おすすめ画像診断・放射線科の教科書〜最新2021ver〜

私は画像診断医・放射線科診断専門医のるなと申します。下記アカウントで日々、画像診断のことなど呟いております。よかったらフォローください。


今回の記事は前記事のおすすめ画像診断・放射線科の教科書〜勉強法、教科書の使い方編〜の続編となっております。まずは前記事をお読みください。


読まないと、教科書にA型!B型!とか書いてあって、一体、なんのこっちゃと全く訳がわかりません^^; 

前記事にて放射線科、画像診断の教科書を4つのTypeに分類しました。その分類を下図に再掲します。その分類に則って、2021年春時点での最新の教科書も含めた放射線科、画像診断の教科書を紹介したいと思います!

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よろしくお願いします。


~初学者用~


CT読影レポート、この画像どう書く?〜解剖・所見の基礎知識と、よくみる疾患のレポート記載例:A型
羊土社

素晴らしい名著ですね。とちらかというと"放射線科の後期研修"向けに”画像診断レポートをどのように書くか”を説明している本ではありますが、プロセスの違いはあれど、若手が遭遇するcommon diseaseの所見の取り方、知識が網羅されており、もう一冊買うならお勧めしたい一冊です。ちなみに私のtwitterの師匠であるフクロウ先生(@tk2cafe)も大絶賛しています!ちなみにアマゾンの月間ベストセラーを常にとってます、この本。医学書としてはモンスター本なんでしょうね!^^


画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン 〜病態を見抜き、サインに気づく読影のコツ:A型
羊土社

私が一番推したいのはこの本ですね。この本は本当に素晴らしいと思います。研修医が救急当直で出会うような、common diseaseを網羅していますし、特に好きなのは、”異常の基準値”が明示されているところですね。主膵管拡張は○mmから異常、虫垂拡張は○mmから異常など、根拠が明示されているので、研修医にとっては心強いと思います。また、肺区域をテニスのスイングにたとえて、説明したり、解剖の知識もフランクに明示しています。ちなみに中堅にさしかかった私も未だに、たまに参照しています。放射線科診断専門になっても使える一冊。この本だけはマジで絶対買いと、断言できるくらい名著ですね。是非買ってください!ちなみに2も名著です^^

読影の手立てとなる局所解剖と画像診断:A型
メジカルビュー社

もうひとつはちょっとニッチな、名前があるような解剖構造と解剖構造の間の間隙や膜に注目した解剖書です。当然、構造と構造の間にも病気は起こり、つながりがあるので、とても重要な概念です。この本はさすさに放射線科後期研修医向けでしょうか。ただ、本当にこれも読み応えがあったいい本です^^


徹頭徹尾―疾患を見極め的確に診断する:A型
メジカルビュー社

私はこのシリーズが好きですね。ページ数も適当で、かつ色々なモダリティで、臨床的に実践性のある画像解剖や系統的な知識が網羅してあります。カラーや構成も綺麗で非常に読みやすいです。解剖の本ってどうしても厚くなってしまい、携帯性にも劣ることが多いのですが、これらの本はそういう点もカバーできる点が好きです^^

領域横断的がん取扱い規約:D型(資料型)

TNM悪性腫瘍の分類 第8版 日本語版:D型(資料型)
金原出版

悪性腫瘍のStaging分類に欠かせないこの2冊です。先日私が臨床科の先生に聞いたアンケートでは、癌取り扱い規約が優性でしたが、これは実務的な問題(報告の際に癌取り扱い規約にのっとる必要がある)なようであり、Evidence的にはUICC8thが優性なようです!私はUICC8thで書くことが多いですね。


画像診断ガイドライン 2016年版:D型(資料型)
金原出版

日本の各分野のスペシャリティの先生がエビデンスレベルや検査の方法について示してくださった本です。やや古くなってしまったのが難点ですが、私も何か迷ったときにはまず参照をしています。読影室に一冊は欲しい本かと思います!!

医療者が最低限知るべき、医療者のはらむ法的リスクなどを弁護士・行政書士の先生に教えていただいた内容を掲載しています。全医療者が知るべき内容です!


~脳~


頭部 画像診断の勘ドコロNEO:B型
メジカルビュー社

今春発売された最新のオールマイティ教科書です。分厚いですが通読お勧めです!疾患各論の説明も厚く、かつイラストも非常にわかりやすいのがポイントです。私がこの本で一番熱い!と思ったのはMRIの技術的な本です。MRSやQSMなど、advanced imagingの説明が非常にわかりやすく説明されていてこの本の編者の田岡先生のMRIへのこだわり、熱さを垣間見ました!!

