ClariS「Drawing」で描かれるクララとアリスの出逢いと別れの物語
まえがき
まさかまさかのリリースイベントでお目々飛び出てしまった皆様、いかがお過ごしでしょうか?
歴戦の先輩方も未経験でオロオロしているリリースイベント、一体どんなものになるんでしょうか・・・。
あと、多くの人が期待してたアニサマへの出演も決まりましたね。
筆者も人生初のアニサマ申し込みを完了済みです。
去年のStylipSを生で観れなかったのは一生後悔し続けると思いますが、楽しい記憶で上書きしたいです🥲
さて、この「5月26日のClariSトレンド入り」を見て、筆者はあの日を思い出さざるを得ませんでした。
いちいちこの話題に触れるべきではないのかもしれませんが、やっぱり9年経ってもあの日のことは忘れられません。
でも、あの日の悲しすぎるトレンド上位独占とは違って、2023年5月26日は嬉しいトレンド入りでした。
筆者はそれを見て「今日はみんな嬉しそうにしてるんだから、9年前の話しをするのはやめよう」とツイートするのを思いとどまりました。
でも、ツイッターのFFさんの中の1人が、あの日から9年経つ事をちゃんと覚えていてくれていたんです。
筆者は、それだけで救われました。
軽々しく口に出していい話題じゃないけど、でも絶対に忘れちゃいけない。
忘れたくても忘れられない。
「忘れない 忘れられない」
「忘れない 忘れたくない」
あの日を経験したファンにとって、2014年5月26日はまさに「Orange」の歌詞の通りの日です。
そして、それからたった1週間ちょっとで訪れた2014年6月4日は、全く気持ちの整理が付かないまま迎えた3rdアルバム「PARTY TIME」の発売日。
筆者がツイートするのを我慢したのに結局この話題に言及しているのは、この記事がPARTY TIME発売9周年記念の記事だからです。
・・・いやいや、記念記事ならもっと明るい内容にしようよ?って思ったそこのあなた。
全くその通りなんですが、同時にこのテンションこそPARTY TIMEに一番合っているとも言えるはずです。
申し訳ないですが、これについては筆者の考えが変わることは一生ないでしょう。
だって、PARTY TIMEの発売日を嬉しさ100%で迎えたファンなんて、恐らく一人も居なかったはずですから。
みんな心の中にモヤモヤとやるせなさと悲しさと、言葉に出来ない色んな感情を抱えたままこのアルバムを聴いたはずです。
アルバム名すら皮肉に感じましたね。
「こんなお通夜みたいな空気でどうやってパーティ楽しめって言うんだよ・・・」って乾いた笑いが出ました。
「ずっと楽しみにしていた新アルバムを早く聴きたい」っていう嬉しさと、「このアルバムを聴き終わったらクララとアリスのClariSは終わってしまう」っていう怖さで、筆者は情緒グチャグチャでした。
あの時の、聴きたいような聴きたくないような、何とも言葉に出来ないまま再生ボタン押すのを躊躇した気持ちは、一生忘れられないと思います。
そして、再生ボタンを押して最初に流れてきたのが、今回ご紹介する曲。
アリスの卒業アルバム「PARTY TIME」のオープニング曲。
ClariS「Drawing」です。
曲紹介
作詞・作曲・編曲:角野寿和
3rdアルバム「PARTY TIME」(2014年6月4日発売)のオープニング曲。
作詞・作曲・編曲は角野寿和さん。
1stアルバム「BIRTHDAY」のオープニング曲「サヨナラは言わない」や、大ヒットシングル「コネクト」のカップリング曲「Dreamin'」なども提供されている、アリス在籍時のClariSを語る上で欠かせない方です。
ClariSへの提供は全6曲のみ(しかもシングル曲は無し)ですが、提供曲のラインナップを見ればいかに重要な方かは一目瞭然です。
歌詞
「Drawing」という曲名は落ちサビの「二つとない物語は君しか描けない」をイメージしているのかなと思います。
