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第7章 戦いのはじまり

赤ちゃんが無事に産まれ、同居している家に帰ってきたころ、なぜ自分の世話をしてくれないのかとばかりにイラつく夫。

それに輪をかけて朝昼晩、やってくる義母。

そして赤ちゃんのお世話。

このときは暴力はなかったが、その分 暴言がひどかった。

わたしは、いつ寝ていつ食べてるのかも分からないような日々を送っているのに、赤ちゃんのウンチも触りたくないという夫に呆れていた。

そこへ実家の両親が赤ちゃんを見に頻繁にきてくれた。

そして一喝!

「あなたの子供なのにウンチも触りたくないなんて。あなたも親でしょ」


と母が言った一言で、なんとかオシメを取り替えてくれるようになった。

それからというもの、赤ちゃん優先の日々は続いていたが、わたしはここで(子供ができても夫は何も変わらない)という事実を受け入れなくてはならなくなった。

本当に何も変わらなかった。

何も……


普段どおりに飲み歩き、赤ちゃんが夜泣きをするとイラつき私にあたる。

趣味のゴルフ、サーフィン、熱帯魚、釣り。どれもやめず、湯水の如くお金を使っていた。

オレが稼いだ金を使って何が悪い!と昭和初期の夫かと思うような発言をよくしていた笑

あ〜わわ信じられない。

わたしも働いていますけど??と心で思っていた。

子供はスクスクと成長してくれた。

暴力や暴言をあびせられそうになると、別室に夫を呼び出し、子供に見られないようにと配慮した。

なぜ私はこんなことをしているのかと、腑に落ちない日々が続いた。

自分で稼いだお金は生活費に使い、彼が稼いだお金の大半は彼の趣味に使う。

意味がわからない


あの頃と同様にアザがまた増えていった。

子供とお風呂にはいると

「ここどうしたの?痛い?」

と聞かれると

「またぶつけちゃった〜アハハ」

と顔で笑って心で泣いていた。

心では、わんわん泣いていた。


子供と逃げてしまいたいと思うようになっていた。


ひとりっ子じゃ可哀想だからと、二人目も不妊治療をすることになった。

子供たちに会えたことは、心から嬉しい。

でも、この頃のわたしは普通の考え方ではなかったように思う。

夫から逃げ出したいのに逃げられない。

透明な檻に入れられている気分だった。

DVでよくあることらしいが、DV以外は普通の生活をしているので、やられている側もやっている側も全く気が付かないと思う。

わたしは、そうだった。

みんな何かを我慢して生活している。わたしは幸せなほうだとさえ思っていた。

今思うとゾッとする。

このような言動は、のちのち実家に帰ってから問題視され浮き彫りになることになる。


周りからはオシドリ夫婦で、いつみても仲が良くて、うらやましいとよく言われた。

結局、家族内のことは家族しか知らない。

警察に相談しようと思ったが、事件があってからでないと警察は動けないと言われ、ショックだった。

DVのコールセンターへ助けを求めても、話を聞くばかりで「危険を感じたら離れてください」としか言わない。

こちとら毎日危険なんだよ!


と言いたかったが、わたしが選んだ道(結婚)だからグッとこらえた。

国は守ってくれない。

自分の身は自分で守るしかない!


夫の親に暴力のことを訴えたが結局は変わらなかった。

アルコールが原因かもと思い、ありがたいことに夫の親の勧めもあり、アルコール依存症専門の病院へ通院してもらった。

「アルコール依存症です」と診断された。

アルコールは家に一切置かず、夫は1年ほどは禁酒していた。

外に行っても飲まないで帰ってきた。

ここの医者の治療方針なのかは知らないが

わたしには「彼はアルコール依存症で治療が必要です。暴力は危険です。長期治療が必要です」と真剣に言うが

彼には

「大半のひとはアルコール依存症なので心配はいりません。あなたがしている暴力も、あなたのせいではない。あなたは悪くないんです」

と、彼のDVを助長する発言をしていたことが、のちに判明し愕然とした。

そして暴力はあった。

頻度は低くなっていたが、お酒が助長しているだけで、彼がわたしに暴力を振るうことには変わりがなかった。

彼はわたしを残念なことに人間とは、みてくれていなかった。

とても悲しかった。

奴隷のような、いまいつの時代だっけ??という男尊女卑や階級制度のような毎日だった。

そして2年後、彼はまたお酒を飲み始めた。

これは私が悪いと思う。

何かの記念日で、少しだけ家でのお祝いに食前酒を出したのだ。

これは私が悪い。


それから普通にかれはアルコール依存症へと戻っていくのは、遅くなかった。

子供が4歳になる頃、第二子がお腹に宿った。

長い長い不妊治療だった。

この第二子、妊娠中に離婚を決意する出来事が起こることになる。

忘れもしない、あの夜の出来事は悪夢になって私に何年もの間、襲いかかることになる。

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