決定版 頭部画像診断パーフェクト:B型
羊土社

よくわかるMRIも名著ですが、通読型の見開き1ページでの病気の教科書で私はこの本が好きです。鑑別診断のあげ方がシステマチックで、臨床やっているときに非常に重宝します。外勤先にもpdfで持ち歩いています。もちろん、よくわかる脳MRIも第4版が去年発売され、併せてお勧めです!

神経内科疾患の画像診断 第2版:C型
学研メディカル秀潤社

神経内科疾患の教科書では圧倒的なエビデンスと掲載疾患数があり、variationが多くかつ、経験することが少ない疾患を勉強するときに非常に重宝し、本当に素晴らしい教科書です。C型としましたが、いつか通読したいと思っております!!

即戦力が身につく脳の画像診断:D型(演習型)
メディカルサイエンスインターナショナル

今春発売された実践型の脳の画像診断の教科書です。知識のOutput型の教科書が圧倒的に不足している中、ついに発売された待望の教科書です。今、メディカルサイエンスさんの産婦人科画像診断の本を後輩と進めているので、終わったらこの本を一緒にやってレベルアップしたいと思います!


~脊髄~

エキスパートのための脊椎脊髄疾患のMRI 第3版:C型
三輪書店

上で紹介した神経内科疾患の画像診断の編者の柳下先生の脊髄版です。分厚いのでC型としましたが、脊髄画像診断の教科書会において唯一にして無二の存在、バイブルです。購入おすすめです。噂によるとメディカルサイエンスインターナショナルさんから関節MRIの脊椎バージョンが出るという噂・・。そうすると空席のB型の教科書が発売されるのでしょうか。


~頭頚部~

頭頸部画像診断に必要不可欠な臨床・画像解剖:A型
学研メディカル秀潤社

頭頸部の解剖はこの本一択ですね。この本は最初は画像診断の2号連続企画として出版され、その後、増刊号として出版され、今は製本化されたんですけど、一時期増刊号が絶版の時期があり、私はヤフオクでわざわざ高値で買いました(笑)。株でいうと負けてますね(笑)。今の研修医はこの本が定価で買えるなんて幸せです。非常に実践的かつ、頭頸部の画像解剖が明快に分かる本であり、私は穴が開くくらい読みました。余談ですが、頭頸部のエキスパートの先生が、「頭頸部画像診断は画像解剖が9割だから、頭蓋の模型をかってひたすら触って眺めろ」っていってましたね。誰か私に模型買ってください、笑。


頭頸部 画像診断の勘ドコロNEO:B型
メジカルビュー社

今年発売された勘所NEO。ややページ数が多くとっつきにくい教科書が多い中で、そこそこ薄く通読に向き、かつイラストなどが豊富です。この教科書のいいところは疾患が見開き1ページ型で見やすいところですね。

まるわかり頭頸部領域の画像診断:B型
学研メディカル秀潤社

尾尻本と頭頚部界の教科書と双璧をなす豊田本ですね。この本のいいところは各章の冒頭に疾患診断の基本のフローチャートがあったり、鑑別診断のあげ方が非常にわかりやすいところです。厚い本ですが、あえて通読のB型の教科書とさせていただきました。

頭頸部の臨床画像診断学(改訂第4版):C型
南江堂

今春ついにリニューアル版が発売された頭頸部界の教科書のレジェンド"尾尻本"です。圧巻の1300ページ!エビデンス・疾患数は文句なくナンバーワン、診断に悩んだとき複数の疾患数を見たいとき、深く学びたいならこの本以外に選択肢はありません!


~肺・縦隔~


レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室[ベストティーチャーに教わる胸部X線の読み方考え方] 改訂第2版:A型
日本医事新報社

この本は他の記事でも取り上げさせ頂きましたが、すごく丁寧に画像がどのような構成要素で成り立っているのかを解説してくれています。私はこの本を読んで、"肺で現実に起こっていること"と”画像でのどのように映っているのか”を有機的に結びつけられるようになりました。前半は胸部単純写真、後半はCT画像について解説されていますが、単純写真の読み方も肋骨の数え方から丁寧にしてくれています。自信を持って推せる一冊です!


