急性期で特定行為をする時に手順書を事前に用意できるのか?特定行為自体が時代のニーズに合っているのか?
「特定行為自体が時代のニーズに追いついていないと感じる」のは、実施する行為に視点が置かれているからかもしれません。これは後ほど個人的な独断と偏見を記載します。
さて、組織や管理職の考えや特色があるので一概には言えませんが、私個人だけで考えるなら、手間は掛かりますが難しくはないと思います。というのも、厚生労働省で「特定行為に係る手順書例集」が公表されているので、それを雛形にしてそれぞれの現場に合わせて文言や表現や範囲を変更していけば作成可能と考えているからです。
(厚生労働省-特定行為に係る手順書例集 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111457.html)
ただ、組織や管理職によっては独自のものを作りたかったり、既存のものを活用したり応用することに難色を示すことが考えられるので、そうなると手間暇掛かるかもしれませんね。
例えば「採血してください」とか「静脈路確保をしてください」とか、色々な姿形をした医師の指示があって、現場で運用されているのだから、手順書だって体裁が保たれていればどんな姿形をしていても良いのではないかと思いますが、雇用されている身としては組織や管理職の方針に従うことも大切ですね。
ちなみに、「急性期で特定行為をする時」とは、いざ実際に現場で、ベッドサイドで、特定行為を実施する時だとは思うのですが、難しいとか簡単とかは関係なく、用意しなければならないものです。手順書とは医師の指示の一つの形なので、例えば「事前に用意することが難しかったので今は手順書がありません。」ということは「今は医師の指示がありません。」と言い換えられるでしょう。すると、根本的なお話として、そもそも医師の指示がないので特定行為と言われている診療の補助の一部分は実施できません。
厳密に言えば、実施できない訳ではないのですが、包括的指示とか具体的指示といったお話に広がって話が長くなるので、今回は割愛させていただきます。気になる方は他の回答を参照ください。
最後に、「特定行為自体が時代のニーズに追いついていないと感じる」ことについてです。
確かに特定行為に挙げられている項目を見ると質問者さんがそう感じる理由は理解できます。ただ、特定行為研修という制度の中身を見てみると同じような感情を抱くでしょうか?
以下、厚生労働省HPの「特定行為研修とは」から引用です。
「特定行為研修は、看護師が手順書により特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上を図るための研修であって、特定行為区分ごとに特定行為研修の基準に適合するものであること。」
(特定行為研修とは https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077114.html
)
診療の補助の一部分である特定行為を実施する際に必要とされる「理解力、思考力、判断力、高度かつ専門的な知識や技能の向上」を図ることが特定行為研修です。なので、特定行為そのものは確かに時代のニーズに追いついていないかもしれませんが、特定行為をきっかけにした「理解力、思考力、判断力、高度かつ専門的な知識や技能の向上」は時代のニーズに追いついていないと言えるでしょうか?それとも、そもそもの話で特定行為が時代のニーズに追いついていないのだから、それをきっかけにしたところでやはり追いついていないと感じるでしょうか?
個人的には「理解力、思考力、判断力、高度かつ専門的な知識や技能の向上」は大切なことだと思います。診療の補助を重視する人もいれば療養上の世話を重視する人もいるので、人それぞれ色々な考えがあるでしょうが、どちらにとっても「理解力、思考力、判断力、高度かつ専門的な知識や技能の向上」は必要なことではないでしょうか。
色々長々と書きましたが、少しでも何か参考になれば幸いです。
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