見出し画像

2021年の映画ベスト+10本

2021年に観た映画のベスト10(of 106本)です。2021年は、劇場に行けた回数が例年より少なく残念でした。回数が減ってしまったのは、もちろんコロナの影響もありましたが、自分の生活が大きく変化したことが一番の理由です(noteの記事も1年以上ぶり…)。2022年は今までのペースをもう少し取り戻したいな、と思っています。

「ケリー・ライカート特集」は、間違いなく2021年に見た映画のベストでした!。でも「特集」だったので、今回はそれ以外で良かった10本を選んでみました。

2021年のベスト企画!*ケリー・ライカート特集

ケリー・ライカートの存在を、私は今まで知りませんでした。特集上映では『リバー・オブ・グラス』『オールド・ジョイ』『ウェンディ&ルーシー』『ミークス・カットオフ』の4本を。全てに通じる、言葉の通じなさ、閉塞感。ミシェル・ウイリアムズがとても良かった!

1 『ボストン市庁舎』

SDGsの理念である「誰一人取り残さない」って、まさに、ボストン市長のような態度・行動から生まれるんじゃないのかな。思いがけず、ワイズマンが本作では熱くなってる!?のも納得。「公」の意味や市民参加の仕組みづくり、そして市民の役割について、いろいろ考えました。

2 海辺の彼女たち

技能実習生として日本へ来た「彼女たち」から搾取する企業、金を巻き上げるブローカー、港町の工場の人たち。そしてフォンを妊娠させた男(出てこないけど)。この映画には、心ある人がひとりも登場しない。彼女たちからみたら、私も同じではないのかと自問した。邦画では2021年ベスト1です。

3 『モロッコ、彼女たちの朝』

イスラーム社会では、未婚での妊娠はタブーなのだそう。人に言えない妊娠をし路頭に迷っていたサミアに、シングルマザーのアブラが迷いながら手を差し伸べる。サミアとアブラ、アブラの娘(いい子すぎるけど!)の3人の交流が心地よい。ルジザ、いつか食べてみたい食べ物の仲間入りしました!

4 『デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング』

この映画を見るまで、わたしは彼女の存在すら知らなかった。彼女の歌声や生き方、メッセージの一つひとつに胸を打たれる、忘れがたい作品です。

5 ブラック・ウィドウ

劇場で見たマーベル2本目です。マーベル作品は全部制覇しているわけではないんだけど(今、少しずつ追いかけて見てる)、ブラック・ウィドウの描き方も時代とともにずいぶん変わったのだと感じられて感慨深い。オープニングで流れる、ニルヴァーナのカバー曲からいいですよ。

6 アイダよ、何処へ?

ボスニア内戦(1992-1995)の終盤に、スレブレニツァという街で行われた組織的な住民の虐殺は8000人以上と言われている。10代の頃、サラエボでこの内戦を生き延びた、ヤスミラ・ジュバニッチ監督の渾身の作品。抑えてもなお溢れ出す、人々の痛みの表現に圧倒された。

7 『日常対話』

2017年のシニア女性映画祭で上映されていた作品。未見でした。クラウドファンディングで応援したのでリターンのDVDも持っていますが、劇場で見られて良かったです。母親アヌにカメラを向けた、ドキュメンタリー監督のチェン。二人のような対話を、私も母とできたら良かったな、と思った。

8 『サイコ・ゴアマン』

最高に、ばかばかしくて面白い。普段「特撮もの」ってあまり選んで見ないのですが、機会があれば劇場でもう一回見たい。去年のお気に入りベスト3に入った『ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』と同じ「愛」を感じるー。

9 『草の響き』

佐藤泰志の直筆のタイトルというだけで期待値が上がってしまっていた。彼の原作の映画化は、これまでに4本見ています。中でも一番好きな『海炭市叙景』には叶わないですが、佐藤泰志の小説を確かに感じる作品でした。本作では、和雄と交流することになる高校生たちの物語がとても好きです。

10 『片袖の魚』

トランスジェンダー役を、トランスジェンダー当事者であるイシヅカユウさんが演じています。セクシュアリティは、だれにとっても特別な、その人の存在にとって中心的な事柄で、だからこそ当事者が演じるのは当たり前だと思う。早く、それが珍しいことではなくなってほしい。

上記以外では、『チャンシルさんには福が多いね』『きみが死んだあとで』『ペトルーニャに祝福を』『ショック・ドゥ・フューチャー』『カラミティ』など、どれも心に残った作品でした。

見逃して悔しかった作品は『アンモナイトの目覚め』『トーベ』『プロミシング・ヤング・ウーマン』です。プロミシング…は、見ていたらベスト入りしたかもだなぁ。

それから2021年も、「なんじゃこりゃ」なワースト作品との出会いがありました。その作品については、ここでは書きません。自分と合わない作品や不意打ちのように傷つけられる作品を、見る前に察知する力ももっとつけないといけないな、と強く思います。

さて、2022年も既に2か月が過ぎようとしていますが、1月はキアロスタミ祭り(6本)、2月はドライヤー祭り(4本)と、素晴らしい作品を楽しむ機会に恵まれています。まだまだたくさん、今年も素敵な映画との出会いがありますように。そして、映画では『異端の鳥』『たちあがる女』、セルゲイ・ポルーニンのドキュメンタリーなどを届けてくれた、ウクライナの平和を望みます。戦争は嫌だ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?