ビギナーのための胸部画像診断 Q&Aアプローチ:A型
学研メディカル秀潤社

この本は元々、画像診断の企画だった号が書籍化したものです。「炎症性結節と腫瘍の違いは?」など日常臨床においてなかなか初学者には難しいような素朴な疑問、"かゆいところ"についてQA方式で答えてくれています。私は"画像診断"時代に、この本を読んで、かなり胸部画像診断の”お作法”を学べたと思っています。胸部CTレポートを書く後期研修医に最初に読んでもらいたい本といっても過言ではないくら名著だと思っています!この号を書籍化した秀潤社すごい!!


教科書では学べない 胸部画像診断の知恵袋:B型
学研メディカル秀潤社

最近発売された胸部画像診断の教科書です。胸部画像診断界のレジェンドである聖路加の栗原先生がご自身の読影の匠の技を分かりやすく紹介してくれている本です。ささっと読めることも魅力であり、購入して休みの日とかに数日でささーっと読むだけでも日常診療のレベルアップ間違いないのではないかと思っています。ぜひ、他分野も見てみたいな~!

肺HRCT 原書5版:C型
丸善出版

これはすごいですね。とにかく、疾患に関するありとあらゆる論文の知識を集約しているんじゃないか?と思うくらい、すごい、情報量の本ですね。私はこの本は興味のある一部しか読めてないのですが、いつかこの本読破したいなぁとか思ったりしています。そのくらい、この本に書いてあること全部覚えたら胸部マスターになれるんじゃないかと思えるくらいの本です。たとえば、学会発表とか、特定の疾患について詳しくなりたい場合はこの本から読み始めると、マスターに慣れるんじゃないかって思ったりしています。


~乳腺~


マンモグラフィガイドライン第4版:B型
医学書院

今春に第4版が発売されたマンモグラフィガイドラインです。検診マンモグラフィ読影認定医試験では通読が必須の本です。教科書としてもわかりやすく、配慮されており素晴らしい本だと思います。

マンモグラフィのあすなろ教室 (画像診断別冊):B型
学研メディカル秀潤社

マンモグラフィ診断について会話型で非常にわかりやすく書かれている本です。私は認定医試験はほとんどこの教科書で勉強しました!


乳房MRIを極める! ─サーベイランスからMRIガイド下生検まで─:B型
インナービジョン

乳房MRIを読影するのであればBI-RADSスコアの戸崎分類の執筆されているこの本を読むのはマストだと思います!乳房MRIのレポートをBI-RADS形式で求める臨床医の先生も多く、この本の通読は必須と考えます。

知っておきたい乳房の画像診断 (画像診断別冊KEY BOOKシリーズ):C型
学研メディカル秀潤社

今春発売された、乳房の教科書です。近年、疾患の診断よりカテゴリー診断が求めらることが多い画像診断領域において、あえて疾患について詳細に記載している本です。確かに、カテゴリー分類ばかりしていると疾患の知識が乏しくなってしまうもの・・。この本を見て、勉強したいと思います。

~消化管~

わかる! 役立つ! 消化管の画像診断 (画像診断別冊 KEYBOOK):B型
学研メディカル秀潤社

消化管に特化した画像診断の初学者向けの教科書はこの本一択ではないでしょうか?安定のキーブックで基礎を学ぶには最適です。この本で病気を学んで大腸CTや消化管造影はまた違う本でやるっていう方法がいいんじゃないでしょうか?


腹部救急疾患の画像診断とインターベンション:B型
メジカルビュー社

腹部救急疾患に特化した本です。IVR適応やIVRのことも意識してい書いてあるので、放射線科当直業務のある若手の先生は通読して一冊手元においておくと、とりあえず安心なのではないでしょうか?

疾患・病態にせまる画像診断 腹部救急疾患 (大津画像カンファレンス):D型(演習型)
学研メディカル秀潤社

この本は演習型の本でも最強ですね。松木先生や市場先生の画像診断への愛が詰まっていますし、これでもかというくらい何度も同じ疾患が出てくるので、問題集にありがちな”この疾患さっきあったからな~”というメタ要素が完全に通用しません。この本を通読して自分自身かなりレベルアップしたという自覚がありますし、この数々おすすめしている教科書の中であえてひとつおすすめをあげるならこの本を勧めます!

