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【EDH・Lv.3~5】ドラゴンで全てを焼き尽くせ! 赤単《ドラゴンの女王、ラスリス》デッキ


はじめに

 お世話になっております、あなたの四葉静流です。

 突然ですが、あなたはドラゴンさんがお好きですか?

 はい! お答え頂きありがとうございます! やっぱりあなたもドラゴンさんがお好きですよね! 雄々しき翼で空を自在に駆け回り、意のままに野や山、人の街を焼き、自らの寝床に絢爛な財宝を溜め込む偉大なる存在。ドラゴンさんはみんなが大好きな、マジックにおける赤を代表するクリーチャーでしょう。逆に、ドラゴンさんがあまり好きではないのは、彼ら彼女らに故郷と大切なものを焼かれたドラゴンスレイヤーくらいかと存じます。

 幸運にもドラゴンさんに全てを奪われていないそんなあなたの為に、今回は《ドラゴンの女王、ラスリス/Lathliss, Dragon Queen》を統率者(以下、「ジェネラル」)に据えた統率者デッキ(以下、「EDHデッキ」)を解説していきたいと思います。とても楽しいデッキに仕上がったと思うので、最後までお読み頂けると幸いです。

 デッキの強さは、マジック:ザ・ギャザリング公式のパワーレベル区分としては「レベル3〜5」帯、大手カードショップである晴れる屋さんの区分としては、「Party〜Battle」帯を想定して構築しております。具体的には、「あくまで勝利を狙う動きをするが、パーティーゲームとしてワイワイ楽しくプレイしたい」というデッキです。

 また、価格としても、1枚で数千円〜数万円の値が張る高額カードは採用していません。数十円や数百円、高くても千円台で購入できるカードだけで構成されています。ドラゴンさんが人間に優しいかは分かりませんが、少なくともこのデッキは高パワーなデッキよりも比較的お財布に優しいと言えるでしょう。

 後述しますが、このデッキには無限コンボ、あるいはコンボに準じた動きが採用されています。しかし、それらに必要なカード枚数は最低でも4枚かつ、赤単はサーチもドローも質が高くない為、個人的にはこのデッキ区分で適切だと考えています。

(逆に、「ラスリスという競技的とは評されないジェネラルで、最大限の強さを求める」という、レベル7前後のラスリスデッキを後日投稿予定です。ご期待ください)

こちらはレベル7前後のデッキ。「紙でできた暴力」ばっかだなオイ!

 前置きが長くなるとドラゴンさんが業を煮やして周囲を火の海に変えてしまうので、まずはジェネラル紹介に入っていきましょう!


《ドラゴンの女王、ラスリス》について

 では、はじめに当デッキの主役である、《ドラゴンの女王、ラスリス》について説明しますね。

完璧で究極、というわけではないけど私のアイドル。

 彼女の作中設定やストーリーは、残念ながら多くはありません。基本セット2019のバンドルに封入されていたという小冊子によると、「彼女は同族を率いて村や都市を襲撃し、ドラゴンの女王を自称している」との事です。それ以外の背景ストーリーは謎に包まれています。

 とはいえ、近年のマジックにおいて同じくドラゴンで、作中設定やストーリーでは語られていたにもかかわらずカードとして存在していなかったレイモスやチス=ゴリアがようやくカード化された例があります。なので、きっとラスリスのストーリーも明かされる日が来ると、個人的には信じています。マジでお願いしますウィザーズさん。

メルカディアの守り神と、ミラディン(現ファイレクシア次元)の暴れん坊。

 それはさておき、カードとしてのラスリスについて触れていきましょう!

 前述の通りラスリスは、ジェネラルとしてあまり競技的とは言えません。ドラゴントークンを生み出す能力は強力ですが、ラスリス単体で完結しているものではありません。それに加えて、競技的なジェネラルと呼ばれるに必要な条件である、低マナコスト、ドロー能力やマナ能力、あるいは妨害能力などを欠いています。

 ゆえに、このデッキでは、《龍王の召使い》や《本能を穢すもの》といったマナコストを減らすパーマネント、あるいは《永遠溢れの杯》や《顔壊しのプロ》といったマナアーティファクトや宝物トークン生成ができるカードを多く採用しています。「それらを活用して、ラスリスをできるだけ早くキャストし、後続のドラゴンやラスリスによって生成したトークンと共に盤面を制圧する」というのが、このデッキにおけるメインの戦法です。また、ドロー能力や妨害能力については、デッキ全体で補完しています。

 競技的とはお世辞にも言えない戦術ですが、このデッキはあくまでカジュアルに楽しむ為のデッキです。強敵と戦って勝利を掴みたい方は、cEDH(競技EDH)をやればいいだけです。私はドラゴンさんが大好きなので、盤面にドラゴンさんをいっぱい並べて気持ちよくなりたいだけです。

 このデッキにおけるジェネラルと大まかな流れは理解して頂けたと思うので、次はデッキ全体を見渡して、細部のポイントを語っていきたいと思います。いよいよドラゴンさんたちがいっぱい登場するぞ!

