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病歴18:抗がん剤治療終了から3か月

抗がん剤治療が終了して3ヵ月が経った。
その後の髪の毛のことを書こうと思う。

6クール18回の抗がん剤治療が終了したのが4月中旬。
終わってからの一か月が、一番、体毛が減った。
頭髪は、前髪とうなじの一部を残し、かなり、つるつるになった。
丸刈りした人と異なり、毛根自体が眠ってしまっているので、薄青くならずに肌色のつるつるの状態。
まばらに髪が残っていたところがあるので、自分で見てもみすぼらしく感じた。

その頃は、まつ毛も眉毛も、すっかり抜けていた。
自分の骨格を意識して眉毛を描くとはこういうことかとやっとわかるほど、自分の眉がないから描けるライン。
アイラインを引かないと、より一層、ぼんやりとした顔になる。
仕事の時だけは、いつも以上に目の周りと眉だけは描くようになった。
アイライナーに眉墨を買ったのなんて、何年ぶりだろう。これがなかなか減らんのだ。

そうこうするうちに、頭を洗おうと触れると、やけにざらざらして感じるようになった。
手触りが悪いのは肌荒れをしているのではないかと思ったが、それが頭部だけではなく、全身に及ぶにつれて前兆だとわかる。
毛が生え始めたのである。
イメージ的に、鳥皮である。羽毛がはえるときにさやにおさまっているが、そんな状態。

鳥肌が立っているようなビジュアルと感触が気持ち悪かったのであるが、頭部のマッサージは強迫的におこなった。
抗がん剤治療が終わって2週間は待ってから(直後に行うと逆に血行がよくなって抗がん剤が頭部に多く回らないように)始めたのであるが、頭頂部が生えにくいと聞いて、特に念入りに繰り返した。
使ったのは、泡立たないタイプの洗髪料で、メントール配合のもの。髪が抜け始める前に購入していたものである。
髪が抜け始めてからはベビー用のポンプ式で泡フォームになるシャンプーで撫でるようにしか洗っていなかったが、そちらは泡が消えやすくマッサージには向いていないので、図らずもちょうどよいものを買っていたようだ。

そして、6月になり、髪が生え始めて1か月ぐらいして、美容院に行った。
目的は2つあった。1つは、髪の毛がまんべんなく生えているか、はげそうなところはありそうかの確認のため。
もう1つは、美容師さんには来るのが早いと言われたが、説明せずとも、私の状態を見てわかってくださった。
というのも、ところどころ、抜けなかった髪も一緒になって伸びてきたため、そのひょろひょろとした髪がもつれたり、絡まったりしやすく、手に負えなかったのだ。
もつれてちぎれて痛いこともあったし、帽子を脱ぐときに恥ずかしいと感じていた。
そこを揃えてもらってことで、その後、洗うときにもぐっと扱いやすくなった。
抗がん剤治療を受けた人は、治療終了後の早い段階で残っていた髪を整えることは、強くお勧めしたい。

この頃、「仏道に帰依した人かモードの人」と言われたことが愉快だった。
自分では、野球部の中学生と言っていた。
両親は男の子がいるみたいと面白がっていた。
如実に、私の回復のサインになっていた。

そんなこんなで、髪が生え始めて2か月。
つまり、今は2センチまではいかないが、結構、髪が伸びてきた。地肌が見えなくなり、帽子を取っても自分が見慣れて平気になってきた。
乾かすのはタオルで拭けば十分なので、洗うことには時間がかからないので非常に楽だ。
ただ、こうなってくると寝ぐせもつきやすくなる。襟足も少し伸びてきた感じがして、そろそろ次の美容院の予約を入れることを考えている。
ボンネットタイプの医療用帽子を買ってみたが、これは使わないままになりそうだ。
ネットでまとめて買った綿100%の薄手のニット帽子がなんだかんだで使いやすい。
とはいえ、感染症流行の折、マスクもつけて、帽子もつけていると、暑くて仕方がなくて、もうはずしていいことにした。
最初は運転中。次に買い物。そしてもう、出勤も、帽子をはずしている。
ただ、冷えると頭皮がぎゅっと縮んで鈍い頭痛を感じるので、冷房対策として鞄に帽子は入れているけれど。

抗がん剤治療が終了して3ヵ月も経てば、そこまでなるから。
だから、これから治療を受ける人、今受けている人、髪の毛のことはリカバリーするから、あまり心配しないでいてほしい。気に病まないでいてほしい。
きっと、大丈夫。

大丈夫じゃない点としては、神経障害は継続している。
手足の指に痛みがある。足裏は砂利道を裸足で歩いているような痛みがあるし、歩きすぎると指先に針が刺さるような痛みがしてくる。指先も針が刺さるような痛みがしているし、力が入りにくくて作業がしづらい。
維持療法としてプラチナ製剤の服薬が始まってからは、いったんはやわらいだ動悸や倦怠感が強くなり、吐き気や味覚障害がなかなかつらい。

それでも、楽しいことや嬉しいこと、幸せなことはある。
世界にはたくさんの慈悲深い妖精女王がいて、私に元気をくださる。
今週はまだお会いしたことはないがお姉さんのように慕っている年上の友人の方が、季節の桃を送ってくださった。
よい香りの漂う美しい、不老長寿の実だ。

だから、1日ずつ、今日を生き延びていこう。


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