~肝胆膵~


* 肝胆膵の画像診断―CT・MRIを中心に (『画像診断』別冊KEY BOOKシリーズ):B型
学研メディカル秀潤社

長年通読されている放射線科医のコモンセンスとなっている本でこの本さえ読めばある程度、病態生理から疾患各論まで把握することが可能です。やや古いのと、疾患に対するページ数が限られてるのが難点ですが、今でも輝きが色あせない名著です!

Key所見からよむ肝胆膵脾の画像診断 胆膵脾編:D型(逆引き型)

Key所見からよむ 肝胆膵脾の画像診断 肝臓編:D型(逆引き型)

メジカルビュー社

読影で重宝する所見から逆引き型の教科書です。分からない疾患があった場合は必ず参照する教科書です。この本のお気に入りは例えば「嚢胞性腫瘤」だったら嚢胞性疾患の一覧が見開きで見られる所見パレットがあるところです。これを俯瞰してみることでTextureから何個か除外することができます。是非、是非、この教科書の他部位版も出してほしい!!ずっと待っています!

臨床が変わる! 画像・病理対比へのいざない「肝臓」B型
金芳堂

この本はオンリーワンですね。病理から画像がどのように成り立っているか、非常に感覚的に教えてくれます。好きですね~。こういう本、他分野でもほしいなぁ。「Aという疾患ではBという画像所見を呈します、でもなんで?」っていうのを病理の観点からめちゃわかりやすく教えてくれます。

肝の画像診断 第2版 画像の成り立ちと病理・病態C型
医学書院

肝のことを知りたいならこの本を読んどけばとりあえずはOKという感じです。肝の血流状態から、肝腫瘤の血流、病態生理までこれでもかというくらい熱く語ってくれている本です。参照用もいいけど、通読もおすすめです!


~腎、泌尿器~

泌尿器領域 画像診断の勘ドコロNEOB型
メジカルビュー社

今春発売された泌尿器NEOです。勘所NEOはイラストのみやすさがひとつ特徴的だと思うのですが、この教科書の特色の一つは編者の玉田先生が前立腺画像診断のエキスパートであり、ややとっつきにくいPI-RADS v2.1に関してとっても詳細に解説してくれていることころです。疾患数もめちゃくちゃ豊富です。PI-RADSスコアはかなり避けては通れないので、この本を手元に置いておきたいですね。

知っておきたい泌尿器のCT・MRI 改訂第2版B型
学研メディカル秀潤社

勘所NEOが発売されるまでは通読型の泌尿器画像診断の本では唯一無二で君臨していた本です。安定のキーブックで通読しておけば日常診療で困ることはありません。

症例から学ぶ泌尿器疾患の画像診断:D型(演習型)
メディカルサイエンスインターナショナル

貴重な演習型の教科書です。診断専門医の諮問を意識しているという、疾患知識を問う設問もあり、作成者の方の工夫が見て取られる本です。


~婦人科~


産婦人科 画像診断の勘ドコロNEOB型
メジカルビュー社

今年発売された新しい教科書です。”通読”を目的としてあえて情報量を絞ってあるということを編者の先生が公言されており、文句なく通読型の教科書です。この帯に私がいいたいことが書いてあります。基本がわかる、全体像がわかるということは初学者にとってとても大切なことです。


婦人科MRIアトラス 改訂第2版 (画像診断 別冊KEYBOOKシリーズ)B型
学研メディカル秀潤社

婦人科画像診断においてまずはこの一冊という本です。安定のキーブックであり、通読する本としてはこの一冊あればまず婦人科画像診断で大切なことは学べるという本です。ただ、婦人科の疾患はvaritationが多いのでどうしても1疾患に見開き1ページと限られているので症例数はやや物足りないですが、そこは下の田中先生の教科書と相補的にうまく使ってください^^

産婦人科の画像診断C型
金原出版

産婦人科画像診断のバイブルです。情報量は随一であり、この本に載ってないときは諦めたいです。自分が「所見から迫る卵巣腫瘍」という記事を書かせていただきましたが、この本から勉強させていただき抽出した知識はかなり多いです。産婦人科画像診断する機会が多い先生は通読してもいいかなと思える本です。

こちらも是非よろしくお願いします^^

症例から学ぶ産婦人科疾患の画像診断:D型(演習型)メディカルサイエンスインターナショナル

貴重な演習型の教科書です。診断専門医の諮問を意識しているという、疾患知識を問う設問もあり、作成者の方の工夫が見て取られる本です。現在、医局の後輩と一緒に少しずつ進めていますが、しっかり知識も書いてあって教科書としてもとてもいい本です。

