2022年の映画ベスト10

すっかり遅くなってしまいましたが、2022年に見た映画のベスト10を書き残しておきます(ほぼ備忘録でごめんなさい!)。

1 『アメリカン・ユートピア』

 なんかもう、途中から涙が止まらなくなってきて、その後ずーっと泣いていた気がします。歌声、パフォーマンス、そしてメッセージのすべてにやられました。デヴィッド・バーンかっこよ!!2022年度の「もう一度、劇場で見たい作品No.1」です。

2 『WANDA』

 家事も育児も何一つ満足にできず、ダメ人間の烙印を押されるワンダ。ある犯罪にふいに巻き込まれ、活路が見いだせたような気がするが…。
 1970年にこの作品が世界に存在していた、ということだけで希望に感じる。2021年はケリー・ライカート、2022年はバーバラ・ローデン。2023年は誰と出会うかな。この歳になって、大切な宝物みたいな作品が少しずつ増えていくのは楽しい。

3 『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』

 シャンタル・アケルマンの作品は「フェミニスト映画」と呼ばれるそうですが、その表現、私は彼女を枠にはめるような気がしてあまり好きじゃない。本作では、いわゆる「専業主婦」が「枠」からはみ出すリアリティを描いていて面白かった。

4 『愛国と教育』

 いつの間にかこの国の教育、こんな風になってしまってたんだ!とマジで驚いた。それにしても、一方的に「愛」を押しつけてくる人の「愛」って気持ち悪いよ。

5 『メイド・イン・バングラデシュ』

 バングラデシュの縫製工場で働く女性が、労働組合をつくろうと立ち上がり奮闘する、実話に基づいて作られた物語。経営者から脅され、仲間も徐々に去っていき、夫(身内)からも反対されてしまって孤立無援に見える主人公のシムは、なぜ、それでも前に進もうとするんだろう。どこにも波風を立てずに社会を変えることなんてできない。すごく励まされた作品でした。

6 『私のはなし、部落のはなし』

 もう、表面的にはないことになっている「部落差別」。それがどうして始まったのか、なぜ今も「ある」のか、見えないのに「ある」というのはどういう経験か。一人ひとりの「私のはなし」が、この国の「部落差別」にいろんな角度から光をあてる。どう見るかは、こちらに委ねられている。そのゆるやかさに、監督の、見る人への信頼を感じる作品です。

7 『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』

 カンディンスキーよりも早く、抽象絵画を生み出していたというスウェーデンの画家ヒルマ・アフ・クリント。彼女のスピリチュアルな力が、自分に流れ込んでくるような作品でした。
 劇場でクリアファイルを買ったんだけど、不思議と、持ち歩いているとエネルギーをもらえるんですよ。もっと買っておけばよかったな。

8 『サハラのカフェのマリカ』

 マリカは、サハラ砂漠の真ん中で一人、カフェを営んでいる。とてもオアシスには見えない、土ぼこりの舞う殺風景な店構え、そして不愛想なマリカ。それでも、さまざまな人が立ち寄り、マリカの店でホッと一息つくさまと、やがて自分のことをぽつぽつ語りだすマリカの、嘘か本当かは分からない自分語りに魅了される。このまま、マリカの日常をずーっと眺めていたい、と思った作品。

9 『アンデス、ふたりぼっち』

 ラストに向かうにしたがって膨らんでいく不安に、自分の足元が不確かになっていく。どうしてこうなってしまうんだろう。でも、そもそも人間は無力すぎる。すごく衝撃をうけた作品。

10 『belief』

 ある朝、母がカルトに入信していたことを知った監督は、自ら母にカメラを向けたー。2007年に、名古屋シネマテークの「自主フェス」という企画で上映されたドキュメンタリー作品です。2022年、急激にカルトへの関心が高まった時期に再上映され、監督のトーク付きで見ました。

 以上の10作品を選びました!
 他にも、迷ったのは『冬の旅』『帆花』『ムイト・プラゼール』『アザー・ミュージック』『時代革命』『裁かるるジャンヌ』『原発を止めた裁判長』、そしてオンラインのトランスジェンダー映画祭(2022年夏)で見た『メジャーさん』。
 映画祭としてはほかにも、「イスラーム映画祭7」「ジョージア映画祭2022」は、自分の世界観を広げてもらえて、どの作品も良かったです。
 
 2023年も、もう4分の1が過ぎてしまったー。これから出会う作品も楽しみにしつつ、またベスト10を書けたらいいな!ぜひ、皆さんも機会があれば劇場(とくにミニシアター)へ足を運んでみてください♪

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