質問:キャリアップを考えてます。特定行為研修修了者(いわゆる特定看護師)と診療看護師(NP)の違いはありますか?
施設によって活動スタイルは異なりますので、私の知る限りの話であることをご了承ください。
・特定行為研修修了者(特定看護師)と診療看護師(NP)の違いはあるか?
現場で特定看護師と診療看護師(NP)の違いは数多くあります。
特定看護師は病棟の1スタッフとしてリーダー業務やメンバー業務を行いつつ、特定行為研修で得た能力を臨床に還元しています。
なので、活動スタイルは今までと同じなので、今働いている現状をイメージして頂ければ良いかと思います。その中で、日々のアセスメントが幅広く行えたり、病態生理や治療の理解がより良くなったりするでしょう。
診療看護師(NP)は診療科の1スタッフとして、診療の流れに沿って大学院で得た能力を臨床に還元しています。
なので、活動スタイルは今までとは異なり、カンファレンスや回診で患者の治療方針や今後の診療計画をプレゼンしたり、採血結果や画像所見から患者の病状を治療経過を判断したり、その治療経過に合わせて薬や点滴の調整が必要か判断したり、今後の転院や退院に向けて必要な社会調整は何か判断したり、様々なことを行います。
また、診療科によっては手術やカテーテル治療の助手、救急外来で初療を行うこともあるでしょう。
両者に共通する部分は、例えばRSTやPICCなどの施設が求める院内活動を行なっている人がいることでしょう。
また、院内研修や特定行為研修などの教育に携わる機会もあるかもしれません。
簡単ですが、両者の違いは上記の通りで、全く異なります。
厚生労働省のHPには、特定行為研修は「看護師が手順書により特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上を図るための研修」と明記されており、特定看護師になるとそれらを習得していると考えられます。
日本NP協議会のHPには、診療看護師(NP)とは「患者のQOL向上のために医師や多職種と連 携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行うことができる看護師」と明記されており、診療看護師(NP)になると一定レベルの診療を行うことができる能力があると考えられます。
なので、診療看護師(NP)を目指したい気持ちは理解しますが、そもそもご自身の興味関心ややりたいことと照らし合わせてかけ離れてはいないでしょうか?
キャリアアップとして特定看護師や診療看護師(NP)を選択しても、働き方は異なるでしょうが、給料面は大きな差は生まれない印象です。
また、院内で規定されている場合を除いて、どちらを取得しても役職がついたり昇進することもない印象です。
なので、お金と時間を使って取得するからには、何かしら活用する場面や方向性を想定しておくことをお勧めします。
ちなみに、診療看護師(NP)養成大学院には当然ながら年齢制限はなく、30代後半や40代の学生もいますし、ご家庭と両立しながら進学される人もいますので、ご家庭のある40才手前の質問者さんは何も珍しくないでしょう。
ただ、杞憂であって欲しいことがあって、今年度や来年度で新規に診療看護師(NP)養成大学院が増えており、今後も増えていく可能性があることや、恐らく今年度以降から毎年100名程の診療看護師(NP)が誕生することを踏まえると、そのうち需要と供給のバランスが保たれて入学試験が難しくなったり、受験生を選ぶ基準が難しくなることです。
また、認知度が高まるにつれて、進学を希望する人が増えて、大学院受験の倍率が高くなるかもしれません。
とはいえ、数年でそうなるとは考えにくいですが、少なくとも年齢を考えるとあまり時間を掛けるのも悩ましいでのはないでしょうか?
それならば、もうスパッと諦めてしまうのもアリでは?
もしくは、受験料を投資と割り切って特定行為研修や診療看護師(NP)養成大学院を受験してみては?
特定行為研修にしても、診療看護師(NP)養成大学院にしても、合格しなければその先の話は無い訳で、合格してから進学をどうするか悩むのも良いかもしれませんね。
年齢やご家庭のことも考えると、なかなか決断するのは難しいですよね。
他にも何かお力になれることがあれば教えてください。
納得のいく選択ができることを祈っています。
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