又は歯科医師の指示の下に、手順書によらないで看護師が特定行為を行うことに制限は生じません。本制度を導入した場合でも、患者の病状や看護師の能力を勘案し、医師又は歯科医師が直接対応するか、どのような指示により看護師に診療の補助を行わせるかの判断は医師又は歯科医師が行うことに変わりはありません。」とも記載されています。(厚生労働省-特定行為に係る看護師の研修制度-制度の趣旨 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070423.html)

いかがでしょうか?
以上を持って質問の回答とさせていただきます、なんてするとせっかく質問していただけたのに失礼なので、もう少し噛み砕いてみます。
・保健師助産師看護師法という法律で規定されている通り、看護師の業は療養上の世話と診療の補助である。
・保健師助産師看護師法という法律で規定されている通り、看護師は医師の指示のもと診療の補助を実施している。
・特定行為は「診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる次の38行為」である。
・特定行為は「現行と同様、医師又は歯科医師の指示の下に、手順書によらないで看護師が特定行為を行うことに制限は生じない」。
・以上より、医師の指示があれば、看護師であれば誰でも、たとえ特定行為研修を修了していなくても、特定行為と呼ばれる診療の補助を実施することは可能です。
ここから、実施しても良いという許可があることが分かると思います。
もう少し厳密に言うと手順書の有無で話は変わるのですが、まずは大筋が理解しやすいようにここでは割愛します。

そして、診療看護師(NP)は、国家資格という括りで見ると当然看護師なので、特定行為と呼ばれる診療の補助を実施することは可能です。
ちなみに、診療看護師(NP)とは日本NP教育大学院協議会が認定する民間資格を取得する必要があり、日本NP教育大学院協議会は診療看護師(NP)を「本協議会が認めるNP教育課程を修了し、本協議会が実施する NP資格認定試験に合格した者で、患者のQOL向上のために医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行うことができる看護師」としています。(日本NP教育大学院協議会-診療看護師(NP)とは https://www.jonpf.jp/document/np.pdf)

今までの話から重要な視点として、実施することは可能なのですが、実施できるだけの能力が備わっているかどうかはまた別の話です。
例えば、気管挿管は診療の補助なので、医師の指示があれば看護師であれば誰でも実施することは可能です。ただし、実施可能だからといって実施する人はどれくらいいるでしょうか?
おそらく「実施しません」と答えるでしょう。法律的には許可されているので実施することは可能でも、自分の能力を勘案して「実施しない」と判断するでしょう。気管挿管に関する知識や経験が安全に業務を遂行できるレベルまで到達していない、自分が実施したら患者に害を与えてしまう、と自分の能力を顧みた時にそう考えるからでしょう。
許可と能力はそれぞれ別々の話なのです。

まとめると、質問のお返事としては特定行為研修を全て修了していなくても、NP資格が有っても無くても、医師の指示があれば「特定行為を含む業務」をすることは可能です。法律の観点から許可はされています。ただし、実施できる「能力」が備わっているかどうかまでは分かりませんので、医師が「能力あり」と判断するか、「能力なし」と判断するかどうかで医師の指示が出るかどうかが決まります。

色々書いていたらややこしくなってしまい申し訳ないです。
質問のお返事になっていれば幸いです。

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