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秘密の花園

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西洋のアンティークなものを中心に、フェティッシュで素敵なものをひたすら陳列していきます。
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昔、ロマ(ジプシー)は縞模様で描かれていた

以前私は、ロマ(ジプシー)といえば水玉模様、フラメンコといえば水玉模様、といったようなイメージが世の中には浸透している、ということについて書きました。 けれどもジプシーたちが水玉模様を身につけるようになるよりもずっと前、実はジプシーたちは、絵画の中で縞模様で描かれていた時代があったと言われています。 そもそもヨーロッパ中世では、縞模様は悪魔の模様とされていました。 そういったイメージとの繋がりもあり、この模様は普通の市民と見分けをつけるために、娼婦、犯罪者、旅芸人といった

異国趣味とフェティッシュ

私は“異国趣味“というものにフェティッシュを感じます。 “異国趣味“というとあまり普段使いの言葉ではないので、ぴんとこないという方がいらっしゃるかもしれません。 “エキゾチックなもの“と言い変えればもう少し一般的でしょうか。 私たち日本人が“エキゾチック“と聞けば、通常まずはインドとかインドネシアとかトルコとかいったようなもの、漠然と何やらアラビアっぽいものを思い浮かべるように思います。 でも、“異国趣味“とは本来、“遠く離れた異国のものに憧れる心“のことを指すので、それを

地上を賛美するか、天上を賛美するか。フラメンコとバレエ。

以前の記事で、大聖堂について「重力を肯定するか、重力を否定するか」で2つのタイプがあるというお話をしました。 私は踊りにもそれにあたるものがあると考えていて、それは例えばフラメンコとバレエです。 フラメンコとバレエについては、 フラメンコ → 重力肯定(地上賛美) バレエ → 重力否定(天上賛美) というふうに感じられるのです。 フラメンコを観ていると、腰を落として大地を力強く踏みしめ、時にはわざわざ大地の存在を強調するかのように足を強く打ちつけてリズムを鳴らします。

水玉の歴史。可愛い水玉と、毒々しい水玉。

水玉模様といえば、見方によって色々な解釈が可能な可愛らしい模様として人気で、これまでに歴史の中で何度も流行を繰り返してきました。 日本では、ベニテングタケをはじめとした、乙女たちによるきのこ類賛美が、ここ最近の少し風変わりながらも目立った動きだったように思います。 ところで水玉模様はフラメンコではよく、踊り手さんや唄やギターなどのバックアーティスト達が、男女を問わず衣装で水玉を身につけているのを目にします。 フラメンコの衣装といえば水玉、と言ってもいいくらいに、水玉とフラメ

重力を肯定するか、否定するか。ロマネスク様式の大聖堂とゴシック様式の大聖堂

前回私は、「ゴシック式大聖堂の徹底的に重力を否定する心意気にフェティッシュを感じる」と書きました。 ではその「重力を否定する」とはどういうことか。 それをよりはっきりさせるために、今回は「肯定派」の心意気で造られた建築様式と比較してみたいと思います。 私にとって「重力肯定派」の建築物といえば、ロマネスク様式の大聖堂です。 このロマネスクの大聖堂の特徴をざっくり言うと、 壁が厚い、アーチが半円形、窓が小さい、建物の高さが低い ということがあげられます。 ロマネスク様式

ゴシックの大聖堂とフェティッシュ

例えば私は、ゴシックの様式で造られた大聖堂にフェティッシュを感じます。 遠くから見た時に、まるで糸みたいに細く繊細で緻密に見えるデザインの格好良さというのはもちろんありますが、もっと精神的なこと、存在感のようなものに痺れてしまうのです。 それは、私のフェティッシュの基準で言うなら、 ②人工的であること よくできた細工物のような、繊細で細かく作り込まれたもの、硬質なもの。 ③強固な世界観があること 「個」の輝きが強いもの。 それそのものの中で完結できる、独自の宇宙の法則を形

フェティッシュの基準

「フェティッシュなものをただひたすら集めて並べる」というコンセプトなので、まずはここで言うところの「フェティッシュ」とは何かについて書いておきたいと思います。 一般的に“フェティッシュ“といえば心理学的なものや性的なものがイメージされたり、フロイトをはじめとした難しい学問的な領域に入っていったりしてしまう傾向がありますが、ここではもっと簡単にざっくりと、 「ある物に対して見たり触れたりした時に、心が本能的に痺れてしまうほどに素敵なもの」(真城七子基準) といったものを指す

このNOTEについて

このNOTEは、フルーティスト・作家の真城七子が、フェティッシュで素敵だと思うものををただひたすら陳列していくというものです。 話題の中心は、西洋のアンティークなものが主です。 とても個人的な感覚で「これはフェティッシュでとても素敵!」と感じるものを包み隠さず並べていくので、中にはマニアックすぎる感覚もあるかもしれません。 でも、「この感覚、どこまで広く共有できるのだろうか⁇」ということにも興味がありますので、もし読んでいて「あ、その感覚わかる!」というものがありましたら