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第8章 離婚準備

断捨離と称して、家の中を一気に片付けはじめた私を、夫は変に思っていた。

普段から断捨離は好きなのだが、今回はスケールが違うから。

「出産したら、しばらく断捨離できないから」

という名目で、離婚後に実家に持っていくものと不要なものを次々と捨てていった。

家の中には結婚生活そのものがある。

それを断捨離していくのは、前に進む決心をした私にとっては、とても気持ちが良いものだった。

大きなお腹で家中を断捨離するのは、時間がかかったが夫にも手伝ってもらって何とかスッキリした。

もちろん夫や家族のものは、そのままで子供たちと私のもの、キッチン用品だけを断捨離していった。

実家に持っていくものは隠していた。

家を片付けるのは私だけだったから、隠すのは容易だった。

離婚にむけて断捨離してみると必要なものは、ほんの一握りのものなのだということが判明した。

極論、わたしと子供たちの身体だけ逃げれば何とかなる!と思っていた。


夫の機嫌が良い日、なにげなく言ってみた。

「出産で、わたしと子供たちが居なくなったら、この家は広すぎるね」

夫は何かを感じたのか、ハッとして私に日々の行いを謝りたおしてきた笑

「離婚する気なのか?悪かった!オレが悪かった!暴力をふるわない!優しくする!言葉使いも気をつけるから、いなくならないでくれ、一緒にいてくれ!」

と土下座した。


「離婚とかしないから大丈夫!」


と10年間で培った女優魂で満面の笑みで返事をした。

ざま〜みろ


心底 爆笑した。

この爆笑が彼を安心させたようで、またウケた。

わたしは出産後の不安よりも、やっとこの人と離れて自由に暮らせる幸せのほうが、遥かに魅力的だった。

なんとかなる!


そういう自信があった。

というか

なんとかする!


という自信があった。


その自信は今につながっている。

間違ってはいなかったのだ。

彼に会ったことも、結婚生活で学んだことも、たくさん、たくさんあった。

いまの幸せのひとつになっている。

地獄をみたからこそ、天国がわかる


幸せは物やお金ではないことも、この地獄から学んだ。

気持ちよく生きているか


幸せはそこにある

断捨離も終わり、同居していた家のローンも払い終わった頃、わたしは動き出した。

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