デッキ全体像と、その細部の解説

デッキリスト

 では最初に、デッキリスト全体をお見せします。

 このリストを構成している全カードの総額は、(これを執筆している2024年2月中旬現在、版や状態、購入方法にこだわらなければ)1,6000円前後ですね。世界で一番有名な万年筆である「モンブラン・マイスターシュテュック149」が約15万円なので、このデッキはそれの10分の1ほどの値段です。ゆえに、このデッキは十分安上がりと言えるでしょう。いや、比較対象間違ってね?

大体同じ値段。149からマナは出ませんが、インクは出ます。

 このリストは都度、調整などを加えています。これを執筆している2024年2月中旬現在においてその予定はありませんが、もしかしたら今後、この記事の中で触れているカードが抜ける場合があります。

 全体的なデッキの戦術としては前述の通り、マナコストを減らすパーマネントやマナファクトを活用してジェネラルをキャストし、後続のドラゴンと共に盤面を制圧します。初期手札のキープ手順としては、「4〜5ターン目にジェネラルがキャストできる事」と「後続のドラゴンが1〜2枚ある事」でしょうか。私なりにマナカーブを意識して組みましたが、《災火のドラゴン》や《ドラゴンの嵐》といった、後半からの追い上げで使う為の重いカードを採用しているので、事故る時はひたすら事故ります。この価格帯のデッキの限界という事でご了承頂きたい。

ため息が出るほど困るけど大好きなカードたち。

 それでは、次は細部のポイントについて解説していきます!


細部解説①、「ドローやルーティング能力があるマナファクトを採用する」

 赤単デッキの慢性的な課題なのですが、赤単ではドローとサーチがとにかく貧弱です。《神秘的負荷》や《エスパーの歩哨》のような質のいいドローエンジンが存在せず、黒のそれのようなまともな汎用サーチもまた皆無です。《ギャンブル》を採用している時点でもうお察しです。

撃つと卓が盛り上がるのは右なんですけどねっ。

 その反面、(赤)単色デッキでは多色デッキよりも色マナの価値が低下します。ゆえに、デッキに無色マナしか生み出せないマナファクトを取り入れやすいという特徴もあります。

 つまり、《精神石》や《統率者の宝球》、《ハゾレトの碑》などのドロー・ルーティング能力があるマナファクトを採用する事によって、ドラゴンデッキとしてマナ基盤を固めると共に、「マナは出るけど使うカードがない」といったマナフラッド時も対策しています。

カジュアルEDHデッキの親友たち。

 加えて、《ドラゴン魔道士》や《山背骨のドラゴン》といった、「手札を全部捨ててドローする」というカードを採用している理由も、少しでもデッキ内にドロー手段を取り入れる為です。カジュアルデッキとはいえ、引かないとマジで話になれない時がある。

 また、このリストでは《逆噴射のヘルカイト》や《気まぐれな厄介者》、《精霊龍の安息地》などを入れて、そのデメリットを可能な限り抑えています。フラッシュバック付きのスペルを入れてみるのも面白いかもしれませんね。 


細部解説②、「高マナコストの質のいいドラゴンで盤面を制圧する」

 ラスリスデッキにおける定石の一つが、「《まどろむドラゴン》や《自在自動機械》のような、低マナコストのドラゴンを連打する事でラスリスのトークン生成能力を誘発させて盤面を制圧する」と存じます。

 しかし、これには一つ欠点があります。そういったカードは低マナコストである代償にカードパワーが控えめに設定されています。ラスリスで生成できるトークンも、5/5のフライヤーでしかありません。

 ちょっと考えてみてください。「対戦相手をこれ以上好き勝手させたら数の力で殴り倒されかねない」という場面において、ドローで引いたカードがそれらだったら? ちょっと目を覆いたくなりますよね?

