パーマ(2022.10.7)

最近は時間が飛ぶように過ぎていく、というのは居酒屋の方のバイトが週3とかになった結果、バイト飲み会バイトバイトバイト、みたいなスケジュール構成で必然的に飲み会を楽しみにバイトを乗り切るみたいな生活に毎日がなっているからで、そこに卒論が絡んでくるともう暇もクソもないわけですよ。マジで。
8月から始めた居酒屋は覚えること多くて忙しいし慌てちゃうので、一回開き直って波に漂う流木のごとく心を無にまかせることで乗り切れるようになってきた。のはいいんだけど、何か楽しいことも一瞬の感慨もないまますぐ過ぎ去ってしまうような不吉な予感も心にまとわりつきつつあった。


今朝の9時半、珍しく早く起きたおれはバスに乗って仙台駅に向かった。辛うじて空いた休みを朝からフル活用すべく床屋でカットとパーマの予約を入れたのである。えらい寒かったのでこの前買ったお気にのコートを下ろしてリーバイスを履き、キメながら余裕を持ってバスに乗り込んだと思ったら途中から完全に遅刻コースになっていた。予約の10時ちょうど、仙台駅の地下通路を西から東へ疾走するおれの姿がそこにはあった。
7分遅れで到着。「えらい寒いですね」と世間話を切り出したら店員さんに「後ろ詰まってるからちょっと急ぐよ」と言われる。床屋には毎回遅刻している。すません。そのままカットとパーマの髪ねじりが爆速で行われ、パーマの機械が頭上をくるくる回ってる間店員さんがスプラトゥーン3にハマっている話などを聞いていたら終わっていた。強めにとオーダーしたパーマの髪はグリースでセットされてカチカチで、サッカーの人工芝みたいな手触りがした。


今日が締め切りの卒論のタイトル提出があったので大学に移動した。前に教授にアドバイスされたのと一字一句変わらないやつをそのまま提出する。来週は教授にアドバイスを貰った通りに調査先に詳しい人に話を聞きにいく。教授がいないと何もできない気がする。
それから友達と4限を受けに行った。前の飲み会で酔っ払ったそいつに腕を噛まれて跡がついたことを糾弾したら「酔うと噛み癖が出るんだよね」とか言っていた。噛むなよ。二年前にテストの存在を忘れて落とした倫理学の授業は、二年前とほぼ同じことを先生が話して終わった。


もっかい仙台駅に移動して友達と古着を見にいく。最近は特段欲しい服もないのに、バイト代が入ったという理由だけでなんでもいいから服を欲しているようなよう分からん精神状態にある。散財欲とはこういうことを言うのだと思う。二軒ぐらい見ても特に欲しい服は見当たらなくて、寒すぎたのでとりあえずドトールに入り、友達からマトリックスの続編の感想と韓国のIPアドレスでネトフリにログインするとジブリ作品が観れる話を聞いた。どうせなので紅の豚を強くプッシュしておいた。


夜からは研究室の友達と飲みに行く予定があった。毎度毎度国分町で飲んでるのも芸がないので仙台駅東口の店を開拓するのと、タイトル提出のお疲れ会が目的だったが、教授にメール一通送っただけなので全然疲れていない。とりあえず中華屋で飯を食ってからおしゃれなワインバルみたいなとこで飲む。普段飲みほの限界居酒屋しか行かないのでメニューのフォントからしてオシャレなのにひるむ。ひるんだし中華で食った炒飯で腹がパンパンで、なんかもう全てがどうでも良くなってしまった。

また不吉な予感が心に湧いてくる。毎日は早く過ぎる。卒論は進まないし競馬は負けるし彼女もいないし。大丈夫でしょうか。おまけに今日はすげえ寒いし。冬じゃん。寒いと人肌恋しくなるとか友達がどんどん付き合っていくとか色々あるけどそんな理由ばっか先走ってもいいことないしなあとか思う。欲しいのかよく分からないまま服に散財するようなのと同じことな気がする。悩みがパーマの機械みたいに頭の周りをぐるぐるぐるぐると止まらない。
そんなんをウダウダ考えてウダウダ話してたらなんかすごい場が暗くなってしまった。オシャレなのに。suchmos流れてるのに。このめんどくさい心は多分どうもならなくて、そのモヤモヤごとワインベースのなんかカクテルと一緒に喉に流し込んだ。


朝ダッシュした仙台駅の地下通路を今度は東から西に抜けて帰った。友達にこんな抜け道あったんだと感謝された。じゃあまあいいかと思った。全部。
とりあえず明日またバイトだし、メルカリの発送をだいぶ延滞しているので全てはそれを片付けてからだ。卒論は頑張る。パーマあてたし。今月歯列矯正外れるし。教授がついてるし。おれ視力1.2あるし。中学の時駅伝で京都府2位だったし。多分なんとかなります。多分。


よろしゅうおおきに