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診療看護師(NP)と海外版ナース・プラクティショナーと法律改正と特定行為研修と国の思惑と…

過去のX(Twitter)のまとめ

以前は議論の結論は出てなかったし、エビデンス構築とか良い研究結果とかで、もしかしたら良い流れになるのかもしれないなぁ〜なんて淡く思っていた時期はあって、だから興味関心があったけれど、今となっては…
とはいえ、流れを見失わないようにはしているので、気が向いた時にそんな話をしてみる

R6.6.11に公表された内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針2024 (原案)」に以下の記載がある
p.37 タスクシフト/シェアや全世代型リ・スキリングの推進等による「生産性の向上
p.38 タスクシフト/シェア、医療の機能分化と連携など地域の実情に応じ、多様な政策を連携させる必要がある。

また、セルフケア・セルフメディケーションの推進と関連して以下の記載もある
p.41 この取組は、国民自らの予防・健康意識の向上、タスクシフト/シェアの取組とともに医師の負担軽減にも資する

ここから内閣府は国政運営を行うため、タスクシフト/シェアは国の方針としてこれからも引き続き継続されることが推察される

内閣府
令和6年6月11日
令和6年第8回経済財政諮問会議
経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)に向けて より引用。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0611/shiryo_01.pdf


一通り見て、法律改正に関する記載は見受けられなかったので、恐らく「現行の法律における」タスクシフト/シェアの話でしょう
見落としがあればご教授いただけますと幸いです
とはいえ、医師の働き方改革でも「タスクシフト/シェアの推進」とあり、将来的な法律改正に関する記載はありませんが…

厚生労働省
医師の働き方改革概要 より引用。
https://mhlw.go.jp/content/10800000/001129457.pdf


では、いつまでタスクシフト/シェアの推進されるでしょうか?

これは令和5年6月16日に公表された規制改革推進会議でまとめられた規制改革実施計画が参考になるでしょう
まず規制改革推進会議とは、内閣府の中に位置付けされており、これまた国の方針を考える際に重要な立場にあると言えるでしょう
その規制改革推進会議は令和元年以降、毎年議論、検討を行いその年々で答申を内閣府へ提出しています
ちなみに、今年度分はまだ出てないので、最新版が令和5年6月16日に提出されているものです
その中には在宅領域や地域医療におけるタスクシフト/シェアに関していくつかの記載があります

そこには以下の記載があります
p.81-83 (3) 医療関係職種間のタスク・シフト/シェア等
a-① 看護師が医師の包括的指示を受けて行い得る業務を明確化するため、現場のニーズを踏まえて、包括的指示の例を示す
a-② (医師と看護師の)適切な連携の下に円滑に対応されている具体例を示す。

b-② 医師が(手順書を)簡易に作成できる様式例の検討や看護師の裁量をより拡大するなど、現在の標準的な手順書例を改定する
b-③ 特定行為(診療の補助)について、その運用状況と地域医療におけるニーズを現場の医師及び看護師等から把握し、特定行為の拡充について検討する

c ①地域の在宅患者に対して最適なタイミングで必要な医療が提供できないため患者が不利益を被る具体的状況や②そのような具体的状況において医師、看護師が実際に果たしている役割や課題を令和6年度及び7年度に調査し、更なる医師、看護師間でのタスクシェアを推進するための措置について検討する

これらの実施時期は以下の通りです

a:令和5年度措置
b:①②令和5年度検討開始、遅くとも令和6年度措置、③(前段)令和5年度措置、③(後段)令和6年度検討開始、令和7年度結論
c:(前段)令和6年度及び令和7年度措置、(中段)令和7年度結論、 (後段)令和7年度

内閣府
令和5年6月16日
規制改革実施計画 より引用。
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/program/230616/01_program.pdf


以上より、令和7年度までの流れが想定できるでしょう

実施が決定していることは「例を示す」や「改訂する」と記載されている
なので、文言をそのまま受け取るならば「検討する」ことが令和7年度まで継続される
検討した後が気になりますね
実態調査?各種団体へヒヤリング?それとも法律改正の流れ?

検討した後、すぐに法律改正になる程簡単な話ではないでしょうし、そもそも令和7年度ってもうすぐですからね

予算とか、国会とか、関係各所との調整とか、他にも想像できないような色々な準備や根回しやあれやこれやが行われてからでしょうから、個人的には今後数年で何かが変わるとは考えにくいです


また、国の方針が何か調べる上で「医療計画」も参考になるでしょう

医療計画とは、都道府県が地域の実情に応じて医療提供体制の確保を図る際に活用される国の基本方針です
6年毎に計画されており、現在は2024年から2030年に運用される第8次医療計画が開始されています
そこには以下の記載があります

p.5 令和6年4月から医師に対する時間外・休日労働の上限規制の適用に当たり、各医療機関において、(中略)タスク・シフト/シェアの推進等による医師の業務負担の軽減等、勤務医が自身の健康を確保しながら働くことができる勤務環境の整備に向けた取組が進むよう支援することが重要である

医療計画作成指針p.17-18 在宅医療等を支える看護師や感染症の発生・まん延時に迅速かつ的確に対応できる看護師を地域で計画的に養成していくため、地域の実情を踏まえ、看護師が特定行為研修を地域で受講できるよう、(中略)研修体制の整備に向けた計画について、具体的に記載すること。

厚生労働省
第8次医療計画について より引用。
https://mhlw.go.jp/content/001108169.pdf…


以上より、2024年から2030年の間で決定していることは

・タスク・シフト/シェアの推進等による医師の業務負担の軽減等、健康を確保しながら働くことができる勤務環境の整備に向けた取組を支援する
・地域の実情を踏まえ、看護師が特定行為研修を地域で受講できるように研修体制を整備していく

なので、まとめると
・経済財政運営と改革の基本方針2024 (原案)、規制改革実施計画、第8次医療計画の3つだけではあるが国の方針がなんとなく伺える
・それらには現行法でタスクシフト/シェアを推進、看護師の特定行為研修の研修体制の整備について記載されている
・少なくとも2024年以降の話である

これは妄想ですが、もしも法律改正の話を誰かがするとしたら、タスクシフト/シェアを推進しても目標を達成できなかった時、あるいはできない事が具体的に予測できるようになった時かもしれませんね

ちなみに、医師の働き方改革は2035年度末を目標にB水準の解消やC水準の縮小を目指しているそうですよ

またまたちなみに、規制改革実施計画にナース・プラクティショナー制度に関する記載はありますが、平成31年3月28日に公表された「医師の働き方改革に関する検討会 報告書」に記載されている内容であり、以前から何度も引用されているものですので、突然出てきた訳ではございません

厚生労働省
医師の働き方改革に関する検討会報告書
https://mhlw.go.jp/content/10800000/000496522.pdf…
報告書の概要 より引用。
https://mhlw.go.jp/content/10800000/000496523.pdf


おしまい。


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