 逆に、引いたカードが強力な盤面制圧力を持つ《罪人の焼却者》や《雷のドラゴン》だったら? つまり、このデッキは序盤の立ち回りをマナ加速に徹する事で、後半から質のいい高マナコストドラゴンのカードパワーで盤面を蹂躙する為の構築です。

 元々、このデッキのコンセプトは、「2桁万円突っ込んでしまったラスリスデッキがコンボ寄りの構築になってしまったので、それよりも低価格かつ、《災火のドラゴン》のようなクソ重ドラゴンを盤面に叩きつけてギャハハしたい」というものです。

 戦術がクリーチャーに大きく依存している為、この構築は全体除去に滅法弱いです。赤単じゃ打ち消しやリアニ手段に乏しいですしね。それも、この価格帯のデッキの限界という事でご了承頂きたいです。とはいえ、誰が一番危ないのか(=誰を殴るべきなのか)や、どのタイミングで仕掛け始めるかを見極めるのも、この構築の面白さの一つです。


細部解説③、「実はコンボやそれに準じた動きが搭載されている」

 一般的にカジュアル帯のEDHにおいて、一気に勝負を決められるコンボは歓迎されない風潮があります。しかし、盤面が硬直しきってゲームがダレてしまうのも問題です。これを読んでいるあなたも、そういう経験の一つや二つありますよね?

 この構築ではカジュアル帯のデッキとして、パーツ数が4枚以上であるコンボとそれに近いものが、計2つ搭載されています。前述の通り、赤単はドローやサーチが弱いので、この程度はカジュアルとして許容されるものであると個人的には考えています。

 一つ目は、「《ウトヴァラのヘルカイト》+《憤怒の息吹》+速攻付与エンチャント+1対以上の飛行(などの回避能力)持ちクリーチャーによる無限コンバット」です。

 仕組みとしては、《憤怒の息吹》をエンチャントしたクリーチャーが戦闘ダメージ与える事で追加戦闘フェイズが発生します。《ウトヴァラのヘルカイト》の能力によって戦場に飛行持ちドラゴントークンを供給し、それに《憤怒の息吹》を再エンチャントします。速攻付与エンチャントがあるので、そのターンに生成したトークンはすぐに殴る事ができます。それを繰り返す事によって無限コンバットが成立します。

ラヴニカリマスターの新イラストのウトヴァラちゃんマジ可愛いよね。そのお胸に抱きついて頬擦りしたい。次の瞬間には消し炭にされそうだけど。

 二つ目は、正確にはコンボではありませんが、仕組みは前述のものより簡単です。パーツは、「《怒れるレッド・ドラゴン》+《冒涜の行動》のような全体火力呪文+任意の数のドラゴンクリーチャー」です。

 《怒れるレッド・ドラゴン》は自身や他のドラゴンに与えられたダメージを、ドラゴンではない任意の対象一つに同じ量のダメージを飛ばせる能力を持っています。これは対戦相手にでも可能です。

 例えば、盤面に《怒れるレッド・ドラゴン》と他に2体のドラゴンがいる状態で《冒涜の行動》を撃ったならば、13点×3のダメージをどこかに飛ばせます。EDHでは往々にして《ファイレクシアの闘技場》や《森の知恵》のようなライフをリソースとして扱うカードや、フェッチランドやダメージランドといったライフを失ったりダメージが発生するが使い勝手のいいカードを採用する事が多いので、ほぼ確実に対戦相手1人は焼き切れると考えていいでしょう。ドラゴンが9体なら勝敗が決まったも同然です。

ドラゴンさんを怒らせるとどうなるのか、それを卓のメンツに教えてやりましょう! まあ、この場合、そのトリガーを引くのは自分なんですけど。


EDH赤単ラスリスデッキ「親友カード」紹介

 ここからは、コンボパーツなどでは特にありませんが、このデッキにおいて相性がよかったりゲームを盛り上がらせる「親友カード」をピックアップして紹介していきます。え? 「某大手ショップさんの動画シリーズと似てる」? 気のせいじゃない?

①《人知を超えるもの、ウギン》

 灯争大戦で初登場した、「精霊龍じゃない方のウギン」です。あなたも大好きな《精霊龍、ウギン》は、8マナという重さと引き換えにそれ1枚で盤面をひっくり返せるほどの強さを持ち合わせるカードですね。しかし、現在でも2,500円前後の値を張るカードです。加えて、この価格帯のデッキでは8マナものカードをポンと出せるほどの能力を持ったカードが不在な上、マナ加速も強力ではありません。ゆえに、こちらを採用しています。

強いけど高価い!

