見出し画像

のろくない、のろい


しっかりしてるね

そう言って大人の人たちは
私を褒めてくれる
私に期待してくれる
私の存在を認めてくれる

でもその言葉を投げかけられるたびに
なんだか身体がズシッと重くなる気がする

え、私ってしっかりしてるっけ?
本当の私ってもっとノロノロしてた気がする

マイペースでのんびり過ごすのが好きで
母にたくさん怒られてたっけ
「もうお姉ちゃんなんだからしっかりしなさい」
でも、もうそんなこと言われなくなっちゃったな

「年齢の割にしっかりしてるよね」
「仕事が早くて助かります」

笑顔で「ありがとうございます」と返すたびに
なんだか足枷が増えている気がする

本当の私じゃ迷惑をかけてしまう
迷惑をかけないように迷惑をかけないように
そうやって自分にのろいをかけてきた

のろくない、のろいをかけた。

ちがうよ、それはわたしじゃないよ
あまえたいよ、のろいかけたくないよ

遠くでそんな声が聞こえてる気がする。
130cmの私が泣いている。

ごめんね、
今は生きづらいかもしれないけど、
のろいをかけて、玉手箱をあけて、
みんなより一足先に大人になってしまったから、
だからこそ見える景色や出来ることが増えてる。

だからもうちょっとだけのろいをかけさせて
きっとあなたが自分をのろってよかったって
思えるくらい立派になるから。
おばあちゃんになったら、そののろい解いて
またのろのろ暮らそう、それまで、

のろくない、のろい

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?