同じPARTY TIMEの収録曲「トパーズ」の記事を先に読んで頂くと説明が楽なのですが、「Drawing」の歌詞もクララとアリスの出逢いから別れまでのストーリーを描写しているように筆者は感じます。
アルバム後半の「かくれんぼ」「Orange」が卒業するアリスへのメッセージを含んでいるのは誰もが知るところですが、筆者の解釈が正しければ同じくアルバム後半の「トパーズ」、そしてオープニング曲である「Drawing」から既に明確にその空気は醸し出されているのではないでしょうか。
PARTY TIMEは最初から最後まで全てがアリスとのお別れパーティ、そんな風に考えてしまうのは筆者がクソデカ感情を拗らせすぎているからかもしれませんね・・・笑
では、いつも通り1番から順に見ていきます。
※歌詞は歌ネット(https://www.uta-net.com/song/164942/)からの引用
イントロ
イントロの歌詞ですが、解釈が2つあると思ってます。
①クララとアリスが出会って、アリス☆クララとして活動し始めてClariSとしてメジャーデビューして、という一連の流れ
②卒業するアリスとClariSに残るクララ、それぞれ進む道は分かれるけどお互いの未来を応援している。(「輝く時の中 信じてる二人の未来」)
自分自身にしか描けない人生(「二つとない物語」)をそれぞれの新しいステージで歩んで行こう。(「真っ白なページに書き込もう」)
個人的には、どちらか片方というよりは①②両方の意味合いが乗っているんだと思います。
ただ、イントロだと①の比重の方がより強いのかなぁとも感じていて、基本的にはクララとアリスの出逢いと別れが時系列順にストーリー仕立てで描かれている歌詞と解釈しています。
サビやラスサビでも似たフレーズが繰り返し出てくるんですが、曲が進むにつれて①から②に比重が移っていくように聴こえてしまう、というのがこの曲の歌詞の粋な所だと勝手に思ってます。
1番Aメロ
ClariSとしてメジャーデビューしてからの、夢と不安を抱えながら目が回るようなスピードであれよあれよとアニソン界のトップアーティストに登り詰めた様子を描いているように聴こえるAメロの歌詞。
「小さな夢と小さな不安 今日も強く握りしめて」が良いですよね。
「沢山の人に自分の歌を届けたい!」っていう子供の頃からの夢を、予想外のスピードで注目されていく不安と一緒に握りしめてヒット曲を連発している中高生の率直な気持ちが表れてる感じがします。
素顔でテレビなどメディアに出演することが増えてから「ClariSが遠くに行っちゃうみたいでちょっと複雑・・・」みたいな意見を時々見ますが、筆者の感覚としてはClariSは2010年代前半アニソンシーンの中心にいたユニットなので、メディア露出を自粛してなかったら2011年の「コネクト」大ヒットでとっくに紅白出てたよ!って思っています。
だって、デビューシングルの「irony」が俺妹ブームで大ヒット、2ndシングル「コネクト」がまどか☆マギカの社会現象で2010年代を代表するアニソンに、「ナイショの話」は大ヒットアニメ「<物語>シリーズ」の主題歌の中でも屈指の人気曲、「ルミナス」「カラフル」もまどか☆マギカの劇場版主題歌として2010年代前半を生きたオタクなら誰でも知ってる。
「CLICK」「STEP」も少年ジャンプ漫画原作のニセコイの主題歌として、深夜アニメに興味無かった多くの人にも届いている。
そんなユニットなんですよ?今更何を言ってるんですか?とか思ってしまうのは筆者が老害だからかもしれませんが、今日だけは無礼講として許して下さい・・・🥺
あと、イントロが終わった後のソロパートを歌い出す順番も意味深ですね。
ClariSは基本的にクララから歌い出す曲が圧倒的に多く、PARTY TIME以前の曲でアリスからソロパートを歌い出す曲は数える程しかありません。
・kzさん提供シングル曲の「irony」「reunion」「CLICK」
・アルバム曲/カップリングだと「ココロの引力」(アリスのイメージアイテム太陽がモチーフ)と「a moment」「eternally」「Surely」くらい?
