【詩】「親戚」「夏至」「倦怠感で歩いて」

親戚

お豆腐屋に嫁いだ
娘と会えないお父ちゃん
あなたは学校の先生
坂道を登りきったあとに
車椅子でタバコを吸う先生

2024/06/29 親戚の家で


夏至

夕焼けは粘り強い色
血や涙はこんなにも
すぐに消えてしまうというのに
夕焼けはあなたを焦がれる

2024/06/30 回想 日没後の公園で


倦怠感で歩いて

つまらない夜の街
いつまで経っても
店は開かない
街灯だけになるまで
大通りを外れても
やっと誰もいなくなった
すれ違う俺は邪魔者
でも何の気配もない
息を殺されている
犬の置物がある
意味の無い大量の寝床
二流のスラム
ガラスは割れているし
こんなところにポストがあったなんて

2024/07/11 長い散歩で 砂浜にて


作:矢野南

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