【詩】引越し

妹の教科書はゴミステーションへ行った。
近所の美容室で、
誰もいない開店前の朝、
タオルが日陰に揺れていた。
しかし帰って来た。
ただならぬ ….
いいや、そんな話は後にして ….
まだ暑い日々が続いている。
引っ越し屋の汗が滲むだろう。
あの部屋は涼しいままだろう。
しばらく!
ピアノ椅子から振り返った
スコール。
皆一斉に騒がしくなった
仕舞いにはぽっかり消えて
置き去りにされた私たちの
元にやって来たメッセージ
嫌な通知。
そうさ都会は ….
星空は、群衆は、俳優は、
どうだ ….
マカロニグラタン
サンドイッチマン
食パンは変わっていた
アメリカンコオヒイ
やんだやんだ、ほら
カーテンレール
 窓
  壊れたインターホン
   鳥
    路地の先、井戸端会議。
手を出す、手を振る、
ほどなくして運び込まれる。
なんか似合わないよ!
奥まってた
綺麗なもんだ
写真立て掴み
チリ ホコリ ナシ
インスタントだけど
目を閉じて
懐かしき
明日は
離島から
明後日は、
いいよ私が持っていくよ
そのままで そのままで
こうして立派な家はまた古ぼけていった。

2024/09/07 08:50~09:24 大船駅前のカフェにて

作:矢野南

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