カレン加入後は更にクララ比率が高まって、カレンソロ曲を除くと「TRAVEL」くらいしかカレンから歌い出す曲はありません。
※これは理由があると思っていて、クララとアリス時代のヒット曲でClariSを覚えている人にも「ClariSの曲だ」ってすぐ気付いてもらえるように、クララの声を先に聴かせる意図と思われます。
実際1stアルバム「BIRTHDAY」のオープニング曲「サヨナラは言わない」、2ndアルバム「SECOND STORY」のオープニング曲「second story」のどちらもソロパートはクララから歌い出します。
でも、この3rdアルバム「PARTY TIME」のオープニング曲「Drawing」のソロパート「右ポケットしまい込んだ」はアリスから歌い出します。
2曲目の「CLICK」、4曲目の「Time」、8曲目の「ドライフラワー」、9曲目の「トパーズ」、10曲目の「かくれんぼ」、そしてアルバムのエンディング曲「Orange」も、このアルバムだけはソロパートをアリスから歌い出す曲だらけです。
ここまで露骨にやられると、明確なメッセージを感じてしまいます。
卒業するアリスへの手向けの花束。そういう印象を感じざるを得ません。
1番Bメロ
「はじまりの予感」って単語を使われると、どうしても2014年1月5日のClariS初イベント「ClariS presents『2014 New Year's Festival 〜始まりの予感…』」を連想してしまいますよね・・・。
ClariS初の、そしてアリス唯一の出演イベント。
筆者は行けてないですが、ツイッターのFFさんには何人か参戦している方がいて、本当に羨ましい限りです。
(しかも、この時のダンサーの1人がカレンという・・・)
一度でもアリスをカーテン越しでも観れていたら、歌声を生で聴けていたら、このクソデカ感情も少しは整理が付いたんでしょうか。
全てはタラレバですが、9年経ってもそんなことばかり考え続けている今日この頃です。
1番サビ
イントロの歌詞と同じく①②両方のニュアンスを感じるサビですが、1番の段階だとまだ①の比重の方が強いかなと感じます。
私達の歌を世界中に届けちゃおうよ!みたいな前向きさを「織りなした想いの束 世界に見せてあげたいな」からは感じます。
「真っ直ぐ明日へ歩こうよ」も、この段階ではまだClariSをもっと有名にしていこう的な心情に聴こえますね。
2番Aメロ
1番の「右ポケットしまい込んだ」同様、2番の「左ポケット詰め込んでる」もアリスから歌い出します。
この曲は、そしてこのアルバムは徹底的にアリスが主役ということが伝わってきますね。
「小さな孤独 小さな希望 いつもどおり疼いている」が意味深に聴こえてしまいます。
「不安だけど夢に向かって頑張っている」とも解釈できる一方、「夢への向き合い方にクララとズレを徐々に感じ始めている」とも深読みできてしまうからです。
角野さんがそんなことまで考えてあえてアリスに歌わせたとは全く思いませんが、そうも読めてしまうというだけで心がザワザワします。
もっと優しく解釈すれば、「もしかしたら君(アリス)は密かに孤独を感じていたのかもしれない、気付いてあげられなくてゴメンね」という角野さんからの優しいメッセージにも思えます。
ただ、これはあくまで「そうも読めてしまう」というだけなので、あまり本気にしないで頂きたいです。
PARTY TIME発売当時、ネットではアリスの卒業理由についてあることないこと憶測が飛び交って大荒れ状態でした。
筆者はそういう憶測を見たくなくて、2022年にTSDでライブ初参戦してFC加入するまでの8年間、一切ネットでClariSを検索しないようにしていました。
Googleの検索欄に「ClariS」って入力すると自動サジェスチョンで「ClariS 顔」とか「ClariS アリス 卒業理由」とか出てくるだけで嫌でした。
こういう話を書くことでそういう憶測に間接的に加担してしまう可能性があるかもしれないと思うと物凄く嫌ですが、解釈の可能性の一つとして文字にしておきます。
ただし、必ず話半分で読んで頂くよう、改めてお願い致します。
「なぞってみた夢への未知
決まりごとは何もないからね
後ろを振り向かないように」
ここも意味深に聴こえちゃうんですよね・・・。
夢への道(ClariSとしての活動)は未知な体験ばっかりで戸惑うけど、「こうしなきゃいけない」なんて決まり事は何もない、後ろを振り向かず前に進もう。
ポジティブに捉えたらそうですけど、卒業を決めたアリスに対して「君が決めたことなら仕方ない。私達のことは気にせず(後ろを振り向かず)、新しい人生に向かって進んで行ってね」って送り出しているようにも聴こえてしまい・・・。
いやもう、筆者の勝手なお気持ち妄想が暴走してるだけっていうのは重々承知なんですよ。
でも、どうしたってこのDrawingという曲を、PARTY TIMEというアルバムをアリス卒業から切り離して聴くことなんてできるわけがないんですよ。
もしかしたら、カレン加入後のClariSしか知らない人の方がこの曲を冷静に分析できるのかもしれませんが、筆者には無理です。ゴメンなさい・・・。
2番Bメロ
「お互いの気持ちを正直に打ち明け合おうよ」みたいに聴こえる2番Bメロ。
アリスが卒業することを打ち明けた時、クララとどんな会話をしたんでしょうね・・・。