 とはいえ、採用理由は単純な妥協だけではありませんよ? 忠誠度マイナス3能力は、このデッキにおいて、延いては赤単デッキにおいて数少ない「エンチャントを破壊できる能力」です。このデッキでは、(色を問わず)エンチャントを対処できる別のカードは《混沌のねじれ》だけです。《精霊龍、ウギン》ほどの豪快さはありませんが、《人知を超えるもの、ウギン》は小回りに優れます。無色以外ならパーマネントをなんでも触れられる上に対象は1つなので、他プレイヤーに「あれ対処するから◯◯してよ(しないでよ)」といった交渉を持ちかける事も可能でしょう。

あんなカードやこんなカードの生殺与奪の権を握れちゃうぞ!

 また、忠誠度プラス1能力も意外と有用で、このデッキでは乏しいチャンプブロッカーを用意できると同時に、貴重な(擬似的)ドローソースでもあります。無色の呪文が2マナ軽くなる常在型能力も、マナファクトを多く採用しているこのデッキにおいてインクの染みではありません。更に付け加えると、もちろんウギン・プレインズウォーカーなので、墓地に落ちた際は《精霊龍の安息地》で回収が可能です。

 絵柄的にもドラゴンデッキとの相性はバツグン! しかも、何度か再録されているのでシングル価格200円前後! マジで低価格赤単デッキの大親友カードだぞ!


②《末裔の怒り》

 突然ですが、あなたはガチャがお好きですか? こんな場末の酒場みてえな低価格赤単EDHデッキ紹介を読んでいるあなたはガチャ好きで間違いありませんね!

 それはともかく、《末裔の怒り》は、《混沌のねじれ》や《ティボルトの計略》のような、赤のカードに散見される「別なカードに置き換えるカード」です。それらと異なるのは、置き換える元も先も自分のカードのみで、クリーチャである事やクリーチャータイプの縛りがある事ですね。

 これをこのデッキで使うとどうなるか。あくまで運の要素が絡みますが、《芸術の奨励者》のような低マナ域ドラゴンやラスリスの能力で生成したドラゴントークンが、いきなり《ヘルカイトの暴君》などの激ヤバドラゴンさんに化ける可能性があります。

欲張りなその能力は暴力的な強さ! ただしヘイト爆上がり!

 もちろん、ギャンブル性が高いカードなので、望んだ結果にならない場合があります。その時は、悲痛な叫び声が卓を更に盛り上げるので、結果としてアド得ですね!

かわいそうはかわいい。

 とはいえ、この構築では低マナコストの質の低いドラゴンは極力採用せず、そのリスクを可能な限り減らしています。また、能力の条件が戦闘ダメージを与えた際なので、《山背骨のドラゴン》と相性がいいカードです。墓地に《ドラゴンの嵐》がある時に、《気まぐれな厄介者》が出たなら、マナコストを踏み倒して《ドラゴンの嵐》をキャストできるかもしれません。

 この構築では採用していませんが、《師範の占い独楽》や《巻物棚》といったライブラリー操作手段があれば、狙ったカードを場に出す事も可能です。絵柄に描かれているのはドラゴンさんですが、ナヤカラー恐竜デッキや5cスリヴァーデッキで活用できそうですね。今はデッキに採用する予定はなくとも、1枚くらい持っていて損はないカードでしょう。今ならシングル価格200円程度!


結びに、「EDHの御世にあって、ドラゴンとは即ち力のことである」

今でもファンの間で語られ続けている人気作。キャッチコピーは「In The Myth, God Is Force」。

 最後までお読み頂き、本当にありがとうございます。そして、本当にお疲れ様です。

 この記事を執筆した真意としては、私の大好きなドラゴンさんたちを紹介したかったと同時に、ラスリスデッキの可能性を少しでも広げたいという思惑です。

 上記のデッキリストは真似して頂いて全然構わないですし、これを叩き台にしてあなたなりの構築を探るのも大歓迎です。それを行なうにあたって生じたあなたの知識や経験は、巡りめぐって私の利益に、そしてラスリスというカードの可能性に、彼女自身の「ドラゴンの女王」としての名声に繋がるのですから。

 単純に、(カジュアルな)ラスリスデッキはドラゴンさんを盤面に叩きつけると対戦相手が呻く様にニンマリできるので非常にオススメですよ。あなたがサブのデッキを組みたいと考えた時や、普段は軽率に村を焼かれるエルフ側の友達ならば、このデッキを試してみてください。

 今後も、四葉静流をどうかご贔屓に。

(筆者はマジックを本格的に始めて数年の未熟者です。ゆえに、「ここが甘い」や「ここをこうした方がいい」という、マジックの兄様姉様がたのご指導をお待ちしております。ただし、厳しすぎると泣いちゃうのでお手柔らかにお願いします)


・偉大な先人様がた

https://landfall.diarynote.jp/201809301739525972/

https://zirilan.diarynote.jp/202006150007108689/