ClariS「シニカルサスペンス」の歌詞からアルバム「Fairy Party」全体のストーリーを考察してみる
まえがき
「1記事当たり2桁PV行けば御の字かな~」くらいの気持ちで始めた本ブログですが、既に想定より多くの人に読んで頂いているみたいで大感謝です。
第3回目もClariSの歌詞について書いていこうと思います。
(ご挨拶の記事に書いたClariS以外のアーティストを期待してフォローして頂いてる方々には申し訳ないです。そのうち書きますので・・・)
今回は歌詞考察というか、アルバム全体のストーリーへの考察となるため対象曲が複数になる予定です。
なので、1曲の歌詞を全部順に追っていく前記事までのやり方とは変えて、自分の解釈に関連する部分だけ補足していく形で書いてみようと思います。
※アーティスト紹介は過去記事を参照
アルバム・曲紹介
アルバム「Fairy Party」
ClariSの5枚目のアルバム(2018年11月21日発売)
前作の「Fairy Castle」もタイトルにフェアリー(妖精)が入ってますが、こちらの方がファンタジー要素がより強く強調されていて、コンセプトアルバムと言ってもいいくらいじゃないかと思います。
このアルバムには全体を通して1つのストーリーがあるんじゃないか?というのが考察の前提で、それが正しいと仮定して以下の議論を進めます。
今回考察する曲
アルバム全体のストーリーに関わると筆者が考える以下5曲を考察します。
・Overture(1曲目)
・1/f(2曲目)
・Time Tunnel(12曲目)
・シニカルサスペンス(13曲目)
・Fairy Party(14曲目。アルバム名と同タイトルのエンディング曲)
この5曲の中で、特に抽象的で意味深な歌詞であり曲自体のインパクトからファン人気も高い「シニカルサスペンス」がアルバム全体のストーリーを考える上でも重要な役割を持っているんじゃないかと考えてます。
なので、この後の考察ではシニカルサスペンスを中心に仮説を組み立てていきたいと思います。
歌詞考察
アルバム全体のストーリーへの仮説
好きな人と結ばれない現実を受け止められない少女が、夢の世界に逃げ込んで夢の中で好きな人と永遠に踊り続けようとする。
自分で書いといて言うのもアレですが、ものすごい既視感というか前回の「眠り姫」と同じじゃね?って思った人もいると思います笑。
でも色々考えた結果そういう結論に至っちゃったんですよね・・・。
それにClariSってとにかく失恋・悲恋の曲が多いので、ClariSファンならある程度自然に受け止められるのではないでしょうか?笑
では、各曲を解説しながら自分の仮説を説明していきたいと思います。
Overture(インスト曲)
作曲・編曲:中尾昌史
アルバムのオープニングとなるこの曲。
インスト曲の解説ってなんだよ?って感じかと思いますが、このインスト曲の音にストーリー的な意味があるんじゃないかと思っています。
まず全体の曲調はファンタジー映画のオープニングみたいな幻想的な雰囲気で、これから妖精が出てくる童話が始まりそうな予感を感じさせます。
そして、この曲の最後(54秒あたりから)は時計の針の音が3回鳴った後に更に大きな針の音が1回鳴って終わる、という構成になっています。
この時計の針の音を聴いて僕が連想したのは、誰でも知ってる童話「シンデレラ」の夜12時を告げる時計台の音でした。
11時59分57秒から「3・2・1」とカウントダウンが始まって、12時になると長針が動いてそれまでの秒針より大きな音がする、西洋風ファンタジーで定番のあの演出です。
シンデレラの場合は「夜12時になると魔法が解ける(夢から覚める)」という有名な場面で使われるこの演出ですが、このアルバムの場合は次の曲「1/f」の歌詞から考えて逆のストーリーなのでは?と考えています。
つまり「夜12時になると魔法が掛かって夢の世界に行ける」世界観です。
この曲だけを聴いてそう断定するのは無理があるんですが、他の曲と合わせて考えるとこの世界観で全体が説明できると考えています。
この曲のタイトル「Overture」は英語で「序曲、前奏曲」という意味ですが、単純にアルバムの始まりという意味だけでなく「夢の世界への入口」というニュアンスも含んでいるような気がします。
1/f
作詞・作曲・編曲: 長沢知亜紀 (CWF)、永野小織 (CWF)
Overtureから続く2曲目のこの曲は「キャンドル消しておやすみ」の歌詞から始まって、朝を思わせる爽やかなピアノの音や鳥のさえずりのSE音が入った一見すると朝らしい曲調になっています。
素直に考えると目が覚めて朝が来た場面ですが、「Overture」への仮説を考慮すると「眠りの中で夢の世界が始まった」と考えられないでしょうか?