過去のインタビューでほんの少しだけ当時の心境に触れているクララですが、きっと言えない話、言いたくない話、2人だけの大切な秘密にしたい話など、色々あるんでしょう。
こうやって気になってしまうから、筆者が8年間ネットを遮断した理由の1つでもあった憶測が飛び交うんでしょうね。
結局、筆者もそういう話を見かけると気になってしまうからこそ、防衛本能として遮断していたんだと思います。
だって、ClariSを嫌いになりたくないじゃないですか。
クララもアリスも、いつまでも大好きなままでいたいじゃないですか。
不仲になって、とか、すれ違いが大きくなって、とか、もし仮に本当だったとしても聞きたくないじゃないですか。
クララ、カレン、そしてアリス本人の口から語られること以外は、どんなにそれっぽくても裏事情に精通してそうでも、憶測と思って絶対鵜吞みにしない。
それだけが、筆者が9年間心に誓っていることです。
2番サビ
イントロ・1番サビと同じく①②両方のニュアンスを感じますが、段々②卒業するアリス(&1人になるクララ)への比重が強まっているように聴こえてしまう2番サビ。
「泣いたあと笑えばいい 世界はそれで動いてる」とか「今日もどこかで 呼んでいる未来の在り処」とかに、この先の新しい道に進む不安な2人の心境が表れているような、そんな印象を勝手に感じ取ってしまいます。
Dメロ
そして、Dメロです。
これまでのインタビューや、昨年フジテレビで放送されたClariS初のドキュメンタリー番組『ClariS「新章」』でクララの口から語られてきた結成当初のエピソード。
「歌手になりたいって夢はあって、ネットに歌ってみた動画投稿してみたいなと思ってたけど、1人でやる勇気は無かったのでアリスを誘いました」
そうやって「あの日あの時あの場所から」始まった「小さな物語」が、アリスが卒業することで道半ばで「未完成のまま」1つの区切りを迎える。
この歌詞を、切なさも感じるDメロのメロディーに乗せて歌われて、冷静に聴けますか?(反語)
「冷静に聴ける」って人がいたら、真剣に知りたいので僕にメンタルコントロールの方法を教えて下さい・・・。
落ちサビ
「ココにあるかな?」がさぁ~~~~!
私と君(クララとアリス)の絆は、離ればなれになってもきっと「少しも変わらない」
そう信じているよ。信じても、いいよね?
いつまでも変わらないものが、ココにはあるって思ってもいいかな?
「ココにある」って断言されるより、「あるかな?」って問い掛けられる方が心情として1万倍切ないじゃないですか。
で、曲名「Drawing」に繋がる「二つとない物語は君しか描けない」。
もう完全に②卒業するアリス(&1人になるクララ)への比重が優位になってますよね。
いやもう、この「あるかな?」を考え付くの天才じゃないですか?
これだけで切なさが全然違うんですよ。
角野さん、お願いですからクララとカレンのClariSにも曲提供してください・・・。
ラスサビ
1番サビと全く同じ歌詞なのに、あら不思議。
①クララとアリスが出会って、アリス☆クララとして活動し始めてClariSとしてメジャーデビューして、という一連の流れ
②卒業するアリスとClariSに残るクララ、それぞれ進む道は分かれるけどお互いの未来を応援している。
1番では①の比重がまだ強かったはずなのに、ラスサビでは②にしか聴こえなくなってきます。
なにより、歌詞カードに書いてない最後のフレーズ。
「Goodbye Baby…」でこの曲は終わるんですよ。
もう、これ以上何を言えというのか。
切ない。悲しい。やるせない。
でもこの曲も、2人の歌声も、ClariSも、何もかも大好き。
ただのファンの自分にできることは、ClariSに残るクララも、卒業するアリスも、どちらの人生もこれからも応援し続けよう。
それしかできないけど、せめてそれだけはずっと心に誓おう。
そういう気持ちにしかなれません。
この曲が、そういう気持ちにさせてくれます。
PARTY TIMEというアルバムのオープニング曲はDrawing以外あり得ない。
筆者がそう強く確信する気持ちに、少しでも共感して頂けたら幸いです。
あとがき
疲れました。
書きながらPARTY TIMEを聴いて、沢山泣いて沢山悶えました。
Drawingでこれなら、Orangeを書く時は一体どうなっちゃうんでしょうか。
考えるだけで失神しそうです。
Orangeは、来年の今日、PARTY TIME 10周年記念に書こうと思います。
Orangeに向き合う覚悟が9年じゃ全然足りてないです。
10年でも足りない気がします。
でも10周年で書かなかったら書くタイミングを永久に失いそうなので、覚悟を決めて書くと宣言します。
もしくは、ライブで生歌唱聴けちゃった時ですかね・・・。
そんな事がもしあったら、ブログを書く前に息絶えてそうですけど()
酷い筆の乱れ方でした。
とても人に読ませる文章になってません。
これこそ純度100%のお気持ち怪文書。
ここまで読んで頂いたそこのあなた、心からの𝑩𝑰𝑮 𝑳𝑶𝑽𝑬 を送ります。
次回は恐らく月末のSECOND STORY発売10周年記念になると思われます。
6月は記念日多すぎ・・・しかも月末ってリリースイベントじゃん。
情緒が保たない・・・。
では、本当に疲れたので以上です。
ありがとうございました。
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