~骨軟部~

骨関節画像診断入門 第4版B型
診断と治療社

この本は私が3年目の時に重い腰を上げて最初に骨軟部の画像診断を勉強した時に読んだ本です。海外の教科書を和訳したものですが、会話調で非常に端的にかつフランクに重要事項が記載されています。あの頃よりは多少は骨軟部の画像診断ができるようになった今思い返してみても、この本に書いてあることだけでもざっくりと骨軟部の画像診断ができるのではないかと思っています。教科書ってどうしてもその性質上重要であることと、稀であることを並列的に記載してあることが多いと思うのですが、この教科書は「40歳以下なら骨転移は考えなくてよい」など結構極論が多いです。でもその極論って結構最後の決断を後押ししてくれたりするんですよね。とにかく読みやすくて私は研修医には絶対に勧めている本です。

骨軟部疾患の画像診断 (画像診断別冊KEY BOOKシリーズ)B型

新 骨軟部画像診断の勘ドコロ:B型メジカルビュー社

これは言わずと知れた名著ですね。この本が置いてない読影室の方が少ないのではないでしょうか?解剖からcommon diseaseの重要事項はほとんどこの本で網羅できます。順番としては、骨関節画像診断入門を読んで骨軟部画像診断の基本がわかってからこの本を読むと、より理解度が上がると思います。今でもこの書籍は何かど忘れしてしまった時とかにもよくリファレンスで使いますね。もうひとつおすすめの勘所もご紹介します。


股関節・骨盤の画像診断C型
メディカルサイエンスインターナショナル

こちらも待望の隙間分野を見事に埋めてくれた本です。私はちなみにいまだに関節は股関節が一番苦手です。ある時著名な骨軟部画像診断のエキスパートの先生に聞いたところ、同様に股関節が一番難しいとおしゃっていました。私も一度は読みましたが、もう一度時間ができたら通読したいと思っている一冊です。


肩関節のMRI−読影ポイントのすべてC型
メジカルビュー社

肩関節といえばこの本ですね。もちろん、この本だけ読めば大体のことはわかります。多少知見が古いところもありますが、そういうところは画像診断や臨床画像の特集号などで補えばいいと思います。この本の魅力はとにかく情報量がすごいのに、佐士先生の独特のワールドというか飽きさせないユーモアに溢れた内容かつ症例数がとにかく多いところです。また、巻末の疾患別の要点リストは永久保存版です。一度内容をインプットしてしまえば最後の巻末の要点リストをリファレンスすれば日常業務の読影には困らないと思います。

膝MRI 第3版C型
医学書院

この本を言うことないですね。もはや膝関節はこの本だけで十分だと思います。第2版も素晴らしかったですが、第3版で完全無欠の教科書なった感じがします。個人的には関節のMRIのオーダーは膝>肩>その他という感じかなぁと思いますのでまずは膝から手をつけてみるというのもいいかもしれません。膝の半月板や靱帯、受傷機転から損傷を推定仕方など膝の読影の考え方って結構他の分野にも応用できる気がします。この本自体も非常に読みやすいですし、導入が終わったらまずこの本を読んで関節のMRになれるのもいい戦略かもしれません。


上肢の画像診断C型
メディカルサイエンスインターナショナル

この本が出るまでは肘関節と手/指関節については網羅的な教科書の横断的な知識しかなく体系的に学ぶことができませんでしたが、待望の出版となりました。肘とか手や指は骨も多いですしなんか複雑で取っつきにくいんですよね。ただ、実際はそんなに疾患のバリエーションは少ないので(骨軟部がエキスパートになるのであれば話は別と思いますが)各論やるとき案外この辺から攻めてみるのもありかもしれませんね。


足の画像診断C型
メディカルサイエンスインターナショナル

足の画像診断については私の知る限りは小橋先生のこの教科書一択だと思います。小橋先生も非常に臨床的な受傷機転から損傷の画像診断を考えることを大切にされる方なので非常に勉強になります。受傷機転を動画にしてなぜこのような動作をするとこの靭帯が切れるかなどをまとめた教科書とか作って欲しいですね。


