【詩】「傷跡」「眠り」「再会」

傷跡

世の痛みを均し
私たちを襲う痛みに
耐えられない私たちは
感覚を押し潰されたまま
この体格で生きているのだ

2024/06/28 病魔 自宅にて


眠り

眠れるのならばいい
薬を飲んでみるがいい
涼しげに管理された部屋で
お前も無意味な迷いを真顔で

2024/06/28 自宅の浴槽にて


再会

金槌が呼んでいる
島々に続け

怒りを持つ怒り
痛みを持つ痛み

囃子を待っている
鼓動を待っている

灯った 灯った 茶を沸かせ
帰った 帰った 入れ替われ

遠くの音だ
それでもまだ消しやしない

2024/06/29 列車の窓際にて


作:矢野南

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