タイトルの「1/f」は、ろうそくの炎などの自然現象を物理的に解析した時の「1/f ゆらぎ」に由来していると思いますが、同時にこの曲が夢の世界(ゆらぎを持った空間)であることも示唆してる、と解釈しました。
Time Tunnel(インスト曲)
作曲・編曲:中尾昌史
アルバム2曲目の「1/f」から一気に12曲目まで飛んで、またまたインスト曲です。これも「Overture」と同じく中尾昌史さんの作曲で、沢山入ってるSE音も曲タイトルも含めて意味深な曲ですね。
このインスト曲の音を文字で説明するとこんな感じになります。
行先の時間を設定してタイムマシンが動き出し、デジタル時計の時間が変化してるようなSE音から始まる。
アルバムでそれまで流れた全曲の一部分が、実際の曲順とは逆の順番(PRIMALove→TRAVEL→・・・)で聴こえて来て1/fまで戻る。
1/fまで戻った後の曲のラスト8秒が、光が徐々に差し込んできて目覚めるような印象の音で終わる
この音を聴いて、こんなストーリーを示唆してるのでは?と自分が考えたのが以下になります。
「Time Tunnel」という曲名と合わせると、タイムマシーンで時間をさかのぼっているという表現なのでは?「1/f」まで戻るということは、夢の世界の始まりに戻ってきた。
夢から覚める or もう一度夢を見直すという示唆なのでは?ラスト8秒の光を浴びて目覚めるような印象の音と合わせて考えると、夢から覚めて現実世界に戻ってきてしまう、という解釈が自然な気がする
シニカルサスペンス
作詞・作曲・編曲:重永亮介
さて、ようやくたどり着いた「シニカルサスペンス」。
作詞作曲はこのブログで紹介してきた「ホログラム」「眠り姫」と同じく重永亮介さんです。
まずは、長いですが是非歌詞を読んでみてください。
・・・はい。長々と読んで頂きましたが、どうでしょうか?
多分「なんのこっちゃ?」ってキョトンとしてるかと思います笑
この曲はClariSの歌詞の中でもトップクラスに抽象的で難解なので、正直筆者も数年間は深く意味を考えないまま「とりあえずアガる曲」って気持ちで聴いてました笑
そして先月くらいに、ようやく重い腰を上げて色々真面目に考えだしたんですが「この曲の歌詞だけ考えてても多分解読出来ない」と直感的に感じて、何か前後の曲にヒントがあるんじゃないかな?っと色々考えた結果が「Time Tunnel」までで考察したアルバム全体のストーリーになります。
そして、ここまでの仮説を元にしたこの曲の解釈は・・・。
主人公に取っての「悪夢だと思いたい受け入れ難い現実=好きな人と結ばれない運命」です。
以下、そう解釈した理由をつらつら書いてみます。
歌詞が「不可解をぶら下げた現実を鮮明に写したヴィジョン」で始まる。ファンタジーな世界観や夢をテーマにしたこのアルバムの中で、いきなり「現実」から始まるのは多分意味がある
歌詞が抽象的で夢の中みたいなのは、受け入れ難い現実を必死に悪夢だと思い込もうとしているってことなのでは?