軟部腫瘍のMRI:D型(逆引き型)
南江堂

この本は有名ですよね。本当に系統的に再現性を持って軟部腫瘍を診断するメソッドを書いてくれてる本です。この本を読んで大分軟部腫瘍に関する苦手意識がなくなりました(診断できるとは言ってない)。こういう誰でも再現性を持って系統的に読影できる方法を教えてくれる本、ほんとに貴重ですよね。私のような凡人にはエキスパートのような神の目はないので神様に系統的な読影法を考えてもらってそれを愚直に実践しくだけだと思っています。時間ができたらもう1回読みたい本ですね。

骨・軟部腫瘍-臨床・画像・病理:D型(資料型)
診断と治療社

この本は星の数ほどある骨軟部腫瘍の画像や病理、疫学の知識などを系統的にまとめてくれてる本です。通読するような本ではありませんが、知らない骨軟部腫瘍に出会った時にこれで調べてみると大体の腫瘍は載っています。辞書的な使い方が吉でしょうか。これの読影室に欲しい本ですね。

~心血管~

これだけは知っておきたい心臓・血管疾患の画像診断B型
学研メディカル秀潤社

心臓・大血管 画像診断の勘ドコロNEOB型

メジカルビュー社

どうしても専門性が高くて敬遠したくなる心臓、血管分野ですが専門にしない、IVR医でないのであればこの2冊またはいずれか1冊を通読すれば寿油分かなと思います。専門医試験は結構、心臓好きなので勉強外せないんですね。とにかく浅く薄くでいいので病気の数は抑えていた方がいいと思います!


~小児~

すぐわかる小児の画像診断 改訂第2版 (画像診断別冊KEYBOOKシリーズ)B型
学研メディカル秀潤社

小児画像診断に関しては、この本しかないというのがほぼ現状です。しかし、この本はとっつきにくい正常像についても詳細に解説してくれており、この本1冊通読すれば小児病院以外で働く先生は十分ではないかな?と思っています。

レジデントのための腹部画像教室【小児急性腹症の見方】B型
日本医事新報社

もうひとつ、やさしイイ胸部教科書シリーズでおなじみのシリーズの腹部に特化したバージョンで非常にイラストが豊富でわかりやすい本となっています。腹部はキーブックとこの本でかなり戦えるのではないでしょうか?

小児神経の画像診断―脳脊髄から頭頸部・骨軟部まで:C
学研メディカル秀潤社

小児の中枢神経を見ている先生には必須の本ですね。症例数も情報量も非常に豊富です。キーブックと双方的に使えば怖いもの有りません!


~MRIの原理~

MRIに絶対強くなる撮像法のキホンQ&A〜撮像法の適応や見分け方など日頃の疑問に答えます!B型
羊土社


MRIに強くなるための原理の基本やさしく、深く教えます〜物理オンチでも大丈夫。撮像・読影の基本から最新技術までB型
羊土社

ここ5年くらいで羊土社から2冊の名著が出ました。個人的には自由自在を読んで次にこれを読むのがオススメですが、この本から読むのもイイと思います。羊土社のものなら青本がより原理より、紫本がより実践よりになっています。ですので青→紫の順で読むのをオススメします。青と紫では一部似たような内容もあるので、2冊読めば復習による”地固め”効果でより学習が進むのではないかな?と思いますね。

一目でわかるMRI超ベーシック:B型メディカルサイエンスインターナショナル

この本、本当にわかりやすかったです。私が初学のときは無かったので、復習用でよかったのですが、結論から言うと個人的な最短コースは「自由自在→羊土社の青本&紫本→MRI超ベーシック」です。MRI超ベーシックは羊土社の本に比べると、専門的な内容なのですが、その代わり、上記3つの教科書ではわかりやすさを重視してごまかしていた部分が書いてあるので、「省略されていた行間」を補完するのに最適です。恐らく、MRIを専門にするのであればこの本では足りないのでしょうが、画像診断医はこの本に書いてあることが分かれば、日常診療では困らないと思います。イラストも豊富ですし、本当に初学の頃にこの本があればよかったのに~と思う本です。


MRI応用自在−第4版:D型(資料型)メジカルビュー社

2021年春に最新版が出ました~^^この本はどちらかというとこちらは辞書色の強い教科書になっています。無数にあるMRIのシーケンスの中で、シーケンスごとに原理やパラメータについて記載してあります。この本も、読影室に辞書的に1冊あるとGoodではないかな~と思います第3版のいいところは残しつつ、原理的な教科書色がふえている印象です!






画像診断を中心とした医学系の記事を投稿したいと思っています。よろしくお願いします