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感想『RRR』と『バーフバリ』2作

点滴中、とにかく寝ないように意識を保たなければならないが、出歩くと点滴の落ちる時間が長くなるのでじっとしなければならない。
その解決策として、というか、思いつきであるのだが、映画を見てみようと思った。
といっても、この数年のコロナ流行下、抗がん剤治療を継続して免疫が下がっているために集団を避け続けているため、新しい映画の情報にはうとい。
そして、できれば爽快感がありそうなものがよいなーぐらいの感覚で、数年ぶりにAmazon Videoを開き、見つけたのが、『バーフバリ』。
2作あるうちの片方、吹替版ならただで見られるではないか。じゃあ、それにしてみよう。
それぐらいの感覚で見始めた。

それが1作めの「伝説誕生」のほう。
むっちゃ続きが気になるところで終わって、ぐわーっと叫びたくなった。
無事、午後の間は寝ずにすんだ。

続きの2作めの「王の凱旋」は一日開けて見たのであるが、字幕版にしてみた。
モニターがスマホなので、吹替版のままでもよかったかもしれない。
この物語は本当によくできているなぁ。2作を繰り返し見直して、そこがこうか!とつながりを確認したくなる人の気持ちがよくわかる。
聖剣伝説とかFinal Fantasyとか、ゲーム動画を見ているような気分になりつつ、楽しんだ。
実は、そこまで、感情を揺さぶられる感じはせずに、睡魔との戦いという業務遂行のために見た感じだった。

そして、本日見たのが『RRR』。
イギリス統治下のインドが舞台であること、バーフバリと監督が一緒らしいこと、ダンスがすごいことぐらいの前情報しか持たずに見た。
だから、このタイトル、一体、どないな意味やねん、とか、なにもわかっていない人が見た感想である。それでも少し、描いておきたくなったのだ。

1920年代のインド。
太陽が沈まぬ帝国として世界に冠たるイギリスがインドを植民地にしていた時期。
その鼻持ちならぬ傲慢で残酷な支配者の描写は、イギリスやアメリカがナチスドイツを描くときのいやらしさに並ぶと思った。
描き手が変わると、目線が変わる。見える景色が変わる。
それぞれの使命を背負ったビームとラーマという2人のインド人男性が出会い、物語は進んでいく。
前半の主人公はビームっぽいけど、後半はなんといってもラーマだ。もう、ラーマヤーナだ。
おそらく、インド神話や古典を知っている人ほど、にやにやしちゃうんじゃないかな?
ラーマの恋人の名前はちゃんとシータだし、シータのところにラーマを連れてくると言ったら、ビームはハヌマーンでしょ。ある意味ではガルーダであり、ラーマはビームを通じて何度も神に命を救われる。クリシュナのように4頭立ての白馬の戦車に乗っちゃうし、もうもうもうたまりませんわ。
前半から、インテリジェントでマッチョ、少し影があって、肝心なところで死亡フラグが立ちそうな雰囲気のラーマさんのほうがお気に入りだったのですが、最後、完全に化けたというか、生まれ変わったというか、神の供物となり、神の現身として降臨した祝祭としての戦闘がすごかったです。

戦闘場面は残虐さがないわけではありませんが、武器の多様性、戦闘の多様性に目を奪われておりました。
仏像などを見ていると、特に八部衆など、様々なものを武器として持っています。
羂索なんて武器らしからぬ…と思った私が不見識でした。
特にバーフバリの方では鎖をとてもよく使いこなしておりました。
この武器の使い方、柔軟性、鍛えられたややむっちりな肉体そのものの美しさは、ゲーマーとしても、仏像好きとしても楽しめるなぁと思いました。

この三作を通じて、どれも祝祭という言葉が頭に浮かびます。
神々との一体感、その高揚感。ものすごく、エネルギーが高い。
その最高潮が、『RRR』のエンディングなんだと思うんです。
1920年代からのインドの独立を、近代を、胸を張って祝祭的に喧伝することができるというのは、なんと力強いことなのでしょう。
彼らの自信や自己肯定感、今、盛り上がっている国、成功を目指すことができる国としての力を感じました。
今のインドにも問題が様々あるとしても、国力が上向きであるってことはこういうことなんだろうと思いました。

と同時に、この『RRR』という映画は、すべての不当な侵略に対する抵抗の物語であり、抵抗している人々への応援であるようにも感じました。
ResistanceのR。RebellionのR。そして、RevolutionのRだと、胸熱だなぁ、と思ったのです。

『RRR』、吹替版で見ちゃったけど、字幕というか、言語で聞きたかったなぁ。
長くて、どうしても細切れにしか観られませんでしたが、面白かったです。
おかげさまで、あっという間に、明日、退院です。

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