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手付金網って、すてき。

私、美容院に行くこと自体はそんなに好きじゃないけれども、施術されている間に渡されるiPadでマガジンを読み漁るあの時間はとても好きで。

それなら自分でdマガジンに加入すればいいのでは?という話かもしれないけれども、あの限られた2時間の中で最大限旬のネタを漁って吸収してやるぞ!という、バーゲンの靴下詰め放題(なんてあるのか知らんけど)みたいな、ちょっとした緊張感と焦燥感に駆られながら、自分にとって不要なページはじゃんじゃんスキップして、役に立つ情報を見つけては、カメラロールに納めたり、その場で調べてカートに入れて、なんならジャンプー台に移動するその間に決済まで済ませちゃう、あの感じが好きなのだ。

特に私はキッチン用品が好きなので、天然生活やら暮らしの手帖系のジャンルが好物。まだ20年以上も猶予があるけれども、50代のマダム達による「家族が巣立っていって再びおひとり様になった今、本当に買ってよかったものたち」みたいな紹介ページは一言一句漏らさず読み込む。

そんな中で今回何を見つけたかというと、タイトルに書いたとおり「手付金網」。字面だけ見ると、手が付いた網…?と思うかもしれないけれども(私自身、最初はただの網じゃないかと思ってしまった)網に持ち手が付く。これだけのことにえらい魅力が潜んでいる。

大前提として、我が家にはいわゆる魚焼きグリルがない。なんなら魚焼きグリルの付いた家に住んだことはあるが、一体どういう仕組みで焼けて、湧き出てくるニオイとはねた油は誰がどう掃除するのか?という問いに対する答えに向き合うことから逃げ続け、ついぞ魚焼きグリルの扉すら開けたことがない人生である。

だから今の家のキッチンをゼロから考えた際、「魚焼きグリルがないコンロにする」という条件は何よりも先に決まったことだった。では今までどうやって魚を焼いていたのかというと、もっぱらフライパンor優秀なオーブンレンジ(我が家の家電の9割を占めるPanasonic性のビストロちゃん)のグリル機能である。

別に魚を焼くだけならば、今のままでなんの不満もない。というか、我が家にはすでに選りすぐりの調理器具たちが揃っているので、何を焼くにも特に不便はなかい。ただ、この手付き金網をイチオシしているマダムが「人生が変わるくらい一番買って良かったもの」と激推ししていたので、網なんぞで人生が変わるなら変えてみなければ…と本能に近い衝動に突き動かされて買ってみたのである。

ちなみにその雑誌では「金網つじ」さんの「手編み手付きセラミック付き焼き網」という長いけど全部が焼き網に掛かっている商品名のこちらがオススメされていた。

これは持ち手だけでなく、直火が当たる網の上にセラミック板が載っていて、更にその上に食べ物を並べる網があるタイプで、この間に挟まったセラミックが遠赤外線効果を発揮して、上の網に載せた食材の表面はサクッとさせつつ中まで火を通す、という仕組みのよう。

この焼き網における遠赤外線効果についてイマイチ理解できなかったのと、セラミック自体は消耗品で毎日使うなら年に数回は交換しないといけないという2点がネックとなり、他の類似の金網を調べてみた。

すると今回私が購入した「辻和金網」さんの手付き金網がヒットした。

手付き金網について口コミや使っている様子に言及しているブログやSNS投稿を調べた結果、どうやら(結果的に)最初に挙げた金網つじ派と辻和金網派に分かれるようだった。

どちらも京都の老舗で、様々な金網の商品を扱っている伝統ある金網屋さんであるが、手付き金網についての違いは前述のとおり、セラミック板があるかないかである。

セラミック板の遠赤外線効果に期待するなら、金網つじをオススメするものの、セラミックによる優位性に言及された口コミがなかったため、私個人としてはランニングコストのかからない辻和金網の方が手軽に試せるという点で軍配が上がった。

ただ更に悩ましいことに、辻和金網の中でも商品が複数ある。結論から言うと、私は銅手編み手付き焼網(9900円)を購入した。

決め手は
①素材が銅×ステンレスということ
②機械編みではなく手編みであるということ
の2点である。

①素材が銅×ステンレスということ
他の金網は基本的にステンレス製であるが、この商品は直火に当たる方の網はステンレス性で、食材を載せる方の網が銅でできている。銅はステンレスに比べると、熱伝導率が圧倒的に高い。(銅が398W/m Kに対してステンレスは84W/m Kであり、数値が高い方が熱伝導率が高い)

これにより、網に食材がくっつきにくくなる。
焼いた魚やお餅が網にこびりついて、ズボラな私に棚の奥に追いやられる焼き網を想像したらそのリスクは最大限回避した方が得策に思えた。
※サビにくさも銅が勝るかと思ったが、サビ耐性はステンレスと同等のようです

②機械編みではなく手編みであるということ
これは完全に趣味の問題であるが、せっかく京都の老舗で人生初めての(そして最後になるかもしれない)金網を買うのであれば、機械編みなんかではなく、熟練した職人技で作られたものが欲しいと思った。
あと単純に「機械網よりも焼き目がかわいい」という口コミを見て、せっかく焼くならかわいい焼き目が欲しい…と思ってしまった。

機械編み&ステンレス製であれば5000円以下で買えるので、もちろんコスト優先で決めるのもアリだ。実際夫と母に「手付き網を注文てみた」と話すと「2000円くらい?」と言われたので、これだけ手付き金網について調べ尽くしていないと、1万円分の価値は理解してもらえないかもしれない…

そして手編みが故に受注から納品までに2ヶ月弱かかった。ただ焼き網がなくて困っているという状況ではなかったので、その待ち時間がより一層手付き金網が届いた時の喜びを高めてくれたのは間違いない。「私が注文してから編まれた手付き手編み金網ちゃ〜〜ん!ウェルカム!!」というテンションで佐川急便さんから荷物を受け取れるので、そう悪くない話である。

そんなこんなでようやく手元に届いた金網で焼いてみたものを少し紹介。

記念すべき第一弾は自家製メヒカリ丸干しとマッシュルーム
バルミューダトースターより美味しく焼けると聞いて、普段食べない食パンをわざわざ焼いた。焼き目もかわいい。
ポケマルでアブラツノザメを買ったおまけに入ってたノドグロを自分で開いて干したもの。(金網で焼きたくて冷凍しておいた)

これ以外にも、切っただけのおネギをじっくり焼いたらめちゃくちゃ美味しくて感動したし、焼きおにぎりもめちゃくちゃ美味しいらしい。(早くオニギリを焼きたくて日々余ったご飯をせっせと握っているのに、握った側から息子に食べられてしまってまだ焼けていない)

受け取ってから1週間、まだ人生が変わった!の領域までは達していないものの、場所も取らずタワシでゴシゴシして干すだけでいい手軽さと、「焼くだけ」の魅力がこんなにあるという気づきは大きい。これからも水気の少ないものはジャンジャン手付き金網で焼いていく所存である。

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