例えば、「到着した瞬間にパラライズ(金縛り)お願い 聞いた事無い言葉で話しかけないで」→「金縛りにあっている自分に、誰かが理解不能な言語で話しかけてくる」→「受け入れがたい現実に直面した自分の耳に、聞きたくない言葉が聞こえてくる」
「彼方此方(あちこち)の時間から訪れた 名前すらしらないバイスタンダー(傍観者、見物人)こっちを見ないで」→「色んな時間軸から現れた無数の人々がみんな自分を見ている」→「打ちひしがれているショックで、周囲の人間がみんな私を見て笑っている不気味な他人のような被害妄想に囚われている」
Time Tunnelのラスト8秒からの「トゥルトゥルトゥルトゥル」の不穏なイントロは、夢から覚めると悪夢のような現実が待ってるって解釈
じゃあ主人公が悪夢だと思いたい「受け入れ難い現実」とは?おそらく「好きな人と結ばれない運命」のこと。
「こんなに強く想ってもね 声が届かない 籠の中で笑う少年、誰?」
「チャンネルを切り替えたら別の夢みれるかな?どんなに強く想っても二人は出会えない」
「テレビに映ってる知らない恋のロマンス」(彼が現実世界で自分以外の女の子と恋してる光景かも。一番現実だと思いたくない光景なので、テレビの中の虚構の映像だと思い込もうとしてるのでは?)
自分の仮説が一番当てはまりそうなのは1番の以下部分 →「夜を食べた汽車に乗り旅に出る 追い付かないで これ以上」「どんなに遠く離れてもね 声が聴こえてる 後ろのカタコトの少年、誰?」
永遠に夢の中に居られる場所(夜を食べた=朝が来ない)で現実から逃れたいのに現実が追いかけてくる。自分の願望とは違う現実の彼の言葉を聞きたくない。(片言の理解出来ない言葉と思い込んで受け止めたくない)
「表情崩さない私は 絶対零度の夢を見る」
「シニカル(冷笑的)な視線を飛ばして 絶対零度の夢を見る」
絶対零度は物理学上での温度の最低値=-273.15℃
つまりこれ以上冷たい夢は無いということ。もっとも冷たく辛い夢=思い通りに行かずサスペンスのように苦しい現実って意味では?
「シニカルサスペンス」という曲名の意味は「悪夢のような現実を冷ややかに見つめる」という意味なのでは?
・・・はい。バーッと書いてみましたがいかがでしょうか?
正直、「電波乙www」と言われたら何にも反論できないです笑
あくまで自分にはこう解釈できたよ、っていう一個人の感想ですね。
ただ、一応全体のストーリーとしては一応筋が通ってるとは思ってます。
「ホログラム」「眠り姫」と同じ重永さんの歌詞って思うと、この解釈も意外と突拍子もない空論ではない・・・と信じたいです笑
Fairy Party
作詞・作曲・編曲: 長沢知亜紀 (CWF)、永野小織 (CWF)
そして、このアルバムの最終曲でありアルバム名と同じタイトルの「Fairy Party」は、ここまでの解釈を元にすると「現実では結ばれない君と一生夢の中で踊っていたい」って意味に感じられます。
やっぱり「現実では卑しい身分の女の子が、夜12時までは魔法が掛かって王子様と舞踏会で踊れる」っていうシンデレラを意識してる気がしますね。
素直に考えれば、アルバム名と同タイトルのこの曲はアルバム全体のストーリーを表現する曲のはずなので、他の曲もこのストーリーに則ってると考えると全体の仮説として整合性が取れている・・・ような気がしています。
あとがき
Overture → 夜12時になると魔法が掛かる、夢の世界への入口
1/f → 夢の世界の朝
Time Tunnel → 夢の始まりまで時間をさかのぼって夢から覚める
シニカルサスペンス → 悪夢だと思いたい現実
Fairy Party → 一生夢の中で君と結ばれていたい
5曲紹介したので超長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか?
これが100%正解って思ってるわけじゃないんですが、このアルバムがテーマのライブツアーに全公演参加した方々数名にツイッターで感想を聞いてみたところ「多分合ってると思う。自分も公演の演出見てこんなイメージを持ってた」と言って頂いたので、意外とイイ線行ってるのでは?と多少自信はあるのですが・・・。
なにせ自分は今年の夏にファン歴10年でようやくライブ初参戦した現場初心者のため、歌詞と音のみで一人うんうん妄想した結果なので、現地で公演見た人の感想などあれば是非コメント欄に頂けたら嬉しいです。
というわけで、初回以来の6000文字越えになってしまいました。
最後まで読んで下さった方、長々とお付き合い頂きありがとうございます。
(むしろ、1曲だけで6500文字だった初回のホログラムどんだけ乱文だったんだ・・・)
では、今回はこの辺で。
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